フランス人映像プロデューサー兼編集者のブノワ・ピケさんと巡る、心を寄せられる街、お店。

  • 写真:菊池良助

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日本の魅力をフランス人の客観的な視点で捉え、映像や言葉という表現を通し、世界に伝えている映像プロデューサー兼編集者のブノワ・ピケさん。東京に住むようになって、長い時間が経つそうですが、今、心を寄せられる、落ち着ける場所は家族とともに暮らしている代々木八幡周辺だと言います。そのエリアを巡りつつ、ピケさんがお気に入りとして挙げるお店を紹介していきます。この日の相棒を務めてくれたのは、新型ルノー トゥインゴです。

ブノワ・ピケさんが日本の伝統あるいは新たに生まれた文化、習慣に興味を抱き、フランスから日本に移住したのは10年以上前。当初は京都に住まいがあったそうですが、のちに本人曰く「当時はまだ若かったせいか、刺激が欲しくて」東京に移り住みます。学芸大学など、都心から少しだけ離れた場所を転々とし、現在、ご家族とともに暮らしているのは代々木八幡。ピケさんはその街について、こう話します。

「まず東京全体に言えるいい点はクルマを走らせたり、電車に乗ったりすれば、さほど時間がかからずにさまざまなタイプの街に行けるところ。私がいま住んでいる場所は新宿や原宿、渋谷といった都市にとても近いのですが、雰囲気が穏やかで、人の温かさに触れることができると感じています。実は、周辺にはフランス人が多く住んでいるんですよ。交通の便がよいのもその理由になっているかと思うのですが、それよりも暮らしやすさからみんな、このエリアを選んでいるのでしょう」

「雰囲気が穏やかで、人の温かさに触れることができる」ということは、代々木八幡や近くの代々木上原、富ヶ谷を通ったり、そこのお店を利用したりしたことがある人であれば、誰しもが共感できるかもしれません。背の高い硬質なビルがなく、住宅とこぢんまりとした商店やレストラン、カフェが織り交ざるように立ち並び、そばには代々木公園という広々とした憩いの場がある。どことなく時間がスローに流れている感覚を味わえるのが魅力と言えます。

ルノーブランドの新しい象徴であるCシェイプLEDランプ、エアインテークの口が小さくなりすっきりとしたバンパーなどが与えられたことによって、ルノー トゥインゴのフロントフェイスの印象はがらりと変わりました。コンパクトカーでありながら、ボディカラーの鮮やかさも相まって、街中でさりげなく異彩を放ちます。

景観を壊さずに新しいものを溶け込ませる、その流れをつくった老舗パン屋。

ブノワ・ピケ●海外に向けて日本のクリエイターや日本の魅力を紹介している、フランス生まれ、東京在住の映像プロデューサーであり編集者。フランス資本のクリエイティブエージェンシー、デ・キャトルの日本代表という肩書ももつ。
http://des-quatre.com/

ピケさんの1日は朝、クルマでお子さんを保育園まで送り、時間があれば買い物をしたり、周辺を散策するところからはじまります。新しいお店ができたという情報をキャッチしたら必ず一度はそこを訪れ、どんなものを扱っているのか、どんな人が働いているのか、どんなことをコンセプトとしているのかをチェックして回るそう。見送りの際に欠かさず前を通り、時々パンを買って帰るのが、パン好きなら知らない人はいないと言われるほどの名店、ルヴァン富ヶ谷店です。

古くからルヴァン富ヶ谷店の定番商品であるカンパーニュを手に取り笑顔のピケさん。国産の麦と塩、水、そして自家製の酵母のみを使っているため、自然な発酵の香り、噛むとダイレクトに伝わってくる小麦の風味を存分に楽しめます。

