【TRUME、時を刻むアナログの鼓動】Vol.11 アメトラの流儀に適う、男の道具。

  • 写真:岡村昌宏(CROSSOVER)
  • 文:ガンダーラ井上

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腕時計ブランド「TRUME」に各界の識者が迫る連載企画。第11回はファッションデザイナーの西野大士さんがアメトラのスタイルとの親和性について語ってくれました。

TRUMEの「S Collection」はGPSセンサー、気圧・高度センサー、方位センサーを内包し、各種の情報をアナログ針で表示。1秒間に何m上昇・下降したかを示すバリオメーター機能も搭載する。文字盤裏側のソーラーパネルで発電するライトチャージ機能で駆動するので電池交換は不要だ。TRUME TR-MB7007 ¥280,800(税込)

TRUME(トゥルーム)は、エプソンが立ち上げた新コンセプトウオッチのブランド。さまざまなセンサーを搭載しながらも、その表現をすべてアナログの針で行うという大胆な発想で注目を集めています。その新モデルがこのたび登場。空ををテーマとした「S Collection」を、ファッションデザイナーの西野大士さんに使ってもらい、そのインプレッションを語ってもらいました。

アメトラの神髄とは〝いい塩梅で、格好をつけすぎない〞こと。

ファッションデザイナーでありアタッシュドプレスも務める西野大士さん。小学校の教師をするかたわらバンタンデザイン研究所大阪校を卒業。老舗アメトラブランドの販売員を経てプレスに。退職後にパンツ専門ブランド「NEAT」を立ち上げ、プレスオフィス「NISHINOYA」も経営する。

2015年に始動した「NEAT」は、日本発のパンツ専業ブランド。〝きちんとした〞という意味の英語をブランド名とし、クラシックなスタイルをベースにしながらも遊び心を忘れず、しかも尖りすぎない。いまの時代にフィットするシルエットにヴィンテージのテント生地なども採用するコレクションが、コアな洋服好きから熱い支持を得ています。デザイナーの西野さんは自身のブランドを立ち上げる前に老舗アメトラブランドのプレスを務めていたことでも知られる人物。現在のクリエイションにはアメトラの流儀が強く影響を及ぼしているといいます。

1ページ目で、西野さんが所有するアメリカンレジメンタルタイとともにある腕時計。それがエプソンの新コンセプトウオッチ、TRUME(トゥルーム)です。その第一印象から西野さんは、アメトラとの相性が抜群だと感じたと話します。

モノトーンのモデルも用意。オレンジのモデルと同様にチタンのメタルバンドが付属する。

「ブレザーに派手目なタイでトラッド感を出しつつTRUMEと合わせるのもいいですし、ジャケットやタイをネイビーで揃えて腕時計の量感や挿し色を引き立たせるのもありです」

西野さんの愛するアメトラの神髄とは〝いい塩梅で、格好をつけすぎない〞こと。「ニューヨークのグランド・セントラル駅からスーツにリュックのスタイルの人が出てくる感じが素敵だと思います。要するに合理的なんです」

普遍的なデザインのアナログウオッチの顔をもつTRUMEは高精度G PSセンサー、気圧・高度センサー、方位センサーを搭載し、時計を超えた計測器としても機能します。西野さんが興味を惹かれたのは、登録した出発点から現在地までの距離と方向をアナログ針で示してくれるウェイポイント機能です。

培ってきた技術を、 自社ブランドで発揮。

ケース側面にはTRUME独自のストーンフィニッシュ(バレル研磨)を施しています。あえて粗い質感に仕上げ、道具としての味わいがさらに深まっています。

「海外の旅先でスマホが使えずホテルはどっちだろう?みたいになりがちですが、これは心強いですね。方位センサーを正確に動かすために磁気を帯びないチタンをケースに使っている。だから驚くほど軽いんですね。いちばんすごいと思ったのは、電池交換なしで動き続けることです」

TRUMEの高度に電子化されたメカニズムは徹底的な省電力の仕様であり、ソーラーパネルで光を受けて発電する〝ライトチャージ〞機能で駆動するので電池交換は不要です。エプソンといえばプリンターの印象が強いですが、実は腕時計業界を支えてきた実力者。世界初のアナログクオーツ腕時計や、GPS機能付きソーラー発電ウオッチを開発したのもエプソンなのです。

「いままでの個人的なイメージでは、エプソンが腕時計?という感覚でしたが、その話を聞くともっている技術をTRUMEの中に全部注ぎ込んでいるのだと腑に落ちました。それを知ることで数多くの機能や、それを表すデザインすべてに真実味が出てきますね」

このモデルにはチタン製メタルバンドも同梱されています。モノトーンのモデルにはシルバー、オレンジのモデルにはブラックが付属しています。

TRUMEの新作Sコレクションでは、使い込んだツール感を演出すべくケース側面の仕上げにバレル研磨を用いることで、あえて粗い質感を表現。このモデルにはチタン製メタルバンドとレザーバンドが同梱されています。その革がシカゴに本拠を置くホーウイン社製のクロムエクセルレザーだと知り、西野さんの目が輝きだしました。

「自分が初めて買ったアメトラブランドの1枚革のローファーは、もちろんホーウインでした。持ち歩いている鍵のケースもホーウインのコードバン。使い始めて1年ですが、いい感じで経年変化を楽しんでいます」

自らの見る目をもち、本当に好きだと思えるものを主張できるオーナーとともに時を過ごす。そんな価値のある腕時計が、TRUMEなのです。