理想形の追求に応える、彫刻家の道具とブライトリング

  • 写真:岡村昌宏(CROSSOVER)
  • 文:佐野慎悟

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ブレイクダンスをテーマに彫刻作品を手がける話題のアーティスト、小畑多丘さん。ブライトリングの「クロノマット」を腕に、理想の造形を語ります。

小畑多丘●1980年、埼玉県生まれ。99年、ヒップホップチーム「UNITYSELECTIONS」結成。2006年、東京藝術大学美術学部彫刻学科卒業。08年、同大学大学院美術研究科修了課程彫刻専攻修了。国内に限らず、海外有力ヒップホップアーティストからの支持も厚い。12月2日(日)までワタリウム美術館にて二人展『HYPER LANDSCAPE 消えてゆく風景』が開催中。www.watarium.co.jp

B -BOYを題材とした彫像を手がける異色のアーティストとして、近年世界的に注目を浴びている彫刻家の小畑多丘さん。正確で質実剛健な道具をアーティストとして使っている彼に、同じく計器として優れたブライトリングの腕時計を着けてもらいました。

ロジカルにつくりあげる、 感覚を揺さぶる造形。

B -BOYをテーマにさまざまな彫刻を制作。実際よりも絶妙にデフォルメさせたポーズが特徴。

高校時代から、ダンサーとしても活動する小畑さん。「藝大を目指して浪人をしている時に、映像が面白くてクレイアニメ作品などをつくっていましたが、自分のスタイルを模索していくうちに、だんだんとデッサンや彫刻に惹かれるようになっていきました。そんな時、『B -BOYの彫刻があったら、なんかヤバそうだな』と思ったのがそもそものきっかけで、マインド的にはその当時からまったく変わっていません」


制作途中の大型作品や木材、工具が雑然と並ぶ、小畑さんのアトリエ。制作に没頭できる、静かな環境が気に入っているそう。

かくしてブレイクダンスの決めポーズ〝フリーズ〞を誇張したユニークな造形を、あえて仏像や民芸品といった伝統的なハンドクラフトのイメージが強い木彫で表現するという、独自のスタイルを手に入れた小畑さん。奇抜な組み合わせの面白さとは裏腹に、両者の間に共通点を見出しているようです。

機能がそのままかたちになった、無駄のないデザイン

チェーンソーよりも、繊細で正確な作業が可能なノコギリを好む小畑さん。さまざまなタイプを使い分け、木を細かく切っていきます。

「ダンスも彫刻も、身体表現であり、同時に空間表現でもあるという部分においては、とても似通っています。彫刻の場合は、ダンスよりも誇張やデフォルメした表現ができるので、よりインパクトのある造形をつくることが可能ですが、あまりにも非現実的な表現になると、人間味やリアリティがなくなってしまいます。人体の構造的にギリギリ実現可能なラインを守りながら、視覚的にかっこいいポーズを追求することが、特に気を使うポイントです」

ブラックの文字盤とシルバーのケースのコントラストが美しい〝クロノマット JSP〞。自動巻き、SSケース、ケース径44㎜、500ⅿ防水。¥896,400(税込)

実際に彫刻を行う際は、綿密にパースを計算したデッサンを基に、特殊な計器で正確に水平を計測しながら彫り進めていきます。彫刻と聞くと終始感覚的に造形を生み出していくイメージがありますが、小畑さんの作品では、特に規則性が重要なのだといいます。

「ブライトリングもプロフェッショナルの計器と言われていますが、この質実剛健な感じが共感できます。僕が使う道具も、機能がそのままかたちになった、無駄のないものが多いです」

時に力強く、時に繊細に、魂を込めて彫刻を進める小畑さんの手首の上で、「クロノマット」が正確な時を静かに刻みます。

問い合わせ先/ブライトリング TEL:03-3436-0011
www.breitling.co.jp