歌う人の無防備で力強い姿をとらえた写真展、「APPEARANCE 」が共感を呼んでいます。

文:内山さつき

歌う人の無防備で力強い姿をとらえた写真展、「APPEARANCE 」が共感を呼んでいます。

First Date、2010年、「APPEARANCE」より。人種も世代も異なる人々の歌う姿をとらえてきた写真家の兼子裕代さん。ポートレートは7年間で70人におよびます。

人はどんな時に歌うのでしょう。目を閉じ、自分の発する声に耳を傾けながら歌う人の姿は、自己表現する力強さを感じさせると同時にどこか無防備でもあり、観る者を惹きつけます。そんな「歌う人々」の姿をとらえた、サンフランシスコ在住の写真家、兼子裕代さんの個展「APPEARANCE」が銀座のニコンサロンで開催されています。

「歌う人」というテーマに、7年という時間をかけてじっくりと取り組んできた兼子さん。自身の病気の経験を通じて、人間の存在の脆さを感じたことがきっかけで、初めはかよわい存在の象徴ともいえる子どもを被写体としてとらえてきました。しかしある時、その撮影の延長で、大人が歌を歌うパフォーマンスに触れ、「歌う」という行為の中には、自分の繊細な部分をさらけ出す「脆さ」と、自己表現することによって他者と関わろうとする「たくましさ」が共存していることに気がついたのだと兼子さんは語ります。「どんな人でも歌っている瞬間は、自らのとてもナイーブな面を見せています。その人の核となる部分、“子ども”とも言える部分、その無防備な瞬間や人の生の一瞬をとらえられたらと思うんです」。

本展では、兼子さんが住むサンフランシスコとオークランドで出会った、人々の歌う姿を撮影したポートレート約30点が並び、アメリカという多様な社会だからこそ見えてくる人間の普遍的な姿がやわらかな視点で写し出されています。「人種も世代も異なる人々の『歌う』姿を通じて、一人ひとりが持つ唯一無二性と、すべての人に通底する平等性を同時に具現化したい」と兼子さん。折に触れて故郷の青森にもレンズを向け、日本とアメリカを見つめ続けてきた兼子さんの「アメリカ」をとらえたライフワークのひとつが、ここに結実しています。

歌う人の無防備で力強い姿をとらえた写真展、「APPEARANCE 」が共感を呼んでいます。

Shalom Chaverim (Farewell, Good Friends)、2015年、「APPEARANCE」より。

歌う人の無防備で力強い姿をとらえた写真展、「APPEARANCE 」が共感を呼んでいます。

Jerusalaim、2015年、「APPEARANCE」より。

歌う人の無防備で力強い姿をとらえた写真展、「APPEARANCE 」が共感を呼んでいます。

Replay、2010年、「APPEARANCE」より

APPEARANCE ー 歌う人

開催期間:〜8月15日(火)
開催場所:Ginza Nikon Salon
東京都中央区銀座7-10-1 STRATA GINZA 1F
開館時間:10時30分〜18時30分(最終日は15時まで)
会期中無休
会期中無料
http://www.nikon-image.com/activity/salon/exhibition/2017/08_ginza.html#03