話題の「マツダ」最新モデルを、六本木で体験する!

  • 写真:山田 陽
  • 文:サトータケシ

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待望の新型「ロードスター」や注目モデル「CX-3」など、元気なニュースが続いている「マツダ」。
六本木で開催中のイベントにクローズアップし、“元気”の理由をひも解きました。

思わず足を止めさせる、躍動感あるデザイン

気温30度を優に超す真夏の六本木ヒルズに、そこだけ多くの人が足を止めるスポットがあります。六本木通りに面したメトロハットの正面に、2台のマツダ車が展示されているのです。
1台は、マツダCX-3(上写真)。このクルマは、世界中で人気を博しているコンパクト・クロスオーバーというジャンルのモデル。「クロスオーバー」とは、さまざまなジャンルが交流するという意味。従来のSUVともハッチバックとも異なる、新しいスタイルのクルマです。
そしてもう1台は、マツダ・ロードスターの最新モデル(上写真)。初代が登場した1989年から26 年にわたって世界中のエンスージアスト(熱心なクルマ好き)から愛される、オープン2シーターの傑作スポーツカーです。最新モデルは、初代から数えて4世代目となります。
「ソウルレッドプレミアムメタリック」という、これまでの自動車の赤色とはひと味違うレッドをまとった2台は、背の高いクロスオーバーと低くうずくまるスポーツカーだから、まったく別のジャンルのモデルです。けれどもこの2台には、どこか共通したキャラクターがあるようにも思えます。

通常の新型車展示イベントであれば、「この2台に同じ匂いを感じるのはなぜか」という疑問は、そのままスルーせざるを得ません。でも今回のマツダのイベントは違います。ただ展示するだけでなく、開発者と話をしたり、抽選で当たれば同乗試乗ができるからです。
ちなみにこのリポート、次ページにはマツダCX-3の主査を務める冨山道雄さん、チーフデザイナーを務めた松田陽一さんへのインタビューを掲載しています。インタビューでは「2台に共通項を感じる理由」についてもふれられているので、ぜひご一読ください。

多くの人が足を止めてこの2台を注視するのは、それだけデザインに吸引力があるからでしょう。パッと見にはそのまま走り出しそうな躍動感を感じさせ、じっくり時間をかけて見るとラインや面構成の繊細さに気づきます。
ただの四角い箱のような、効率的ではあるけれど味気ないデザインが路上にあふれるいま、マツダが凝ったデザインを採用するのには理由があります。それは、クルマは単なる移動の道具ではなく、ライフスタイルを表現したり生活に潤いをもたらす存在である、という想いがあるからなのです。

クルマをただの移動の道具にしたくないという想いは、デザインだけでなく運転したフィーリングでも表現されています。六本木ヒルズを訪ねて、クルマで生活を豊かにしようというマツダのチャレンジに、ダイレクトに触れてみてはいかがでしょうか。


Mazda 『Be a driver. Experience at Roppongi』

●車両展示
場所:六本木ヒルズ メトロハット正面
住所:東京都港区六本木6‐4‐1
日程:7月18日(土)~8月23日(日) 
時間:11時~19時 

車種:マツダ ロードスター S Special Package 7月18日(土)~8月23日(日)
   マツダ CX-3 XD Touring L Package 7月18日(土)~8月 5日(水)
   マツダ デミオ XD MID CENTURY 8月 6日(木)~8月23日(日)

●開発者トークショー&ドライビングポジションレクチャー&開発者同乗試乗
時間:1日2回開催/1回目10時~13時 2回目14時~17時

開催日、車種:
7月 18日(土)、7月 19日(日)「マツダ CX-3 Day」 ※申込終了
7月 20日(月・祝)、21日(火)「マツダ ロードスター Day」※申込終了
7月 25日(土)、7月 26日(日)「マツダ CX-5 Day」※申込終了
8月 1日(土)、8月 2日(日)「マツダ アテンザ Day」※申込終了

8月 15日(土)、8月 16日(日)「マツダ アクセラ Day」
8月 22日(土)、8月 23日(日)「マツダ デミオ Day」

参加方法:専用サイト(http://www2.mazda.co.jp/summer-station/mazda/)にて事前申し込みをしてください。

申込期間:7月17日(金)~7月27日(月) ※募集は現在終了しております。

なぜいま、「マツダ」に話題が集まるのか?

