終わってもなお変わり続ける、美術の歴史を更新する展覧会「クロニクル、クロニクル!」

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    吉原治良「大阪朝日会館どん帳のための原画」

    展覧会は一般的に会期が決められています。1週間という短期の場合もあれば、数カ月という長期の場合もあり、そのなかでイベントなども行われ、すべてが終わればまったく違うテーマの展覧会がはじまります。1911年に操業を開始し、現在は近代化産業遺産(日本の経済産業省が認定している文化遺産のひとつ)に登録されている大阪の名村造船所跡地を舞台に開催される「クロニクル、クロニクル!」は、その会期の枠を越えたグループ展になっています。

    第1回目が開催されたのが2016年1月25日~2月21日。ただ、これは暫定的に設けられた会期で、そこから展示期間はおよそ1年続き、その間、色々な出来事も起こるといいます。つまり、現在行われる第2回目も、第1回を完全に無くしてしまうのではなく更新すること、第1回でとらえることができなかった作品に対する理解をより深められることなどがこのグループ展の最大の意図といえます。

    出展作品は30代前後の若手作家のものからすでに逝去している、マネキン会社である七彩に関わっていた彫刻家・大森達郎、清水凱子によるマネキンシリーズ、日本における抽象画の草分け的存在である吉原治良の原画、フランスの映画の発明者と知られ、世界ではじめて実用のカラー写真を開発したリュミエール兄弟の映像など。第1回目に展示されたものに、新たな作品も加えられています。

    “クロニクル”という言葉は“年代記”を指します。それを2度叫ぶような展覧会タイトルから感じられるのは、展示そのものが歴史のような機能をもち、これから先も記録をし続けたいという意思。第1回目を観た人はそこからの変化、はじめて訪れる人は新たな歴史の証人になれる、非常に珍しいタイプの展覧会です。(大隅祐輔)

    遠藤薫「無題1」

    鈴木崇「cp-0000」

    「クロニクル、クロニクル!」

    開催期間:~2月19日(日)
    開場時間:13時~19時
    開催場所:CCOクリエイティブセンター大阪
    大阪市住之江区北加賀屋4-1-55 名村造船跡地
    入場無料火・水曜休館

    http://www.chronicle-chronicle.jp/