話題沸騰『佐藤可士和展』!20余年の軌跡から明かされる、 切れ味鋭いデザインの秘密。

  • 文:川上典李子(エディター/ジャーナリスト)

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ユニクロのブランディングに15年以上関わる佐藤が手がけた、グローバル旗艦店「ユニクロ ソーホー ニューヨーク店」の屋外広告(工事中店舗の仮囲い)

「国立新美術館」VI計画、2006年。

【Penが選んだ、今月のアート】

青、赤、黄の3色とロゴのみで構成されたSMAPのポスターが街のいたるところに登場し、話題をさらったのは2000年。佐藤可士和が自身のスタジオ「SAMURAI」を設立して最初の仕事だった。独立前は博報堂のアート・ディレクターとして活躍。その当時からの活動を紹介する展覧会が、満を持して開催される。

表現すべき要素に切り込むようにして明快に示される佐藤のデザイン。その手腕は簡潔明瞭なロゴデザインでも発揮されている。本展が開催される国立新美術館のロゴも佐藤のデザインだ。

企業ブランディング、店舗ディレクションも行う他、建築にも関わり、「建物自体が巨大な遊具」と考えたアイコニックな幼稚園舎のディレクションも手がけている。20年春にはコンセプト構築から関わったスポーツ施設「フラット八戸」が完成を見た。

「ロゴ、プロダクト、空間、建築、街、方法論など、すべてをアイコンとして捉え、デザインしていきたい」。佐藤が以前、語っていた言葉だ。

「自由に、新しい領域を探りたい」「デザイナーはある方向を指し示す役割をもつ。見通していこうとの姿勢をもち続けなくては」と、近年は自身のアートワークとデザインを結ぶ活動も。

ちなみに、本展で紹介される最も初期の作品とは、9歳の時の色紙のコラージュ『宇宙』。マンガのタイトルロゴに膨大なイメージが凝縮されていることを幼くして既に感じとっていたという、佐藤の原点となる一枚だ。

切れ味鋭いクリエイションはいかになされ、デザインをより広く捉えた活動はどのようなものだったのか。活動領域を拡張しながらデザインの可能性を広げてきた佐藤は、いま、未来をどう見据えているのだろう。展覧会のディレクション、キュレーションは佐藤本人。全体が「最新作品」となる展覧会に、大いに期待したい。

博報堂時代に佐藤の名を一躍世に知らしめた、ホンダ「ステップワゴン」のポスター(B0判2連)、1998年。

「日清食品関西工場」トータルプロデュース、2019年。

『佐藤可士和展』
開催期間: 2/3~5/10 
会場: 国立新美術館 
会場: 03-5777-8600(ハローダイヤル) 
開館時間: 10時~18時 ※入場は閉館の30分前まで 
休館日: 火(2/23、5/4は開館)、2/24 
料金: 一般¥1,700(税込) ※日時指定予約制 
https://kashiwasato2020.com
※臨時休館や展覧会会期の変更、また入場制限などが行われる場合があります。事前にお確かめください。