百花繚乱! 『[企画展] 花 * Flower * 華―琳派から現代へ...

百花繚乱! 『[企画展] 花 * Flower * 華―琳派から現代へ―』の空間は、ただいま“画に描かれた花”満開です。

文:坂本 裕子

百花繚乱! 『[企画展] 花 * Flower * 華―琳派から現代へ―』の空間は、ただいま“画に描かれた花”満開です。

四季折々の花と小禽をひとつの情景にする「四季花鳥図」は古来より多く残されています。江戸琳派の其一は、二曲一双の屏風の金箔の背景に濃密な彩色で描きます。ヒマワリのインパクト、朝顔や菊のグラフィカルな表現、装飾性と写実が融合し、花鳥画を超えた不思議な世界が彼らしい一作です。 鈴木其一 《四季花鳥図》 19世紀(江戸時代) 紙本金地・彩色 山種美術館

春夏秋冬、季節の移り変わり豊かな日本では、いにしえから折々の自然を愛でる文化が培われてきました。和歌に、物語に、工芸に、そして絵画に。特に「花」は、その香りや美しさとともに季節を象徴するモティーフとして現代まで愛され続けています。多様な植物たちが生命力を謳歌するこの季節、東京・山種美術館では、満開の“花の競演”が繰り広げられています。
当館のコレクションをメインに、江戸から現代まで、画に描かれる「花」をテーマに集められた『[企画展] 花 * Flower * 華―琳派から現代へ―』は、まさに百花繚乱! 時代を通じて、伝統を引き継ぎ、新しい表現を生んだ、さまざまな絵師・画家たちの多様な「花」の表現で、日本の季節の豊かさや託された意味や想いとともに作品の美しさそのものを堪能します。

江戸時代からは酒井抱一や鈴木其一ら、江戸琳派の華やかで装飾的な作品が、明治・大正期からは今年話題の渡辺省亭の巧みな筆遣いや小茂田青樹の幻想的作品が、昭和からは速水御舟、奥村土牛、小林古径ら、それぞれに新しい表現を求めた画家たちの作品が、そして千住博や牧進など平成の現代に活躍する画家まで。ところどころに梅原龍三郎の油彩が配されているのもご愛嬌。
会場は「春―芽吹き」「夏―輝く生命」「秋―移ろう季節」「冬―厳寒から再び春へ」と四季が章立てになっており、一年を「はな」で巡れるのも楽しい造り。小特集「花のユートピア」では、四季の花を一画面に描いた作品を紹介、写実と装飾性が共存する鈴木其一の《四季花鳥図》や百科図のように精緻な写生で描かれた田能村直入の《百花》などが見どころです。そして“百花の王”牡丹も小特集「魅惑の華・牡丹」として、このたび中国の逍昌の筆といわれる《牡丹図》(三の丸尚蔵館蔵)を模写したことが明らかになった其一の《牡丹図》をはじめ、菱田春草や福田平八郎、小倉遊亀らの描く華が妍を競って豪華な空間を創っています。

梅、桜、蓮、菖蒲、牡丹、薔薇、百合、紫陽花、朝顔、菊、桔梗、水仙に椿・・・。可憐に、ひっそりと、華やかに、あでやかに、凛として、しっとりと、淡く、はかなく、絢爛に、各々のたたずまいを写されて、咲き誇る日本の花の宴――。毎回展示作品のモティーフで作られる、老舗「菊家」の美しい和菓子とともに味わえば、身体が「華」で満たされる、至福の時間が過ごせそうです。

百花繚乱! 『[企画展] 花 * Flower * 華―琳派から現代へ―』の空間は、ただいま“画に描かれた花”満開です。

其一の師、抱一は端正で品のある花鳥画を多くものしています。彼が憧れた光琳を思わせる梅花は、金泥の輪郭で浮かび上がる月の光とともに。梅の香がただよってきそうなやわらかい早春の夜の景色です。 酒井抱一 《月梅図》 19世紀(江戸時代) 絹本・彩色 山種美術館

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今年注目の省亭も艶を競います。薄紅・白・薄紫で描かれる牡丹は、その濃淡の花弁の重なりがあでやかでまさに“百花の王”の貫録です。緑と墨で描かれた葉のバランスも絶妙で、植物のしっとりとした水分まで描き込まれています。牡丹にお約束の蝶とともに。 渡辺省亭 《牡丹に蝶図》 1893(明治26)年 絹本・彩色

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明治~昭和初期に活躍した古径は写実に裏打ちされた線描で平面的な静物画を創りました。おのずから光を発しているような白樺の白と枝に止まる小禽の鮮やかな群青が美しい対比をなしています。一見おとなしい作品ですが、花の周囲に施された金泥が花の生命感と華やかさを添えています。 小林古径 《白華小禽》 1935(昭和10)年 絹本・彩色 山種美術館

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京都・醍醐寺三宝院のしだれ桜を描いた土牛の作品は当美術館を代表する作品のひとつ。幹を中央に花の上部を断ち切った大胆な構図が、却って咲き誇る桜花の勢いを伝えます。胡粉を何層にも重ね、全体に薄くピンクの靄がかかったような画面も春の空気をみごとに表し、日本画の新たな境地を拓く傑作です。 奥村土牛 《醍醐》 1972(昭和47)年 紙本・彩色 山種美術館

百花繚乱! 『[企画展] 花 * Flower * 華―琳派から現代へ―』の空間は、ただいま“画に描かれた花”満開です。

昭和に琳派の流れを汲んだ作品を多く残した又造の渋くも豪華な屏風図は、宗達を思わせる扇面の四季の花々が波間に散らされます。文様のように描かれた波の曲線もですが、さまざまな加工を施してニュアンスを変えた銀箔が、料紙を思わせ、その装飾的な表現に物語性すら獲得しています。 加山又造 《華扇屏風》 1966(昭和41)年 絹本・彩色 山種美術館

「[企画展] 花 * Flower * 華―琳派から現代へ―」

開催期間:~6月18日(日) 
開催場所:山種美術館
東京都渋谷区広尾3-12-36
開館時間:10時~17時(入館は閉館30分前まで)
休館日:月曜
TEL:03-5777-8600(ハローダイヤル)
入場料:一般¥1000ほか

www.yamatane-museum.jp/

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