被ばく体験を創作作品にして伝える「原子の現場」展で、戦争と平和について考えてみませんか?

  • 文:及位友美

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『原子の現場』展示会場の様子。

国際社会の緊張が高まる昨今、唯一の戦争被ばく国である日本だからこそ、いま改めて世界に伝えられることがあるのではないでしょうか?広島県福山市鞆町(ともちょう)にある鞆の津ミュージアムでは、8月20日まで「原子の現場」と題した展覧会を開催しています。

展示されているのは、原子爆弾で被ばくした経験をもつ方や、戦争経験者が自身の体験をもとに自作した創作物です。これに加え、直接の戦争経験はない世代の者たちが制作した、核や戦争、その記憶にまつわる作品も合わせて展示。国際的に活躍する岡部昌生や、注目を集める若手アーティストの瀬尾夏美らも出展作家として参加しています。

72年前の8月6日、原子爆弾の投下が広島にもたらした尋常ならざる現実。本展には、そこで感じた「現場」を市民が表現した創作物が並びます。戦争を経験した世代も高齢化し、その経験をどのように受け継いでいくかを考えていかなければならないいまの日本。このような展示に向き合うことは、言葉に尽くしがたい現実を想像し、その経験を受け継いでいく機会になるでしょう。

本展の関連イベントとして、8月17日(木)に広島での原爆投下時における爆心地の様子を再現した VR 映像体験会を開催。さらに8月20日(日)には、5歳10カ月の時に広島の原爆で被ばくした経験をもつ廣中正樹さん (本展出展者) が被ばく体験を語ります。

二度と核兵器を用いた戦争を起こしてはいけないという想像力が、これまで以上に国際社会に求められているのかもしれません。互いの生を尊重し、ともに在るための方法を考えること。本展を通して、その意義を学びなおすことができそうです。

5歳10カ月の時に広島の原爆で被ばくした経験をもつ廣中正樹さん (本展出展者) が、8月20日(日)に自作の前で、被ばく体験を語るイベントも開催されます。

広島での原爆投下時における爆心地の様子を再現した VR 映像体験会は8月17日(木)に開催。福山工業高校 電子機械科 計算技術研究部のみなさんによる映像です。

鞆の津ミュージアム自主企画展 「原子の現場」

開催場所:鞆の津ミュージアム
広島県福山市鞆町鞆271-1
開催期間:〜 8月20日(日)
開館時間:10時~17時   
休館日:月、火曜日(祝祭日は開館) 
会期中無料
http://abtm.jp