迫力の密教美術が一堂に。サントリー美術館の醍醐寺展は、2回は見たい豪華ラインアップ!

  • 文:はろるど

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「如意輪観音坐像」平安時代、醍醐寺蔵、重要文化財 画像提供:奈良国立博物館
醍醐寺の始まりは、貞観16年(874年)に空海の孫弟子、聖宝(しょうぼう)が、准胝(じゅんでい)観音像と如意輪観音像を草庵に祀ったことからとされています。以来、如意輪観音像は醍醐寺の信仰と深く関わり、特別に尊ばれてきました。

平安時代より、密教の大寺院として歴史を築いてきた京都・醍醐寺。その名宝を公開する贅沢な展覧会が、サントリー美術館で始まりました。
醍醐寺といえば密教美術の宝庫、圧巻は多くの不動明王の絵画や彫像です。なかでも、鎌倉初期の仏画「五大尊像」や上醍醐の中院の本尊だった「五大明王像」は、名品中の名品。燃え盛る火炎を従えた、忿怒の姿は迫力満点です。また快慶の「不動明王坐像」も力作で、リアリティーのある表情には、生命が宿っているかのよう。これら、4階・第1展示室で見た尊像の感動をかみしめながら3階の第2展示室へと階段を降りていくと、ハイライト、上醍醐薬師堂の本尊「薬師如来および両脇侍像」が姿を現します。醍醐天皇の御願でつくられた薬師如来像は、像高約176cm。しかし「もっと大きいのでは?」と思わせるほどに威厳があります。
三宝院の障壁画や俵屋宗達の『扇面散図屏風』などは、近世の醍醐寺の繁栄をありありとイメージさせるもの。秀吉の黄金趣味が生んだ「金天目および金天目台」も、忘れずにしっかり見ておきましょう。
2016年には醍醐寺の名宝が海を渡り、上海と西安で展覧会が開かれ、延べ80万人以上が来場しました。今回の展覧会では、国宝34件、重要文化財43件を含む、約100件もの醍醐寺の名宝が出品。国内でもこれほどの規模で公開される機会は滅多にありません。展示替は複数回あり。いずれも見たいものばかりなので2回は行かねば。いますぐ「予定帳にメモ!」です。

「五大尊像のうち不動明王」鎌倉時代、醍醐寺蔵、国宝 画像提供:奈良国立博物館(展示期間:9月19日〜10月15日) 
輝かしい火炎を背にした不動明王が画面いっぱいに描かれています。きわめて保存状態がよく、着衣の精緻な截金も鮮やかに残されています。

「五大尊像」(鎌倉時代、醍醐寺蔵、国宝)の5幅が並ぶ圧巻の展示。この5幅の公開は10月15日までなのでお早めに!

「五大明王像のうち不動明王」平安時代、醍醐寺蔵、重要文化財
目を剥いて忿怒の相を見せる不動明王。醍醐寺の初代座主・観賢(かんげん)が造仏に関わり、かつて上醍醐にあった中院に古くから伝わりました。会場では、不動明王を中心に5軀の明王をガラスケースなしで展示、実に壮観です。

「薬師如来および両脇侍像」(平安時代、醍醐寺蔵、国宝)の展示風景。堂々たる薬師如来坐像は上醍醐薬師堂の本尊です。

『京都・醍醐寺―真言密教の宇宙―』

開催期間:2018年9月19日(水)〜 2018年11月11日(日)
開催場所:サントリー美術館
東京都港区赤坂9-7-4 東京ミッドタウン ガレリア3F
TEL:03-3479-8600
開館時間:10時〜18時(金曜・土曜および9月23日、10月7日は20時まで)※いずれも入館は閉館30分前まで
休館日:火(11月6日は開館)
入場料:一般¥1,500(税込)
http://daigoji.exhn.jp
http://suntory.jp/SMA