「この数年の間で、このエリアには色々なお店ができましたが、それぞれが共通して店構えがあまり大きくありません。街のなかに自然と溶け込んでいくようにできているんです。街の景観を壊してはならないんだという雰囲気をつくったのがルヴァン富ヶ谷店だと私は思っています。ルヴァンが調布に創業したのが1984年で、今の場所に移ったのは89年。それから20年以上も経っている老舗の有名店なのに、業態を大きくしたりせず、パンの製法も従来のまま守っている姿勢が素晴らしい。バゲットやカンパーニュといったフランス人にとってオーソドックスなハード系から、キッシュやピザ、パイと扱っているものは幅広いけれども、どれもヘルシーなパンの美味しさを追及していると感じています。こういったお店は私の生活に欠かせないんです」

左からルヴァンの代名詞とも言えるカンパーニュ、身体への負担が少ないと言われるスペルト100、全粒粉100%の生地を蒸し焼きしたもっちりした食感が楽しいパンコンプレ、国産無農薬ライ麦と圧力鍋で炊き上げたパン・ド・セーグル。大きく焼かれたパンは量り売りをしてもらうことができます。
ピケさんはお店で働く人の態度も、そこで何かを購入する理由になっていると言います。「スタッフの方が優しかったり、気楽に会話できたりすると、美味しいものがより美味しく感じられるし、また行きたいと思うようになります。当たり前なことかもしれないけれども、そういう人とのコミュニケーションを大切にしたいんです」。左は笑顔でていねいに対応をしてくれたルヴァン富ヶ谷店スタッフの小島光平さん。
この日、バゲットとカンパーニュを丸ごとひとつずつ購入したピケさん。クルマに乗り、次の場所へ向かいます。

ルヴァン富ヶ谷店
東京都渋谷区富ケ谷2-43-13
TEL:03-3468-9669
営業時間:9時~19時(平日、土曜)
9時~18時(日曜日、祝日)
定休日:定休日 月曜・第1、3火曜(祝日の場合は振替営業)

手に馴染んでいる物が揃う、フランスの日用品を扱うお店。

ルノー トゥインゴのコンセプトは「FUN, AGILE, COLORFUL(楽しく、俊敏で、カラフル)」。鮮やかなジョン マンゴーと呼ばれるボディカラーは乗る前の気分を盛り上げてくれ、スポーツカーなどに多く採用されている、発進時の加速力が抜群なRR(リアエンジン・リアドライブ)レイアウトがキビキビとした走りを提供してくれます。

ピケさん推薦のもう一つのお店が主にフランスの日用品、雑貨を展開しているアコテ。ルヴァン富ヶ谷店とは代々木上原駅を通る小田急と千代田線の線路を挟んだ、ほぼ反対側に位置しています。ピケさんが住むご自宅へのルートの途中にあるため、時間が合えば帰り道に立ち寄り、必要なものを買いに行くことがあるそうです。

ビックのボールペンを手に持ち、「やはりボールペンはこれでなきゃ」とピケさん。左は扱っている商品の説明をしてくれたアコテ店主の今村真紀さん。

「このお店を気に入っている理由は、目新しいものももちろん取り扱っているのだけれども、子どもの頃から馴染みのあるプロダクトを豊富に、かつまんべんなく展開している点に尽きますね。フランスの各家庭に必ずあると言ってもいいデュラレックスのグラスやエッグスタンドといった食器、スタンダードなロディアのメモパッドやビックのボールペンといった筆記用具。私は編集者としても活動しているので、ノートとボールペンは欠かせない道具です。特にボールペンに関しては、これまで色々なメーカーのものを試してきたんですが、結局、ビックに戻ってしまうんですよ。シンプルなのにかわいらしいところも気に入っているポイントですが、長年愛用しているので、手に馴染んでいるんだと思います」

