さまざまな雑誌で活躍する写真家、木寺紀雄さん。その写真展が目黒のコンプレックス ユニバーサル ファニチャー サプライで始まりました。木寺さんは1974年、神奈川県生まれ。役所に勤務したのち、スタジオマンを経て、ホンマタカシさんに師事。2001年に独立し、現在は雑誌や広告、CMなどで活躍しています。

今回展示される作品は、木寺さんが15年以上にわたり、生きとし生けるものを見つめ続けたなかでの"気づき＝写真"を、約50点披露するというもの。イタリアのピエモンテに別荘を持つ友人の飼い犬の名前からとったという展覧会の名はそのままずばり「INU」です。

「（友人の）ご両親がぼろぼろの農家を自分たちの手で改装した別荘で、まわりに何もない、ほんとにのどかな田園風景に囲まれたところで、美味しいもの食べて飲んで、森を散策して、だだっ広い草むらでイヌと一緒に遊んで、昼寝して、夜が来たら星を見て......。そんな時間を共に過ごしたその犬の名前は、INUなんです」

木寺さんの朗らかな人柄は写真そのものにも滲みだされます。投げたボールを夢中になって追いかけるINU、オランダで出会った女の子、染色家の柚木沙弥郎さんや陶芸家のリサ・ラーソンさん、芽を出したフルーツの種、動物など……。その写真は心のうちにあるやさしい感情を刺激するものばかり。ぜひ目黒で木寺さんの眼差しを体感してください。