35周年を機にプレイバックされる、世界的グループの伝説。

『ダムタイプ│アクション+リフレクション』

東京都現代美術館

35周年を機にプレイバックされる、世界的グループの伝説。

赤坂英人 美術評論家

Dumb Type『S/N』 Photo by Yoko Takatani

Dumb Type『Playback』 ©Centre Pompidou-Metz / Photo Jacqueline Trichard / 2018 / Exposition Dumb Type

Teiji Furuhashi『LOVERS』 1994、2001 国立国際美術館 アーカイブされた舞台装置が再生・再現される中で、最も難しいと思われるのが、生き生きとした身体的なエロス感覚の復元だろう。そこをダムタイプ結成当初から追求、実践してきた古橋悌二の遺作を観られることも、本展覧会の見どころのひとつだ。 Photo by Nobutada Omote

「ダムタイプ」の個展が東京都現代美術館で開催される。その一報を聞いた時、懐かしさを覚え、同時に初期の中心的メンバーで亡くなった古橋悌二(1960~95年)の笑顔が思い浮かび、たまらない気持ちになった。
「ダムタイプ」は1984年に京都市立芸術大学の学生を中心として結成された、世界的なメディアアーティスト・グループだ。メンバーはそれぞれアート、デザイン、音楽、建築、ダンスなど別々な専門分野をもち、ワーク・イン・プログレスのスタイルで作品を制作していった。グループ名の「ダムタイプ」とは、英語の「Dumb」(口がきけない)と、「Type」(類型)を合わせた造語である。彼らは一般的な台詞中心の舞台ではなく、立体装置や映像、音響、パフォーマンスなどの身体表現を複合し、スピード感あふれる、それまでにない画期的な舞台空間をつくり上げていった。性愛、人種差別、身体障害などのテーマをクールに批評性をもって展開した彼らの作品は、国内外で大きな話題となった。95年に古橋が亡くなった後、高谷史郎や池田亮司らをはじめとするメンバーは、個人での活動も行ってきた。
グループの結成35周年に当たる今年に開催されるこの展覧会は、昨年、フランスのポンピドゥー・センター・メッス分館で開かれた彼らの個展の作品に新作を加えた、よりバージョンアップしたもの。全6点の大型インスタレーションを目にできる機会である。伝説化していた「ダムタイプ」の「記憶」が現代に蘇り、更新されるわけだ。
「ポスト・モダン」が語られた80年代からおよそ半世紀が経過した。「ダムタイプ」の舞台装置が「プレイバック」されるいま、その空間は、古橋が生前に語ろうとした新しい人間の「愛」を語るだろうか。

『ダムタイプ│アクション+リフレクション』
開催期間:11/16~2020年2/16
会場:東京都現代美術館
TEL:03-5777-8600(ハローダイヤル)
開館時間:10時~18時 ※展示室入場は閉館の30分前まで 
定休日:月(2020年1/13は開館)、12/28~2020年1/1、1/14
料金:一般¥1,400 
www.mot-art-museum.jp

35周年を機にプレイバックされる、世界的グループの伝説。