夏にぴったりの“水”の写真家、「古賀勇人展」で涼やかな気分を味わいませんか?

夏にぴったりの“水”の写真家、「古賀勇人展」で涼やかな気分を味わいませんか?

文:佐藤千紗

「in the water」の一枚。

鮮烈な水しぶきを浴びているような「in the water」、水が氷のように形を持っているような、また、ある時は火のように見える「Water」など、変幻自在で見たことのない「水」の表情を撮り続けている写真家の古賀勇人さん。まるで自分が水中にいるような感覚を味わえる、酷暑にぴったりの個展が東京・銀座で開催されます。

古賀さんは1983年熊本県生まれ。写真家としてのキャリアをスタートした当初から、一貫して水をテーマに作品を制作しています。その理由を「元々画家を目指していたので、写真でも、画面の中にどうしても絵の具を求めてしまう。油絵の具が縦横無尽に動く水に置き換わった感覚」と説明します。言われてみると、激しい水しぶきが、ジャクソン・ポロックのドリップペインティングの絵の具の滴りのようにも見えてきます。

躍動感のあるダイナミックな水は、一体どのように撮影しているのでしょうか。連作「in the water」の水の正体は波。多くの写真家がモチーフにしている魅力的な被写体でもあります。

「みんなと同じ場所で同じ撮り方をすると、同じ写真になってしまう。なので、台風や低気圧が通過する時に打ち上がる波を至近距離で撮影しています。写真は絵画と違い、世界をそのまま写しとってしまうので、誰も行かない場所、誰もやらない撮り方で、撮影するように意識しています」

撮影風景写真を見ると、高くせり上がった波に対し、挑むように撮影をしているのがわかります。そうした張りつめたテンションや瞬時に姿を変える波と光の一瞬のきらめき。瑞々しいエネルギーが古賀さんの写真から流れてくるようです。

新作の「inner rainbow」は、一転、波から離れ、人工的につくり出した虹をモチーフにした作品。

「新作が中々撮れず、辛い思いをして、自室から出る気力もなくなっていた時期に、観葉植物に霧吹きをしたら偶然虹ができた。うれしくなって夢中で撮り続けたことがきっかけで生まれたシリーズです。美しさはそこら中にあって、いつもは見えないけれど、求め続ければそれは必ず現れるということを実感しました」

「水」の写真とは違って、静かで霧に包まれたような幻想的な色合いの作品は、大気や宇宙のよう。室内で撮られたとは思えない広がりと奥行きを持ちます。

水や光など、自然現象をテーマに制作することについて、「状況によって、千差万別の表情をあらわす、視覚的な多様性に魅力を感じています。生物に必要な地球の自然環境をドキュメンタリーやネイチャーフォトの手法ではなく、美術の文脈上で残しておきたい」と語る古賀さん。絵画と写真の違いを自覚しながら、写真にしかできない手法で捉えた多彩な水の表情は、目を洗うような清々しい気分にしてくれます。





新作の「inner rainbow」の1枚。

「in the water」撮影風景。

古賀勇人展

開催期間:8⽉18⽇(金)〜8⽉27⽇(⽇)
開催場所:ギャラリー枝香庵(えこうあん)
東京都中央区銀座3-3-12 銀座ビルディング8F
開催時間:11時30分〜19時(日曜、最終日は17時まで)
会期中無休
会期中入場料無料
TEL:03-3567-8110
http://echo-ann.jp/exhibition.html?id=314
http://hayatokoga.com/

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