【第3回 富岡製糸場編】Honda NEW オデッセイ×Pen「本質を感じる、知への旅」へ。

  • 写真:岡村昌宏(CROSSOVER)
  • 文:大隅祐輔

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「本質を感じる、知への旅」第3回目は、2014年に世界遺産として登録された群馬県富岡市に位置する、明治期の日本の生糸産業、貿易を支えた富岡製糸場が舞台。革新はどういった背景で起こるのかを考えながら、富岡製糸場とNEW オデッセイに見出された共通点について触れていきます。

現在はギャラリーなどとして活用されている、繭の保管所の前にて。

江戸時代の末期、日本はアメリカとの間で日米修好通商条約を締結し、それを皮切りにオランダ、ロシア、イギリス、フランスとも同様の条約を結び、貿易をスタートさせます。当時の主な輸出品は絹をつくるために必要とされる生糸。この頃、生糸をつくる道具として普及していたのが、歯車仕掛けになっている木製の簡易的な座繰器(ざぐりき)と呼ばれるもの。生糸をまんべんなく巻き取ることができる綾振り装置が座繰器にはついていたため、手で挽くよりも効率はよかったのですが、品質にはバラつきがあったといいます。それが災いし、生産量が増えるにつれ、粗悪なものばかりが出回るようになってしまい、諸外国と貿易をスタートしたにもかかわらず、日本に対する評判がどんどん落ちていきます。その結果、品質を斉一化でき、かつ大量出荷をまかなえる製糸工場の建設が求められるようになり、富岡製糸場はつくられたのです。

世界遺産 富岡製糸場とNEW オデッセイから考える、革新のきっかけとは?

富岡製糸場の各建物は、木の骨組みの間を積み上げたレンガで埋め壁を、木骨煉瓦造と呼ばれる西洋の建築方法で基礎をつくり、そこに日本の瓦屋根を組み合わせる、当時は珍しかった和洋折衷のコンセプトの元、建てられました。
繰糸所の内部。約140mもの奥行があり、両側にずらりと生糸をつくるための機械が並びます。重要な巻き取り作業はここで行われていましたが、一定量の重さ、長さ、幅になっているかは、きちんと人の目で確かめた上で出荷されていました。

品質の斉一化と大量出荷をまかなうことを 目指して建設した富岡製糸場の役割は、大きくわけて4つの項目で構成されていました。洋式の繰糸器械を導入し一定の生産量を保つことができる世界最大規模の環境をつくること。外国人技術者の指導をもとに生産を行い、高いクオリティを追求すること。日本全国から工女を募り、新たな雇用を生むこと。加えて、その工女たちを指導者になれるまで育てあげ、各々の出身地で技術を広めることも将来的な計画に含まれていました。操業がスタートしたのは1872年の10月。大量かつ良質な生糸を生産できるシステムを構築し、一部の特権階級の人しかもつことができなかった絹織物を世界中に広め、一般化させるきっかけをつくり、多くの人びとの生活を彩った富岡製糸場は、1987年の操業停止後も大切に残され、現在は過去の偉業、文化を伝える役目を担っています。          

1セットで幅32mある、上で触れた巻き取りを自動化させるための巨大な機械。1987年の操業停止まで稼働し続けた、日本が誇る宝物です。

富岡製糸場が我々に教えてくれていることは、“大きな問題の改善から革新は生まれる”ということです。このことは昨今の自動車に搭載されている運転支援技術にも当てはまります。誕生した理由は、1970年代に街を走るクルマの数が急激に増加したのに伴って交通事故が多発し、社会問題となっていたためでした。そこからHondaは衝突安全に関する研究を開始し、まず今では当たり前な機能となっているABS(アンチロックブレーキシステム)を国産車ではじめて実用化。その後、2002年に単眼カメラによって車線を検知し、車線の中央に沿って走れるように支援するLKAS(車線維持支援システム)2003年には世界で初めて、遠くにいる対象の位置、速度の測定が可能で、雨、霧、夜にも強いミリ波レーダーを使い、緊急時に減速などを行うCMBS(追突軽減ブレーキ)を実用化しました。NEW オデッセイにはその技術開発の集大成であるHonda SENSINGが採用されています。

NEW オデッセイのミリ波レーダーは、エンブレムとヘッドライトの間のバー(向かって左隣)から放たれています。見た目ではわからないよう設計しているため、デザインを一切阻害していません。



NEW オデッセイを特徴づけているひとつとしてここで挙げたいのが、低床、低重心の独特な設計方法です。ミニバンは床面と背が高い高重心なつくりが一般的。しかし、それだと走行安定性が欠けてしまう。そこで、燃料タンク、排気システム、サスペンションといった、床下に設けられているすべての部品を小型かつ薄くすることで、その設計を実現させたのです。

ドアを開けると、室内床面が非常に低い位置に設定されていることがよくわかります。オデッセイのオリジナリティとなっている超低床プラットフォームは、デザインや走行安定性に寄与しているだけでなく、乗り降りを楽にもしてくれます。

富岡製糸場は産業に対する姿勢、仕組みを、革新させました。それは、新しい時代を切り拓こうとするチャレンジ精神をもち続けたからこそもたらされた結果です。HondaはNEW オデッセイでミニバンというスタイルをまったく新しいカタチに変えました。人々の生活を豊かにすることも目指して努力する姿勢。時代も、業種も違う両者ですが、そんなものづくりへの熱意が共通するのかもしれません。



オデッセイと、富岡製糸場との共通性とは? Honda NEW オデッセイの魅力とは?

詳しくはHonda NEW オデッセイスペシャルサイトにて。

www.honda.co.jp/ODYSSEY/pen/

富岡製糸場

群馬県富岡市富岡1-1
開場時間:9時〜17時(入場は閉館の30分前まで)
休場日:年末(12月29日~31日)
見学料:1,000円(一般)、250円(高校・大学生 ※要学生証)、150円(小・中学生)※未就学児無料
www.tomioka-silk.jp/