これまでにないブランド独自の体験を提供する、新たなECプラットフォームサービスの力とは。

  • 写真:杉田裕一
  • 文:遠藤 匠

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いま注目を浴びているビジネスモデル、D2C(ダイレクト・トゥ・コンシューマー)。顧客と直接つながるために有効な、新たなECプラットフォームサービスを紹介しよう。

ECプラットフォームサービス「Shopify(ショッピファイ)」を導入し、自社ECサイトを運営しているレザープロダクトブランド「オブジェクツアイオー」。東京・白金にある予約制ショール-ムの階下には、アトリエを併設。そこでプロトタイプの制作を行いながら、ショールームを訪れる顧客と対話しているとのこと。こうした顧客との距離感の近さが、独創的なモノづくりの軸になっている。

オンラインショッピングがますます浸透する中、ブランドのあり方にも変化が求められている。アマゾンに代表される大型ECモールの集客力に頼るのではなく、自社ECサイトで顧客に直接製品を届けるD2C(ダイレクト・トゥ・コンシューマー)の価値が高まっているのだ。こうした流れを受けて脚光を浴びているのが、ECプラットフォームサービスとして世界最大シェアを誇る「Shopify(ショッピファイ)」だ。専門知識がなくてもオンライン販売を手軽に始められ、アカウントさえつくれば管理画面での設定だけでサイトの制作も可能。売上管理などの運営業務を簡単に行える多彩なサブスクリプション型サービスを提供している。


アプリや設定によって、ブランド独自のアプローチができる。

沼田雄二朗(オブジェクツアイオー 代表取締役)●1984年、神奈川県生まれ。土屋鞄製造所でマーケティングやECサイト開発を手がけた後、2018年にブランドを設立。リサーチのために渡米した経験からD2Cにも精通している。

ショッピファイがもたらすメリットを、レザープロダクトブランド「オブジェクツアイオー」の代表取締役を務める沼田雄二朗さんに聞いた。
「我々のモノづくりは上質かつ機能的で、感性に響くものでありたいという思いが軸になっています。だからこそ自社ECサイトで顧客と関係を築き、対話する意味があるわけですが、同時にD2Cによってブランド独自の体験を提供できる。ショッピファイを活用し、その思いが強くなりました」

ショッピファイのPOSアプリの活用で、ECサイトとリアル店舗の製品情報や売上管理などをシームレスに共有することができる。ショールームの予約管理のためのアプリもある。
インスタグラムの投稿をECサイトに自動表示する際も、ショッピファイに用意された専用アプリを活用。

先頃ARという新しい機能を導入した際も、それを実感したという。
「コロナ禍による外出自粛期間中は、店舗兼ショールームで顧客に製品を見てもらうことができず、サイズ感についての問い合わせを多数いただきました。その対応策として、スマホの画面上で製品サイズや全体像を3D映像でリアルにイメージできるサービスを提供し、実際の店舗にいる時のような直感的な製品理解に役立ててもらいました。このように“やってみたい”と思ったことを実現できるアプリが用意されていることも、ショッピファイの大きな魅力ではないでしょうか」

バックパックなど製品をスマホ画面に表示し、全体像やサイズ感を確認できるAR機能。さまざまな角度から製品を見ることができる3D機能も併用可能だ。

こうした機能はアプリとして追加できる仕組みで、現在その数は4000以上。それらの組み合わせ次第でブランドは独自の体験を提供することが可能となり、「オブジェクツアイオーならではのパーソナルかつ特別な体験が演出できる」と沼田さんは語る。加えてシステム開発や管理に労力を取られないので、その分モノづくりに注力できる。質の高いオンラインショップを運営しながらそれができることは、ブランドにとって大きなアドバンテージとなるに違いない。

●問い合わせ先/Shopify Japan
www.shopify.jp