今回のイベントのために来場した開発陣に、注目を集めるマツダのクルマづくりについて、お話をうかがうことができました。まず最初にご登場いただくのは、CX-3のチーフデザイナーを務める松田陽一さんです。

——六本木ヒルズにマツダCX-3とロードスターが並んでいるのを見て、2台に共通するものを感じました。CX-3のチーフデザイナーを務めた松田さんに、その理由をうかがいたいと思います。

松田 現行のCX-5から、マツダのモデルはすべて「魂動(こどう)デザイン」というコンセプトでデザインされています。これがどういうコンセプトかというと、生命感を感じるようなデザインをするというものです。全体のプロモーションやサーフェイス(表面)のエモーショナルな面の変化、あるいはフロントマスクの表情などで生命感を表現しています。

——それは、現在のすべてのマツダ車に共通しているということですね。

松田 はい。ただし何かのモチーフを共通で使うということではなく、目指すクルマの表現の方向を揃えているということです。そんなところから、CX-3とロードスターに似た雰囲気を感じ取っていただけたのでしょう。CX-3に関して言うと、セダンともハッチバックとも違う、クロスオーバーという新しいジャンルのモデルです。「魂動デザイン」というコンセプトに則りながら、新しい存在感を表現することに取り組みました。

——エクステリアだけでなく、インテリアにも新鮮な印象を受けました。

松田 エクステリアと同じく、新しい切り口の存在感を大事にしながらデザインしました。非常にシャープな金属調の表現と、人間がつくった温かみというものをうまく融合することで、いままでにないインテリアになったと思っています。ステッチにもこだわり、革やバックスキンと金属調の表現がハーモナイズするようにつくり込んだつもりです。

——一番苦労したのはどの部分のデザインでしょうか。

松田 ベースとなるのはデミオのインテリアですが、別のデザインにしたい。そこでメーターパネルにCX-3専用のフード(庇)を付けたいと思いました。ただしフードをつくるとなると、専用の樹脂の金型を起こさないといけません。しかも左右のハンドルがあるから金型は2つ。投資やコストの面で難しかったのですが、開発のまとめ役である主査の冨山が「思い通りにやれ」と言ってくれたので、やり切ることができました。そんな風に言ってくれる主査は、なかなかいないのですが(笑)。
次にお話をうかがうのは、松田さんのインタビューでもお名前が挙がった冨山道雄主査。CX-3開発におけるキーパーソンです。

——チーフデザイナーの松田さんは、冨山主査が「思い通りにやれ」と言ってくれたことが大きかったと振り返っていました。

冨山 デザイナーという人種は自分にとって最高のクルマに仕上げたいという徹底的なこだわりをもっています。当然、試作車を見ると、これじゃつくれない、コスト的に見合わないという部分も出てきます。でもCX-3に関しては、デザイナーの想いを貫き通してあげたいと思いました。

——どうしてそれが可能になったのでしょう。

冨山 デザインの試作車ができた時に、役員に見せる前に工場のスタッフとファイナンスのスタッフに見せました。このクルマ、格好いいよね、このままつくりたいよね、と。すると工場のスタッフは、「厳しいところもあるけれど、やっちゃるわい」と言ってくれました。ファイナンスの人間というのは普段はコストカッターですが、「この形を実現することを前提にコストダウンをしよう」と、協力してくれました。つまりいろんな部門を仲間にして、みんなで考えながら実現したのです。

——工場のスタッフも、ファイナンスのスタッフも、マツダから格好いいクルマを送り出したいという想いは一緒なんですね。

冨山 面白かったのは、みんなが「サイズはどのくらいなん?」とか「これナンボで売るん?」と、自分がオーナになることを前提に議論に加わってくれたんですね。つまり、自分が欲しいと思えるクルマを自分たちで開発していた。そういう関心の高さを感じた時に、このクルマはイケると確信しました。


……いかがでしょうか。インタビューを通じて開発陣がいかにクルマづくりを楽しみ、”本気”を込めているのかが、よく伝わってきます。六本木ヒルズという都会の真ん中で行われる今回のイベントでは、それほどクルマに詳しくなく、普段はあまりクルマの情報に接していない人々にも、マツダの最新モデルに注目してほしいと語っていました。街ゆく人の注目を自然と集める元気なメーカー、「マツダ」。その魅力をぜひ、あなたも体感してみてください。
冨山道雄 Michio Tomiyama
●1986年にマツダ入社。商品戦略本部に在籍し、技術戦略を担当する。2001年に技術戦略グループのマネジャー、07年に技術企画部の部長に就任。技術戦略のほか、環境安全戦略、技術コミュニケーション戦略や官公庁への渉外活動などを幅広く担当する。その後、CX-3の主査に就く。
松田陽一 Yoichi Matsuda
●1990年にマツダに入社。エクステリア、インテリアのデザインを担当した後、99年にドイツのマツダモーターヨーロッパでフォードとのジョイントプログラムに参画。その後、2011年からデザイン本部でCX-9のマイナーチェンジのチーフデザイナーを務めた後、CX-3のチーフデザイナーに就任。