【TRUME、時を刻むアナログの鼓動】Vol.7 男を華麗に導く、大海原の羅針盤。

  • 写真:岡村昌宏
  • 文:ガンダーラ井上

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腕時計ブランド「TRUME」に各界の識者が迫る連載企画。第7回はヨットレースの写真家、矢部洋一さんが海に〝携えていく道具〞として語ってくれました。

TRUMEの「M Collection」はGPSセンサー、気圧・高度センサー、方位センサーを内包し、各種の情報をアナログ針で表示。バンドは水に強くマリンジャケットの上から装着しやすい長さのコーデュラバリスティックナイロンと、上質なホーウイーン社製クロムエクセルレザーの2本を同梱。腕時計本体だけでなくベルトの金具まで軽量で腐食にも強いチタン素材を採用しています。TRUME TR-MB7005 ¥259,200(税込)

TRUME(トゥルーム)は、エプソンが立ち上げた新コンセプトウオッチのブランド。さまざまなセンサーを搭載しながらも、その表現をすべてアナログの針で行うという大胆な発想で注目を集めています。そのセカンドモデルが今回新たに登場。海をテーマとした本モデルを、ヨットレース写真の第一人者である矢部洋一さんに使ってもらい、そのインプレッションを語ってもらいました。

海の上の腕時計として、 必要とされるスピリット

1957年、東京生まれ。出版社の舵社でフォトグラファーとしてキャリアをスタートし99年に独立、同社チーフカメラマンとして契約。世界の著名なヨットレースを撮影すると同時に、著述や翻訳も手がけています。

フォトグラファーの矢部洋一氏にとって、仕事に出ることは海に行くことと同義。外洋ヨットレースの競技艇に同乗し、4000㎞を超える距離を10日間で走り抜けます。洋上の冒険を、クルーと同じ視点で波しぶきを浴びながら写し取ります。その臨場感は、海に出たことのない人々の心まで魅了します。

「海の上で使う道具で何より重要なのは信頼性と正確性です。そしてシンプルであること。冗長な道具は使いません」と矢部氏は断言します。

過酷なヨットレースの一場面をとらえた、矢部さんによるカット。厳しい環境にさらされる海上では、持ち込む道具は必要最低限であるべき。さまざまな機能をもったTRUMEは、そんな海上でも頼りになると、矢部さんは語ります。写真=矢部洋一

1ページめで矢部氏の作品やカメラとともにある腕時計。それがエプソンの新コンセプトウオッチ、TRUME(トゥルーム)です。小さなケースの中には先端技術を駆使したGPSセンサー、気圧・高度センサー、方位センサーを内蔵し、計測結果はすべて文字板のアナログ針だけで表示。これらの高度に電子化されたシステムの電源は文字板裏側のソーラーパネルによるライトチャージ機能がまかない、電池交換は不要です。

「なににも頼らず、しっかり動き続けてくれる自律性。これほど海の上でありがたいことはないですね。つくり込みの細部まで気が使われていると思いますし、色づかいやデザインもシンプルで抑制が効いています。そこが好ましいと思いました」とTRUMEの第一印象を語ります。このモデルに挿し色として使われているエンジ色は、ヨットマンには特別な意味をもつといいます。

フィルムカメラ好きゆえの、アナログの安心感。

ナイロンバンドに加え、味のあるレザーバンドも付属。使い込むほどに色艶が増し、経年変化が楽しめます。

「船の帆が天然素材のコットンだった時代には、耐久性を上げるべく樹皮などから抽出したタンニンで染めていました。この樹液に浸けると、帆が赤みのある茶色になったそうです。それは特に漁師や作業船の船乗りたちが伝統的にやってきたことなので、エンジ色は強靭さやスタミナをイメージさせます。船の世界が好きな人ならピンとくる、歴史を感じさせる色です」

デザインに加えてTRUMEの注目すべき点として矢部さんが挙げてくれたのは、自分のいた位置を記録し、再びそこに戻りたければ方角と距離を示してくれる「ウェイポイント機能」。「たとえば沖に出て霧に包まれてしまい、帰る場所を見失ってしまったとしてもウェイポイント機能があれば安心していられます。船に積んである計器が全部ダウンしてしまう可能性とは、いつでも隣り合わせです。だから腕時計がバックアップになり得る機能をもっていると心強いものです」。さらに、多彩な機能のすべてがアナログ表示というのも嬉しいと矢部さんは語ります。

時に4000㎞を超える距離を10日間で走り抜けるという外洋ヨットレース。写真=矢部洋一

「いまは航海計器も表示は全部デジタルですから、その中でふとTRUMEを見るとアナログで安心する。たとえばコンパスの針が揺らぐ様子を眺めたり、あるいは当直を交代してデッキから船室に戻り、何時に起きようかとベッドで針を見て考えたり。そんなシーンを想像すると楽しいですね」

矢部さんは、フォトグラファーとしてフィルムの時代を体験できたことが大きな財産だと感じているそう。写真に対する姿勢やファインダーの中への集中力は、アナログのカメラで鍛えられたといいます。「デジタルの機材を使っていますが、僕の気持ちはアナログテイストを保ったまま。まさにTRUMEにシンパシーを感じるところです。タフで正確で太陽電池で動き続け、アナログとしての楽しさがある。一緒にもっていく時計として非常に好ましいですね」

風の力を頼りに、大海原を駆け抜けることを日常とする男の相棒。自分がどこに向かうべきかを判断するのに必要な情報が得られると同時に、世界と向き合う姿勢も共有できる腕時計。それがTRUMEなのです。