写真・文:中島 佑介

定期的に海外のひとつの出版社に焦点を当て、その出版社の本だけを取り扱うショップ「POST」のスタッフが、いま気になる一冊をピックアップ。今回、中島佑介さんが紹介してくれるのは、この夏に刊行されたばかりの、日本の写真集の歴史をたどる本。撮った写真を手軽に公開できるようになったいまだからこそ知りたい、日本の写真集が世界に与えた衝撃とは?

Vol.21 世界の表現技法を一変させた、日本の「写真集」の歴史。

The Japanese Photobook, 1912-1990 / Ryuichi Kaneko, Manfred Heiting / Steidl
ザ・ジャパニーズ・フォトブック、1912-1990 / 金子隆一、マンフレッド・ハーティング / シュタイデル

この数年、本を個人規模でも出版できる技術が整いました。またNY ART BOOK FAIRをはじめとするアートブックフェア、自費出版の本も取り扱う書店、SNSやウェブサイトでの発信など発表の場も増えています。「作る」と「届ける」が以前よりも結びついたことは、世界中でアートブックの刊行タイトル数が増えている一因になっているのではないでしょうか。なかでも写真集の刊行が圧倒的に多く、Paris Photoで発表されるAperture Foundation PhotoBook Awardsを筆頭に世界中で開催されているブックアワードなど、写真集自体が表現として評価される対象になっています。

写真集は以前から写真家が作品を多くの人に伝える手段として用いられていましたが、戦後の日本は特にその傾向が強く、また国際的に見ても特殊な進化を遂げていました。その動向を体系的に研究し成果をまとめたのが、この夏に刊行されたばかりの『The Japanese Photobook 1912 – 1990』です。