“芸術”だから価値をもつ、ウィーンの画家エゴン・シーレの作品がスウェッ...

“芸術”だから価値をもつ、ウィーンの画家エゴン・シーレの作品がスウェットシャツに。

文:高橋一史

エゴン・シーレの自画像を配した、アート プリント コレクションのスウェットシャツ。¥15,180(税込)

2020年を迎えて、昨年のファッションを振り返った時、真っ先に頭に浮かぶキーワードは「コラボレーション」だ。特に多かった印象があるのが、「アーティストとのコラボ」である。ただこのアーティストという特殊な職業は、近頃かなり拡大解釈されているように思う。ファインアートの作家でも、本業がイラストでも、DJでもアイドルでも、コラボの場面では一様にアーティストと括られる。よほどの著名人でもない限りそもそもの作風がわからず、コラボの意義を判断しにくいケースも少なからず。汎用化した“アート” と厳選された“芸術” を、そろそろ使い分ける必要に迫られているのかもしれない。

ここに紹介するスウェットシャツは、歴史に裏付けされた “芸術” と結びついた服だ。その名も「アート プリント シリーズ」。手がけたのはユナイテッド アローズのエッジーなレーベル、「モンキータイム」。描いた “芸術家” は、19世紀末のオーストリア・ウィーンで活躍したエゴン・シーレだ。彼の師匠であるグスタフ・クリムトは、装飾的で官能的な絵がファッションに落とし込みやすく、これまでさまざまなアイテムに用いられてきた。対するシーレは自画像(男性)が多いせいか、ファッションとの結びつきが薄い。自己陶酔と骨ばった痛々しさを感じさせる作風のシーレは、2018年に没後100周年を迎えた、28歳の若さで他界した夭逝の才人だ。ここに目をつけたモンキータイムのセンスに拍手を贈りたい。

アート プリント シリーズはこれまで不定期に、抽象画家のジャクソン・ポロックや写実画家のヨハネス・フェルメールらの作品を取り上げてきた。今回のシーレは、「いまの時代に作風やタッチが合う」という観点から選ばれたそうだ。作品はトリミングされ、服としてデザインされている。本物の芸術を身近に楽しみたい大人こそが似合うスウェットシャツだ。

アーム幅が広く着丈が短いフォルムがイマどき。背面にも画家名、生没年、作品タイトルが。

袖先には美術館のような注意のピクトグラムをユーモラスに配置。

右肩を上げた自画像のスウェットシャツ。¥15,180(税込)

全5種類の絵柄で、スウェットシャツ、パーカ(税込¥16,280 )をラインアップ。

※2020年 1月より発売。

●問い合わせ先/モンキータイム ビューティ&ユース ユナイテッドアローズ 原宿店
TEL:03-5464-2773

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