現代美術家が考える、「茶会」とは。

『トム・サックスティーセレモニー』/『Smutshow』

東京オペラシティアートギャラリー/小山登美夫ギャラリー

現代美術家が考える、「茶会」とは。

川上典李子 エディター/ジャーナリスト

東京オペラシティ アートギャラリーの展示作品より。『Tea House』2011年。KOMAGOME1-14 casでの展示、ビームス 原宿でのポップアップストアも同時開催。© Tom Sachs Courtesy of Tomio Koyama Gallery

東京オペラシティ アートギャラリーの展示作品より。『Bonsai』2016年、『Stupa』2013年。© Tom Sachs Courtesy of Tomio Koyama Gallery

小山登美夫ギャラリーの展示作品より。トム・サックス『Alabaster Cream』2018年。NASAの文字が入る茶碗。

プラダのロゴを模してつくった便器やエルメスのロゴが描かれた包装紙で包まれたマクドナルドのバリューセットなど、現代の消費社会に対するアイロニーや鋭いユーモアを織り込んだ「ハンドメイドのレディメイド」作品で注目を集めるトム・サックス。
1966年、ニューヨーク生まれ。ロンドンで建築を学び、フランク・ゲーリーの建築スタジオで家具制作を担当していた時期もある。
その彼が日本の伝統的な茶道を本格的に学び始めたのは2012年。仮想の宇宙旅行をテーマとした展覧会『Space Program: MARS』で、「長く退屈な宇宙旅行の間、なにをするのが身体と心によいか? エクササイズとティーセレモニー(茶道、茶会)だ」と考え、茶道具を自作したのがきっかけ。さらに真摯に茶道を探究し、その精神性も踏まえながら、教義に則するだけではない「ホームメイドのティーセレモニー」を芸術に昇華させたのが、ニューヨークのノグチ美術館で発表した『ティーセレモニー』展だ。
彼はまた「マルセル・デュシャンより500年も前にレディメイドを実践していた」と千利休の「見立て」にも目を向ける。電動の茶筅、ボーイング747機の設備を転用した雪隠、綿棒でつくった庭木など、その作品は利休の精神をまさに受け継ぐかのようだ。
そんなトム・サックスの「茶会」がついに日本でも披露される。空間構成のためにイサム・ノグチの彫刻を模した作品まで制作する徹底ぶりだ。新作の茶道具も加わり、会期初日にはサックス本人の点前も公開される。
茶道家や研究者とは異なる立場で、静謐かつ調和が図られた茶の湯の世界をリスペクトし、深い思索とともに暗黙的な要素を潜ませるアーティストの独自解釈。同時開催の『Smutshow』と併せ、トム・サックスの作品世界を存分に味わえる好機だ。

『トム・サックスティーセレモニー』
4/20~6/23
東京オペラシティアートギャラリー
TEL:03-5777-8600(ハローダイヤル)
開館時間:11時~19時(金曜、土曜は20時まで) ※入館は閉館の30分前まで
休館日:月(祝日の場合は開館、翌火曜休、4/30は開館)
料金:一般¥1,400(税込)
www.operacity.jp/ag


『Smutshow』
4/20~5/25
小山登美夫ギャラリー
TEL:03-6434-7225
開館時間:11時~19時(5/25は22時まで)
休館日:月、日、祝(4/30~5/2は開廊)
入場無料
http://tomiokoyamagallery.com

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