変化する都市を捉える、写真の力。

  • 文:赤坂英人

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『写真都市展 ─ウィリアム・クラインと22世紀を生きる写真家たち─』

21_21 DESIGN SIGHT

変化する都市を捉える、写真の力。

赤坂英人美術評論家

西野壮平『TOKYO』。

ウィリアム・クライン『セルフポートレート、パリ1995( ペインテッド 1995)』1995年。

沈 昭良『ステージ』。沈は台湾を代表する写真家のひとり。

「写真都市展」――タイトルを聞いただけで、その中身が気になってしまう展覧会だ。この企画展のディレクターは、美術評論家で東京藝術大学の教授、伊藤俊治。彼は問いかける。「写真は、もはや地球というスケールを飛び越え、新しい星のようになってしまったのではないでしょうか」と。そして、写真が誕生してから約2世紀が過ぎようとしていることを踏まえて、壮大なビジョンとコンセプトを語る。

「この間に生み出された写真は天文学的な数におよび、特にデジタル・テクノロジーやネットワーク・メディアの革新が連鎖した20世紀末以降、その膨大なイメージはいまや粒子化した圏(スフィア)となり、地上のあらゆる光景を記録するもうひとつの次元をつくり出しているかのようです」 

今回はこうした考えのもと、20世紀を代表する写真家のウィリアム・クラインの写真をスタート地点に据えて、未来への都市ビジョンの変遷を、ダイナミックなスタイルで見せていく。クラインとさまざまな形で競演するのはアジアの若い作家たち。石川直樹、勝又公仁彦、沈昭良、須藤絢乃、TAKCOM、多和田有希、西野壮平、朴ミナ、藤原聡志、水島貴大、森永泰弘、安田佐智種である。 

クラインは1928年、ニューヨーク生まれの写真家であり映画監督でもある。またデザイン、ファッションなどジャンルを超えて活動してきた20世紀を象徴する存在である。 

写真集『ニューヨーク』(56年)で写真家として鮮烈にデビューして以来、多くの作家や人々に影響を与えてきた。クライン自身はこう言っている。「絵を描くこと、映画を撮ること、写真を撮ること――表現の方法は違っても、それらはいつも私の自写像である」 

夜空の星々の瞬きのような、クラインと若手作家たちの光と影の饗宴が繰り広げられる。

『写真都市展 ─ウィリアム・クラインと22世紀を生きる写真家たち─』

開催期間:~6月10日(日) 
21_21 DESIGN SIGHT 
TEL:03-3475-2121 
開館時間:10時~19時(入館は閉館30分前まで)
休館日:火(5/1は開館) 
入館料:一般¥1,000 
www.2121designsight.jp