いま最も気になる18世紀絵画を、応挙とその潮流から見直す。

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    『円山応挙から近代京都画壇へ』

    東京藝術大学大学美術館

    いま最も気になる18世紀絵画を、応挙とその潮流から見直す。

    景山由美子江戸絵画コレクター、古美術景和代表

    円山応挙『松に孔雀図』(全16面のうち4面)1795年 重要文化財 通期展示 兵庫・大乗寺蔵。

    上村松園『楚蓮香之図』1924年頃 後期展示 京都国立近代美術館蔵。

    岸竹堂『猛虎図』(右隻)1890年 前期展示 千總蔵。大乗寺客殿の十二室165面の障壁画は、応挙が門弟と制作した大作。応挙は三室を担当し、金地に、階調の異なる墨を用いて描いた『松に孔雀図』は、応挙が没する3カ月前に完成をみた最晩年の渾身作。

    近年、伊藤若冲や曾我蕭白など、江戸中期の京を中心に活躍した絵師に注目が集まっている。数多の才能がぶつかり合っていた18世紀の京画壇で生まれた作品には“奇想”と形容されるものがあり、春に開かれた展覧会も盛況だった。この時代、トップランナーとして走り続けた巨匠が円山応挙だ。

    享保18年(1733年)、丹波国桑田郡(現在の京都府亀岡市)の農家の次男として生まれ、十代で京の商家に奉公。その後、玩具店に勤めながら、狩野派の流れをくむ京町絵師、石田幽汀に絵を学ぶ。狩野派や土佐派といった御用絵師が手法の継承のみを重んじる形式主義に陥る一方、若冲、蕭白などの個人画家が新しい表現を創出。八面六臂の活躍を見せた京で、応挙は写実的で調和の取れた画風で市民の強い支持を集めた。同時代の文人・上田秋成は「絵は応挙が世に出て、写生といふ事のはやり出て、京中の絵が皆一手になつた」と、応挙の影響力を随筆に記している。応挙の門下には数多の弟子が集まり、「円山派」と呼ばれる画派を形成。長沢芦雪や呉春、源琦は応挙の高弟で、このうち、与謝蕪村の門下から応挙の下に移った呉春は、分派とも言うべき「四条派」を応挙没後に興す。そして、応挙・呉春と弟子たちは京画壇の大きな潮流となり、その伝統は近代まで受け継がれていくのだ。

    今回の展覧会では、応挙を筆頭に、呉春、芦雪、岸駒、幸野楳嶺、森徹山、竹内栖鳳など、京画壇で活躍した画家の作品が一堂に会し、自然・人物・動物といったテーマごとにその表現を比較して見ることができる。たとえば、応挙の美人画と、近代美人画の大家・上村松園のそれを比較してみれば、両者に共通する穏やかで品格のある画風に気付くだろう。

    近世から近代へ。250年の時空を超え、円山・四条派の全貌を見渡すことのできる圧巻の内容だ。

    『円山応挙から近代京都画壇へ』
    開催中~9/1(前期)、9/3~9/29(後期)
    ※前後期で大展示替え、大乗寺襖絵は通期展示
    東京藝術大学大学美術館
    TEL:03-5777-8600(ハローダイヤル)
    開館時間:10時~17時 ※入館は閉館の30分前まで
    休館日:月 ※月曜が祝日または振替休日の場合は開館、翌日休館
    料金:一般¥1,500(税込)
    https://okyokindai2019.exhibit.jp