2つの出合いに焦点を当てて、 ファン・ゴッホを見直す。

『ゴッホ展』

上野の森美術館

2つの出合いに焦点を当てて、 ファン・ゴッホを見直す。

糸瀬ふみ ライター

フィンセント・ファン・ゴッホ『疲れ果てて』 1881年9~10月 P.&N.デ・ブール財団 ハーグ派に学んだ頃の作。印象派の明るい光はまだ用いられていない。 ©P. & N. de Boer Foundation

フィンセント・ファン・ゴッホ『タンギー爺さんの肖像』 1887年1月 ニュ・カールスベア美術館  ©Ny Carlsberg Glyptotek, Copenhagen Photo by Ole Haupt

フィンセント・ファン・ゴッホ『麦畑』 1888年6月 P.&N.デ・ブール財団 ファン・ゴッホは南仏のアルルに移り住んだ1888年以降、色彩に対する欲望を噴出させた。 ©P. & N. de Boer Foundation

27歳で画家になることを決心し、37歳で自ら命を絶ったフィンセント・ファン・ゴッホ(1853~90年)。その短い画業における変遷を、「ハーグ派」と「印象派」というファン・ゴッホにとってのふたつの大きな出合いに光を当てて追っているのが本展だ。ハーグ派は、オランダ南西部の都市ハーグを拠点とし、風景や農民などの生活を、やわらかな光の下、くすんだ色調で描いた画家たちを指す。ファン・ゴッホが画家の道を歩き出した時、指針を与えた存在なのだが、いままで日本ではほとんど語られていない。
 16歳で勤務した伯父の画廊はハーグにあり、画家になると宣言した後の1881年に、頼って向かった親戚の画家アントン・マウフェの居住地もハーグであった。ジャン=フランソワ・ミレーにシンパシーを抱き、農民画家を目指していたファン・ゴッホにとって、ありのままの日常を描くハーグ派は目指すべき存在であり、当時のハーグ派の中心人物であったマウフェは、最初で最後の師匠となった。
力強い筆跡を残す描き方や明るい色づかいが現在のファン・ゴッホ作品における代名詞となっているが、それが形づくられるまでには、多くの出合いと別れがあったのである。本展は、大きく分けてハーグ時代と、印象派に出合ってから晩年に至るまでの間の2部で構成。マウフェに加え、モネ、セザンヌといった印象派の画家の作品や、それらを見たファン・ゴッホの手紙なども展示されている。ファン・ゴッホが静謐の「ハーグ派」と躍動の「印象派」に出合い、いかにして独自の表現を獲得し得たのか、その過程を比較しながら見ることができる。
静謐と躍動に導かれたファン・ゴッホ。そこには画家を志した初期から継続して、自然や日常への共感の視線があり続けたことにも我々は気付かされるだろう。

『ゴッホ展』
開催中~2020/1/13 上野の森美術館 
TEL:03-5777-8600(ハローダイヤル)
開館時間:9時30分~17時(金曜、土曜は20時まで) 
※入場は閉館の30分前まで
休館日:12/31、2020年1/1 
料金:一般¥1,800 (税込)
https://go-go-gogh.jp

2つの出合いに焦点を当てて、 ファン・ゴッホを見直す。

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