見せる/視られる?装いのゲームを見つめ直す。

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    『ドレス・コード? ──着る人たちのゲーム』

    京都国立近代美術館

    見せる/視られる?装いのゲームを見つめ直す。

    川上典李子エディター/ジャーナリスト

    ジェフ・クーンズ×ルイ・ヴィトン、2017年。レオナルド・ダ・ヴィンチ、ルーベンス、ゴッホなど西洋絵画の名作を題材にし、ジェフ・クーンズが試みるペインティング作品のイメージが落とし込まれたルイ・ヴィトンのバッグ。ともに京都服飾文化研究財団所蔵。写真:畠山 崇

    コム デ ギャルソン(川久保 玲)2018年春夏。高橋真琴による少女の絵柄のドレスは話題をさらった。写真:畠山 崇

    ストリートスナップの名手、元田敬三の作品『ツッパルな』2015年、作家蔵。Ⓒ Keizo Motoda

    なにを着るか。着る人をどう見るか。社会/生活で欠かせないのが「着る」行為だが、そこには文化や慣習と切り離せない、「ドレス・コード」とも言える暗黙のルールが存在している。 「着る」ことは思考や行動に影響を及ぼし、属性を示す上でも重要だ。さらに私たちは、異なる人格を演じられるコスプレという自由も手にしている。着ること、見せること、視られることの関係は深く複雑で、だから面白い。

    ドレス・コードは破られることもある。そして歴史の中では、既存のコードに新たな意味が加えられてきた。軍服や労働着だったトレンチコートやデニムがファッションとなったのはわかりやすい例だろう。男性用の下着だったジャージー素材をモードに変えてしまったココ・シャネルのように、デザイナーの取り組みからも、時代を切り拓く転換がもたらされてきた。

    京都服飾文化研究財団が収蔵するコレクションから厳選した約90点を中心に、ドレス・コードに改めて目を向ける展覧会が開かれる。「服は意思をもって選ばなければならない?」「他人の眼を気にしなければならない?」「教養は身につけなければならない?」など、13のキーワードに沿った構成。18世紀の宮廷服に遡り、ニコラ・ジェスキエールのルイ・ヴィトン、アレッサンドロ・ミケーレのグッチなど現代の衣服までを網羅している。ハンス・エイケルブームが撮影してきたストリートスナップ、石内都の古着の写真、森村泰昌のセルフポートレートなどアーティストの視点も織り込まれているのが醍醐味だ。映画ポスター、マンガも合わせた考察や、都築響一によるインスタレーションも含まれる。

    着ることの意味を多方面からひも解こうとする意欲的な展覧会。会場で考えを巡らせた後に街を歩いてみると、行き交う人々の姿がそれまでと違って見えてくるかもしれない。

    『ドレス・コード? ──着る人たちのゲーム』
    8/9~10/14
    京都国立近代美術館
    TEL:075-761-4111
    開館時間:9時30分~17時(金、土曜は21時まで) ※入館は閉館の30分前まで 
    休館日:月(8/12、9/16、9/23、10/14は開館)、8/13、9/17、9/24
    料金:一般¥1,300(税込)
    www.momak.go.jp