オシアナス、江戸の伝統技と融合した先進の腕時計。

  • 写真:溝口 健
  • 文:笠木恵司

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最先端の電子技術を洗練された造形美で表現するカシオの「オシアナス」に、180年もの伝統を誇る江戸切子のブルー・ベゼルを備えた限定モデルが再び登場しました。

カシオは先進的で独創的なハイテクウォッチによって新時代を拓く一方で、日本のさまざまな伝統工芸とコラボした特別モデルを発表してきました。 

今年は「オシアナス・マンタ」のベゼルに江戸切子をアレンジ。スイスで3月に開催された国際時計宝飾展示会のバーゼルワールドでデビューしましたが、世界限定1500本がたちまち完売。この高い人気を追い風として、第2弾の限定モデルが登場しました。

高硬度のベゼルを、手作業でカットしていく。

堀口徹 ●1976年東京都生まれ。2代目秀石・須田富雄に江戸切子を師事。3代秀石を継承し、堀口切子を創業。料亭や商業施設との協働も多数。時計ブランドとのコラボはカシオが初。

江戸切子は、その名称が示すように江戸時代末期に誕生。およそ180年にもおよぶ歴史をもつガラスの彫刻技法です。この第2弾では、江戸切子を前面に押し出すスタイルではなく、あくまでも時計の佇まいに調和したシンプルかつ繊細な直線文様の「千筋」を採用。これを不連続なパターンでカッティングし、さらにベゼルの上半分を深いブルー、下半分をブラックに着色しました。まだ明るさを残す夕暮れ時の東京の空と、すっかり暗くなった街並みをイメージしたといいます。洗練された造形美を追求してきた「オシアナス」にふさわしい、絶妙のセンスといえるでしょう。 

ただし、江戸切子が素材としてきたのは硬度の低いガラスですが、「オシアナス」のベゼルリングは風防と同じサファイアクリスタル。ダイヤモンドに次ぐ高い硬度にもかかわらず、手作業で33カ所を彫り込んでいます。このため、摩耗した切削用ホイールを復元する「目立て」を頻繁に行うなど、途方もない手間と時間が費やされているのです。

ベゼルリングに手作業によるカッティングを施す様子(写真は前回のコラボモデル)。どちらもダイヤモンドに次ぐ高い硬度のサファイアクリスタル。このベゼルを切削するホイールの摩耗が激しいので、刃先をシャープに復元する「目立て」が頻繁に必要となります。

現代的・都会的な切子を、ブルー&ブラックで装う。

伝統工芸とのコラボは「オシアナス」では初めて。ガラス切子の採用も時計界初といいます。堀口氏の発案で、都会的な雰囲気を表現しました。

「オシアナス・マンタOCW-S4000D-1AJF」では、もともとは透明なサファイアクリスタルのカット面を際立たせるため、ベゼルの裏側からシルバーの蒸着を施し、その後でベゼルを2色に着色しています。こうした複雑なプロセスを経ることで、ビジネススーツにも似合うエレガントでスタイリッシュな雰囲気が醸成されているのです。

江戸切子モデルの左側面。多機能ながらもケース厚は11.4mmとスリム。側面のボタンはスマホとの連動などモード切替スイッチです。
遮光分散型ソーラーパネル。発電セルを渦巻き状にして針の影の影響を回避、ダイヤルの色が濃くても電力量を確保できます。

ちなみに「オシアナス」は2004年に世界初のフルメタル電波ソーラーとして誕生しました。このモデルは世界6局の標準時刻電波を自動受信し、Bluetooth®を搭載することでスマホと連動する最新型エンジンを備えています。最先端の高機能に加えて、「すべての技術進化はエレガンスの追求のために」を理念とするコレクションになっています。「オシアナス・マンタOCW-S4000D-1AJF」は、こうした革新性と、江戸切子の芸術性豊かな伝統という、ふたつの日本の誇りが融合した希少な特別モデルです。

ベゼルに施された江戸切子の文様に、ブルーとブラックがよく映えます。ダイヤルの立体感も魅力的。標準時刻電波はもちろん、スマホとも連動、自動でタイムゾーンの変更に対応します。タフソーラー、チタンケースで総重量約90g。「オシアナス・マンタOCW-S4000D-1AJF」 ケース径43.3mm、世界限定3000本。¥216,000(税込)

問い合わせ先/カシオ計算機 お客様相談室 TEL:03-5334-4869

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