ランドスケープデザイナー・団塚栄喜インタビュー、北九州未来創造芸術祭に...

ランドスケープデザイナー・団塚栄喜インタビュー、北九州未来創造芸術祭に現れた「ハーブマン」のメッセージ

写真:平川雄一朗 文:高橋美礼

幾種類もの草花で埋めつくされた、巨大な人。両手両足を大きく広げ、大地に根をはるように広がる姿――それが、ランドスケープデザイナーであり"風景司"の団塚栄喜による「ハーブマン」だ。4月29日から 5月9日まで、北九州市内数カ所を会場に開催されている「北九州未来創造芸術祭 ART for SDGs」の1プログラムとして出現した「ハーブマン」 について、そして今回のためにアンリアレイジ・デザイナーの森永邦彦とコラボレーションしたオリジナルユニフォームについて、団塚が語った。

北九州市八幡地区にある東田大通り公園の中央に創出させた「ハーブマン」。実際にこの土地で採取した草花を、人間の身体に効能のある部分へ植え込んである。

団塚栄喜(だんづか・えいき)●ランドスケープデザイナーであり“風景司”。1963 年、大分県佐伯市大入島生まれ。制作活動そのものが地球に還っていく持続可能なプロセスを重要視している。

2つのコンテナを携えて旅をするハーブマン


団塚が「ハーブマン」を初めて構想したのは、2001年のこと。アフガニスタンとの国境境にあるパキスタン・チトラルに滞在し、現地の子どものためにボランティアでプレイグラウンドを建設していた時の体験にヒントがあった。

「パキスタンから帰国後、それまでにないくらい体調を崩した時期があったのですが、現地での活動中にちょっとでも具合が悪いと、現地の職人が近くの山から野草や実のようなものを掴んできて、『これを噛め』って言うのでその通りにしたら自然に治った経験を思い出して、ハーブマンのアイデアが生まれました。身近な地に自生する薬草の効用を人型のハーブガーデンとし、植わっている身体の部分に効くように表現しています。心臓に効く薬草は心臓の辺りに、目に効く薬草は頭部に。その後、2009年の『越後妻有アートトリエンナーレ』に参加した頃から、 貨物用コンテナを伴うプロジェクトになりました。ハーブマンは 2つのコンテナを持って各地へ赴く旅人、という設定です。つまり、コンテナ=旅のトランク。ハー ブマンで採れたハーブを使ったお茶やお菓子を販売するカフェをコンテナとして 併設することで、『メディカル ハーブマン カフェ プロジェクト(MHCP)』が成立しています。これまで 10ヶ所ほどを旅してきて、今回の『北九州未来創造芸術祭 ART for SDGs』では、ディレクターの南條史生さんが声をかけてくださって実現しました」

会場は、北九州市八幡地区に位置する東田大通り公園。その土地で団塚とスタッ フが薬草を見極め、25 mを超えるハーブマンを完成させた。

「身土不二という言葉があるように、人は生まれ育った場所のものを食べるのが一番健康。同様に、この場所に適した環境の薬草は根付きが良く、生育もよいのです」

ハーブマンを鑑賞し、実際にハーブティーを飲んで薬効を感じることができる『メディカル ハーブマン カフェ プロジェクト(MHCP)』は、2009年「越後妻有アートトリエンナーレ」への参加時に誕生した。


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