「オーデマ ピゲ」をLINEで楽しむ! Penとのコラボスタンプはどのように生まれたのか?

  • 写真:宇田川 淳
  • 文:和田達彦

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スイス高級時計の聖地、ジュウ渓谷のル・ブラッシュに本拠を置くオーデマ ピゲ。機械式時計の老舗メゾンがPenとコラボして、イラストレーターのソリマチアキラさんの手によるユニークなLINEスタンプをつくりました。

オーデマ ピゲ初となるLINEスタンプのイラスト原案。

1875年に創業されたオーデマ ピゲは、140年以上におよぶ歴史の中で、世界初の機構を数多く生み出し、常に革新的な時計づくりをしてきたブランドです。そのオーデマ ピゲが、コミュニケーションアプリ「LINE」のスタンプをリリースします。いずれも、オーデマ ピゲ独自の世界観を表現しつつ、日常のさまざまな状況で気軽に使えるものとなっています。イラストを手がけたのは、洒脱なタッチでファッション誌などを中心に活躍するソリマチアキラさん。さっそく、その制作過程を紹介しましょう。

まずはブティック訪問で、オーデマ ピゲの世界を体感。

銀座にあるオーデマ ピゲのブティックを訪れた、イラストレーターのソリマチアキラさん。

LINEスタンプをつくるにあたり、Penとオーデマ ピゲがめざしたのは「オーデマ ピゲならではのコトやモノを、LINEスタンプならではのイラストにする」ということ。そこで、時計はもちろん、その背景にあるブランドの世界観を体感するために、ソリマチアキラさんは銀座・外堀通りに面したオーデマ ピゲの直営ブティックを訪れました。2014年にオープンしたこの旗艦店は、「マニュファクチュアール」と「ラウンジ」の2つの空間からなり、最新コレクションを含むオーデマ ピゲの腕時計を数多く展示するだけでなく、その空間でブランドのルーツや芸術性を表現しています。

ブティック内の展示を眺めるソリマチアキラさん。「店内はギャラリーのような佇まいですね」

ブティック内には、時計とともに、ブランドの本拠地であるスイスのジュウ渓谷の写真や木の化石などが展示されています。フロアに置かれた岩や石なども、すべてジュウ渓谷から運んできたもの。ジュラ山脈に囲まれたジュウ渓谷の豊かな自然は、その造形美や星空が時計のデザインに大きなインスピレーションを与えました。「オーデマ ピゲとル・ブラッシュの自然美とのつながりが感じられますね」と、ソリマチアキラさんは語ります。

メガ・タペストリー模様のグレーダイヤルと、ブラックセラミックのベゼルやプッシュボタンの組み合わせが美しい「ロイヤル オーク オフショア クロノグラフ」。

続いてソリマチアキラさんは、「ロイヤル オーク」シリーズの新作コレクションを手にとりながら、オーデマ ピゲの時計についての説明を受けました。1972年に世界初のステンレススティール製ラグジュアリースポーツウォッチとして登場したロイヤル オークは、六角形のネジで留められた八角形のベゼルや、ギヨシェ彫りによるタペストリー模様の装飾が施された文字盤が特徴です。「とても細密で、芸術的。ディテールに至るすべてが完成されていますね」

時計を腕に着けるソリマチアキラさん。その造形美や感触を確かめます。

時計職人の魂が込められたオーデマ ピゲの腕時計のデザインには、「黄金比」、つまり人が最も美しいと感じる数学的なバランスが活かされている、とソリマチアキラさんは感じたようです。「黄金比の重要さは、イラストや、私が好きな服でも同じ。上質なクラシックを求めていくうえでは、黄金比を考えることがとても大切だとつねづね感じていたんです。その思いとリンクして感動しました」

イラストで表現する、芸術的なディテール。

イラスト制作のため資料を読みこむソリマチアキラさん。「ムーブメントの部品一つひとつが、美学に基づいてつくられていることがよくわかります」

イラストの制作に着手したソリマチアキラさんがまず考えたのは、LINEスタンプのカジュアルなムードと高級ブランドであるオーデマ ピゲをいかにつなげるかということ。「こまかく打ち合わせをしたので、何を描くかは問題ありませんでしたが、芸術的なオーデマ ピゲの世界をLINE独特の空気のなかに落とし込んだ時にどう見えるようにしたらよいか。それを考えながら、それぞれのテーマからイメージを膨らませていきました」

ケント紙に細身の筆とインクを使って描かれたイラスト原画。

雑誌などのイラストを描く場合、読者層に合わせてキャラクターを描き分けているというソリマチアキラさん。「LINEスタンプの場合ももちろん同じです。スタンプを使う人をイメージしました。オーデマ ピゲのスタンプですから、ラグジュアリーで、かつ自分のスタイルをもっている人たちを表現したいと思いました。よい感じに年を重ねていて、生活に豊かさのある人。服装はクラシックに寄せて描くようにしました」

イラスト制作において苦心した点を語るソリマチさん。

そして実際にイラストを描くうえでいちばん悩んだのは、ディテールの描写についてだったとソリマチアキラさんは語ります。「LINEのスタンプは主にスマートフォンの小さな画面上で見るものなので、時計のディテールをどこまで描き込むか。細かすぎるとわかりづらいし、かといって簡略化してしまうと魅力が伝わらない。オーデマ ピゲの時計は細密で芸術的なディテールまですべてが完成されているものなので、イラストでどこまで表現できるか、描きながらも不安でした」

デジタルで彩色を施し、完成したLINEスタンプのイラスト。

こうした悩ましい過程を経て、ついに16個のLINEスタンプが完成しました。いずれもオーデマ ピゲならではの時計やその機構、デザインをイラスト内に巧みに配しつつ、送る側も送られる側も楽しくなるようなスタンプに仕上がっています。オーデマ ピゲのファン、そして時計愛好家の方にとっては見逃せないスペシャル仕様のスタンプです。ぜひ、LINEスタンプショップで「オーデマ ピゲ」と検索してみてください。

問い合わせ先/オーデマ ピゲ ジャパン TEL:03-6830-0000