憧れが生んだ秀作が勢揃い!『ゴッホ展 巡りゆく日本の夢』で天才画家と日本人の心の交流を知ろう。

  • 文:坂本 裕子

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フィンセント・ファン・ゴッホ 『寝室』1888年 ファン・ゴッホ美術館(フィンセント・ファン・ゴッホ財団)蔵 ©Van Gogh Museum, Amsterdam (Vincent van Gogh Foundation)

日本人にもファンが多い画家、フィンセント・ファン・ゴッホ。その人気は1920年代にまで遡ります。1890年の彼の死後、多くの日本人芸術家が、パリ近郊のオーヴェール=シュル=オワーズにある墓を巡礼したことがわかっています。一方、ゴッホもまた日本に憧れをもっていました。弟のテオとともに浮世絵をコレクションし、それらを模写した作品も遺しています。また、自らの理想の地として日本を想い描き、最も日本に近いところとして南フランスの町・アルルに移り住みました。輝く太陽の光と明るい色彩に満ちたこの地で多くの作品を生み出し、オーヴェール=シュル=オワーズで37年の短い生涯を終えます。

そんな、ゴッホと日本の関係性にスポットを当てた展覧会『ゴッホ展 巡りゆく日本の夢』が、2018年1月8日(月・祝)まで東京都美術館で開催されています。わずか10年の画業の中でも特に充実した作品を遺したパリ時代から晩年の創作に、ゴッホが日本から得たものをたどります。思い込みの激しいゴッホらしい、妄想ともいえそうな“日本”のイメージは、構図や配色、テーマに活かされて豊かな作品に昇華されました。代表作『寝室』をはじめ、『タラスコンの乗合馬車』や『雪景色』など、日本初公開の4点を含む作品の数々は必見です。

また、ゴッホの墓の巡礼に参じた日本人の記録『芳名録』が日本初公開で展示。書簡やオマージュ作品とともに、当時の日本人のゴッホ熱を見ることができます。佐伯祐三や前田寛治などのサインもあり、ゴッホの作品がいかに多くの日本人芸術家に影響を与えていたのかがわかります。

ゴッホが焦がれた“日本“のイメージから生まれた名作の数々に、ぜひ触れてみてください。

上左:フィンセント・ファン・ゴッホ 『花魁(溪斎英泉による)』 1887年 ファン・ゴッホ美術館(フィンセント・ファン・ゴッホ財団)蔵  ©Van Gogh Museum, Amsterdam (Vincent van Gogh Foundation) 上右:溪斎英泉 『雲龍打掛の花魁』 1820~30年 千葉市美術館蔵

フィンセント・ファン・ゴッホ 『タラスコンの乗合馬車』 1888年 ヘンリー&ローズ・パールマン財団蔵(プリンストン大学美術館長期貸与)  ©The Henry and Rose Pearlman Collection / Art Resource, NY

フィンセント・ファン・ゴッホ 『夾竹桃と本のある静物』 1888年 メトロポリタン美術館蔵(ジョン・L.・ローブ夫妻寄贈) ©The Metropolitan Museum of Art. Image source: Art Resource, NY

フィンセント・ファン・ゴッホ 『ポプラ林の中の二人』1890年 シンシナティ美術館蔵(メアリー ・E. ・ジョンストン遺贈)

左:ファン・ゴッホ兄弟の墓(オーヴェール=シュル=オワーズ)写真  右:前田寛治 『ゴッホの墓』1923年 個人蔵

『ゴッホ展 巡りゆく日本の夢』

開催期間:2017年10月24日(火)~2018年1月8日(月・祝)
会場:東京都美術館
東京都台東区上野公園8-36
TEL:03-5777-8600 (ハローダイヤル)
開室時間:9時30分~17時30分(火~木、日) 9時30分~20時(金) ※入室は閉室の30分前まで
閉室日:月、2017年12月31日(日)、2018年1月1日(月) ※ただし2018年1月8日(月)は開室
入館料:一般¥1,600(税込他 ※シルバーデーあり
www.gogh-japan.jp