ピケさんが小学生の頃、うがい用としても使っていたと言うデュラレックスのグラス。「あまりに身近なもの過ぎて、初めて日本で見かけた時はどうしておしゃれなお店で売られているんだろう、と疑問に感じていたんですが、確かに改めて使ってみると、サイズ感、デザインともにちょうどよかった。どんなキッチンや食卓でも邪魔にならないですし、再び重宝しています」。
アコテで販売されている筆記用具の一部。ちなみに「アコテ」とはフランス語で「隣、近くに」という意味。いつも身近にあってほしいもの、日常をちょっとだけおもしろく彩ってくれるものが多数、揃えられています。

アコテ
東京都渋谷区西原1-7-5
営業時間:10時~19時
定休日:日、月
www.facebook.com/acote.tokyo

生活に欠かせなくて、時々、喜びと発見を与えてくれるものを。

代々木八幡、代々木上原、富ヶ谷エリアはそれぞれ奥に進んで行くと、段々と道が狭くなっていくのですが、ルノー トゥインゴの小型なボディ、4.3mの最小回転半径のおかげで、難なく通ることができます。

「一見、素朴だけれども生活に欠かせなくて、時々、喜びと発見を与えてくれる、普遍性のなかに光る部分を隠しもっているものが好き」とピケさんは言います。ピケさんが暮らす街、ルヴァンでつくられるパン、アコテで扱われる日用品には、その要素が共通してあるようです。そして、ピケさんにとってルノーも同様の存在。

「両親がずっとルノーのクルマに乗っているので、フランスに住んでいた子どもの頃、そのクルマでよく色々な場所に連れて行ってもらった思い出があります。そのため、ルノーは特に親しみがもてるブランド。トゥインゴはフランスの街中をよく走っている見慣れたモデルだったはずなのですが、今回の新型は第一印象から新鮮でした。ひと目見て、元々こんなにかわいらしかったかな?と思い、いざ走らせてみると、0.9ℓという排気量の少ないエンジンを積んでいるのにも関わらずよく走ります。とてもいい意味でイメージが変わりました」

ヘッドライト近くからボディサイドのキャラクターラインに沿って貼られているドットのデカール。シンプルなエクステリアデザインのいいアクセントに。
エクステリア同様、コックピットのデザインもシンプル。近年のクルマは、ステアリングのスポークにたくさんのボタンが設けられていたりしますが、ルノー トゥインゴはそれが必要最低限に留められています。
小型なボディとは裏腹に、荷室の容量は十二分。通常時は174ℓで、後席を倒すことで最大980ℓまで拡大でき、奥行は1336mmになります。「取材をしに日本の各地を頻繁に回るので大型のスーツケースをよく使うのですが、後席を倒せばちゃんと収まりますね」。

ピケさんは続けて、「歳を取るごとに、食べるものや日用品、家具、洋服、クルマなどすべてにおいて、斬新なものではなく、自分の生活全体にフィットするものを選ぶようになりました。フランスには飾り過ぎず、驕らず、ちょうどいい塩梅の物事が最適というような意味をもつ、古くから伝わることわざがあります。それを意識的に守っているわけではないのですが、自然とそういったものを求める傾向に戻っている気がします。これを言い換えると、デザインされ過ぎているものに対して、躊躇するようになっているんですね。新しいルノー トゥインゴはいまの私の嗜好にとてもマッチしていると感じています。進化したからと言って華美にしたり、装備をやたらとたくさんつけたりせず、従来の特徴を守りながらアップデートしているところは、とても好感がもてました。いずれは、このクルマでフランスも走ってみたいです」。

街中を巡ったあと、ピケさんは「温かさを感じるクルマだった」と感想を述べてくれました。その理由はルノー トゥインゴが、ピケさんのルーツがあるフランス・パリの伝統ある街並みのなかでしっかりと育まれ、その上で装いを新たにしたからだと考えられます。

RENAULT TWINGO
サイズ:全長3645×全幅1650×全高1545mm
エンジン型式:0.9ℓ/直列3気筒ターボ
最高出力:92PS/5500rpm
最大トルク:135Nm/2500rpm
価格:¥1950000円(税込)~

ルノー・コール/TEL:0120-676-365
www.renault.jp