注目アーティストの毛利悠子が、生まれ育った藤沢の“灰色の空”のもとで展...

注目アーティストの毛利悠子が、生まれ育った藤沢の“灰色の空”のもとで展覧会を開催します。

撮影・文:山田泰巨

レジデンスルームに展示される新作インスタレーション『モレモレ : ヴァリエーションズ』。見慣れた日用品で構成された、水が循環する作品です。

2015年、神奈川県に開館した「藤沢市アートスペース」は、同市や湘南地域にゆかりのある若手アーティストの展覧会を企画する美術施設。12回目の展覧会として、藤沢市出身の毛利悠子さんによる『毛利悠子 グレイ スカイズ』を18年1月28日(日)まで開催しています。

2015年に日産アートアワードグランプリを受賞した毛利さんは、いま、最も期待される日本の若手美術作家のひとり。その作品は、磁力や重力、光など、目に見えず触れることのできない力をセンシングするインスタレーションが特徴で、2017年には札幌国際芸術祭やフランスのリヨン・ビエンナーレに参加しました。今回は、2011年の発表以来、アップデートを続ける『パレード(旧名:大船フラワーセンター)』など、近年国内外で発表してきた作品を、展示環境に合わせ、再構成して展示。タイトルにあるグレイは、毛利さんが何者になるかもわからず中高生時代に眺めていた、藤沢の空の色を示すものだと言います。

「湘南というと青い空と言われるけれど、私の記憶にある藤沢の空はいつも灰色でした。けれどグレイはとても豊かな色で、そこにはたくさんのニュアンスが含まれています。街の風景に潜むグレイを眺めながら、白黒はっきりしていなかった時間。その豊かさが、いまの私をつくっています。展示から、それぞれのグレイをもち帰ってもらいたい」と毛利さん。

注目は、レジデンスルームで展示する新作インスタレーション『モレモレ : ヴァリエーションズ』。これは、毛利さんが地下鉄の駅構内で見かけた水漏れ現場に着想を得た作品で、都市の建築物を食い破って出現する地下水や雨水といった自然の力に、日用品を即興的に用いて災害に向き合う駅員たちの仕事をモチーフにしています。今回は、毛利さん自身ではなく、ワークショップの参加者が「問題解決」に挑みながら作品を完成させたもの。私たちが見慣れた日用品などによって、水が空間を循環しています。作家を育んだ風景とともに見る贅沢な展示を、お見逃しなく。

『モレモレ : ヴァリエーションズ』の部分。ビニールシートに溜まった水が、さまざまな日用品によって循環していく。

同じく『モレモレ : ヴァリエーションズ』の部分。こちらの作品でも、ゴミ箱やブラシなどを使い、キネティックな風景を生み出している。

旧タイトルは毛利さんが幼少時に親しんだという植物園「大船フラワーセンター」だったという代表作『パレード』。壁紙の色情報を認識したプログラムによって、さまざまな物体が音楽を奏でます。

作品を解説する毛利さん。背後にあるのは作品『Everything Flows』。滞在先のベルリンで撮影した写真など、世界各国で撮りためた映像を使っています。

『毛利悠子 グレイ スカイズ』

開催期間:2017年12月2日(土)〜2018年1月28日(日)
開催場所:藤沢市アートスペース
神奈川県藤沢市辻堂神台2-2-2 ココテラス湘南6F
TEL:0466-30-1816
休館日:月 ※1月8日は開館、2017年12月28日(木)~1月4日(木)、1月9日(火)
開館時間:10時〜19時 ※入場は閉館の15分前まで
会期中入場料無料
www.city.fujisawa.kanagawa.jp

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