2015年に登場した先代のMINI CLUBMMANは、日本で大きな成功を収めた。その理由は、いくつか挙げることができるだろう。

ひと目でMINIだとわかるスタイルであること。5人が余裕を持って座れる室内空間と広い荷室空間を備えていること。品が良く個性的なボディーカラーを用意していること。“ゴーカートフィーリング”と呼ばれる小気味良いドライブフィールを味わえること。先進的な安全装備・運転支援装置を装備すること。豊富なオプションが用意されるので、自分だけの1台を仕立てる楽しさがあること。

こうしたMINI CLUBMANの魅力はそのままに、新型はこのモデルが持つ「ジェントルマン」というキャラクターをさらに強調するデザインとなった。注目すべきは、フロントマスクとリアビューだ。

一説によると、人間は3つの点を見ると無意識に顔だと判断するという。クルマのフロントマスクが顔に見えるのもそのためで、3つの点（両ヘッドランプとラジエターグリル）がそのクルマのキャラクターを左右する大きな要因となる。

新型MINI CLUBMANでは、ヘッドランプの周囲を囲むLEDデイライト・リングの意匠が変更された。これまでは一部で円が途切れていたものが、つながったのだ。きちんとした円となることでMINIのアイコンである「ぱっちりとした丸い目」がさらに強調された。

もうひとつ、ラジエターグリルの全域に、キラリと光るクロームのデザイン要素を追加したことも特徴だ。エンジンを冷却するための空気を取り入れるラジエターグリルは、クルマのパワーの象徴。そこがダイナミックなデザインとなり、より精悍な表情となった。「目」と「口」のデザイン変更で、MINIらしいキャラクターと力強さが強調されたのだ。

クルマのデザインは、フロントマスクよりリアビューのほうが大事だという説もある。なぜなら、対向車と通り過ぎるのは一瞬で、フロントマスクを見ているのはほんのわずかな時間だからだ。

一方、信号待ちや渋滞では、前を走るクルマのリアビューをじっくりと眺めることになる。したがって、「あのクルマはカッコいい／カッコ悪い」というイメージの形成にあたっては、リアビューが果たす役割は非常に大きい。また、高性能車の場合は追い越しざまにリアビューを見せつけることもあり、ここでも後ろ姿が重要になる。

デザインに定評があるMINIのこと、もちろんリアビューの重要性はわかっている。新型MINI CLUBMANのリアビューをデザインするにあたっては、LEDリア・コンビ・ランプにユニオン・ジャックをあしらった。英国生まれというアイデンティティを示すことが狙いだが、同時にデザイナーの遊び心も感じさせてくれる。

荷室へとアクセスするドアを、ハッチゲートやバックドアと呼ぶ。ハッチゲートを大きくするほうが、荷物の積み降ろしが容易になるのは当然。しかしハッチゲートを大きくすると、開け閉めをする時に後方に大きなスペースが必要となってしまう。たとえば、後方の壁ぎりぎりに駐車をした場合は、クルマを少し前に出して、ハッチゲートを開くためのスペースを確保しなければならない。

荷室にアクセスしやすい大きさでありながら、同時に使い勝手もいいハッチバックを追求した結果、左右方向に独立して開くスプリット・ドア、いわゆる“観音開き”の方式に行き着いた。しかも、両手が荷物でふさがっている状態でも、荷室の下方で足を動かすと自動で開く、イージー・オープナー機能が備わっているため、快適に荷物を積み込むことができるのだ。

自動車専門誌などで、「ホイールベース」という言葉を観たことがある方もいるだろう。ホイールベースとは前輪と後輪の間隔を意味し、ここが長ければ長いほど室内空間が広くなる。

MINI CLUBMANの全長は4270mm、ホイールベースが2670mmと、いずれもMINIファミリーで最長となる。そしてこのホイールベースの広さは、大人が余裕を持って座ることができる後席の広さにつながっている。

MINI CLUBMANの荷室で注目したいのが、空間にでっぱりや段差が存在しないことだ。自動車のカタログには「荷室容量●●●ℓ」などと表記されるが、実はスクエアでフラットな形状でないと、有効に荷物を積むことができない。デッドスペースのないMINI CLUBMANの荷室は、本気で荷物を積みたい人の身になって設計されていると言える。

MINI Cooper Clubman

全長4,275mm、全幅1,800mm、全高1,470mm、ホイールベース2,670mm、車両重量1,430kg、車両総重量1,705kg、排気量1,498cc、直列3気筒ガソリン・エンジン、最高出力100kW(136PS)/4,500rpm 、最大トルク220Nm/1,480-4,100rpm 、燃料消費率14.7km(WLTC)。

MINI Cooper S Clubman
全長4,275mm、全幅1,800mm、全高1,470mm、ホイールベース2,670mm、
車両重量1,470kg、車両総重量1,745kg、排気量1,998cc、直列4気筒ガソリン・エンジン、最高出力141kW(192PS)/5,000rpm 、最大トルク280Nm/1,350-4,600rpm 、燃料消費率14.0km(WLTC)。

MINI Cooper S ALL4 Clubman
全長4,275mm、全幅1,800mm、全高1,470mm、ホイールベース2,670mm、車両重量1,550kg、車両総重量1,825kg、排気量1,998cc、直列4気筒ガソリン・エンジン、最高出力141kW(192PS)/5,000rpm 、最大トルク280Nm/1,350-4,600rpm 、燃料消費率13.3km(WLTC)。