2017年に開業した渋谷のTRUNK(HOTEL)にて。「白金は緑の多い住宅地で、大型の商業施設もない。都心に残されたオアシスのような場所ですね」と語る野尻さん。
では野尻さんにとって、白金でお気に入りのスポットはどこなのかを聞いてみた。
「東京都庭園美術館は大好きですね。企画展も楽しみですが、そもそも建物自体が歴史的建造物で、国の重要文化財にも指定されている。アールデコ様式が美しく、館内随所で貴重な作品を目にすることができます。庭園もすごく広い。費用対効果はとても高いと思います。近くに住んでいたらちょくちょく行って、癒やされているでしょうね(笑)」
プラチナ通りのイチョウ並木もそうだが、白金は木々が多い街だと言われる。
「隣接する国立科学博物館 付属自然教育園も含め、東京都庭園美術館は緑豊かな白金を象徴する施設だと思いますね」
周囲を木々に囲まれた「東京都庭園美術館」。本館の旧朝香宮邸が国の重要文化財に指定されている。庭園は芝庭と日本庭園、西洋庭園からなる3つのエリアがあり、レストランを併設する。photo : (c)FUSAO ONO/SEBUN PHOTO/amanaimages
白金には一流の飲食店が点在しており、食通が足繁く通う街でもある。
「昔からの行きつけは、蕎麦屋の利庵。昼時によく並んだものです。ミシュラン3つ星のカンテサンスはかつて白金に店があって、その後に居抜きで入ったのはティルプス、そしていまの長谷川稔 ラボと、いずれもフランス料理の超人気店が引き継いでいます。中華料理のシノワは、オープンして1年も経たずにミシュラン1つ星を獲得しました。また昨年できたばかりのエスコミートは、群馬県産の増田牛専門の精肉店。増田牛は本当においしい牛肉なので、電話で予約しては買いに行っていますよ」
飲食店に限らず、白金には魅力的なショップも多い。
「ライフスタイル系だと、やはり複合型セレクトショップのビオトープでしょう。ナチュラルでサステイナブルな感じがいいですね。最近はフランフランの新業態であるアロウブがオープンしました。マス向けの広告戦略ではなく、感度の高い人をうまく呼ぶようなマーケティングをしている。そんな隠れ家的な演出をする、通好みの店が白金には多いのかもしれません」
「ビオトープ」はライフスタイルからファッション、ボタニカルなどを提案する複合型セレクトショップ。3階には緑を眺めながら過ごせるカフェ&レストランがある。
「エスコミート」は野尻さんお気に入りの精肉店。群馬県産黒毛和種の増田牛を半頭買いし、店内でカットして販売。抗生物質などの薬剤を投与せず、自然のまま健康的に育てた牛にこだわっている。
エレガントで、感度の高い大人が集う街──。そんな白金がもしこれから変わるとしたら、こうなってほしいというイメージが野尻さんにはあるという。
「今後、私たちの健康意識はますます高まっていくでしょう。それを街ぐるみで取り組んでいく。もともと白金は、都心とは思えないほど緑が多い住宅地。そこにスポーツジム的な設備や有機菜園など、健康に関わる施設を拡充していく。いまはテクノロジーを駆使すれば、バーチャルでの運動体験や屋内での野菜づくりなど、限られた空間でもたいていのことは実現できます。そうなると健康意識の高い人たちが集まってきて、さらにインテリジェンスの高い街になる。そんな可能性をもつエリアは、都心部では限られていますが、白金はその筆頭でしょう」
健康へのサポートが充実し、住んでみたくなる街。野尻さんは、これからの時代に求められる理想的な街の姿を白金に重ね合わせているようだ。やはり白金は洗練された特別な場所で、「らしく、美しく」というフレーズが似合う街なのだろう。
アトラスタワー白金レジデンシャル
所在地:東京都港区白金1-343-16(地番)
交通:東京メトロ南北線・都営三田線「白金高輪」駅徒歩3分
構造・規模:鉄筋コンクリート造、地上23階、地下1階
総戸数:94戸
間取り:1DK~3LDK
専有面積:33.38~114.12平方メートル
竣工予定:2023年9月中旬
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