ザ・グレンリベット、時代を牽引するシングルモルトの原点。

  • 写真:宇田川 淳
  • 文:西山 亨
  • スタイリング:廣松真理子

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スコッチウイスキーを代表する「ザ・グレンリベット」。1824年の創業以来、スコットランド北部のスペイサイドで伝統的な製法は現在も守り続けられています。

背の高いユニークなかたちのポットスチルで蒸留した原酒を、伝統的なアメリカン・オーク製のバーボン樽で熟成。繊細な柑橘系の芳香が広がり、フルーティなフレーバーをマイルドな甘さがバランスよく引き立てる。ザ・グレンリベット「ファウンダーズリザーブ」¥5,184(税込)

スコットランドで2番目の長さを誇るスペイ川。この流域を中心としたエリアがスペイサイドで、スコッチウイスキーの聖地と呼ばれています。ウイスキーの主要産地6つのうちのひとつで、スコットランドに100以上あるウイスキー蒸留所のうち約半数が集中。その理由は大麦の産地であり、スペイ川の良質な水や熟成に適した気候に恵まれている点が挙げられます。

創業時からの伝統的な製法で、洗練の味を守り続ける。

スペイサイドの蒸留所で、初めて政府公認を得た創業者のジョージ・スミス。現在も使われているポットスチルは彼が設計したものだ。
長く優美なネックを特徴とするポットスチルは、手前にあるのが初留釜、奥に並ぶのが再留釜。職人の世界を思わせるが、最新設備で管理され年間1050万ℓの原酒を生産する。

豊富な水源と雄大な自然に囲まれたスペイサイド。この地でフルーティかつ華やかな香りと味わいという、スペイサイドモルトの特徴を確立させたのが、1824年創業の「ザ・グレンリベット」です。ウイスキーの密造が行われていた当時、政府公認蒸留所第1号の認可を取得したことから「シングルモルトの原点」と呼ばれています。蒸留所はスペイ川の支流にあたるリベット川近くの谷にあり、グレンリベットとはゲール語で「静かな谷」を意味します。

ウイスキーづくりに用いる大麦は、30年以上にわたって同一生産者から仕入れているスコットランド産。仕込み水には、蒸留所の敷地内にある源泉「ジョシーズ・ウェル」と呼ばれる湧水を創業時から使用します。ミネラルを豊富に含んだ硬水が、ウイスキーの味わいを特別なものへと際立たせるのです。

ザ・グレンリベット蒸留所のみ使用が認められている「ジョシーズ・ウェル」。1890年以降、仕込み水として使われている。
原酒の多くがバーボン樽やシェリー樽などで熟成される熟成庫。長いものだと40年以上も熟成を続ける。

大麦の乾燥、糖化、発酵、蒸留、熟成という製造工程の中でも、クライマックスといえるのが原酒を生み出す蒸留です。約150年前から同じかたちというポットスチル(蒸留器)は、背が高く細いランタンのような優美な形状が特徴。より多くの銅と接触する構造によって、雑味のないピュアな味わいを実現します。また酵母が糖分をアルコールと二酸化炭素に分解し、ウォッシュ(発酵液)をつくる発酵の工程も見逃せません。一般的にはステンレス製のウォッシュバック(発酵槽)を使うのに対して、アメリカ・オレゴン州産の松材を使用。高さ約6.5mもの木製のウォッシュバックが、ザ・グレンリベットらしいフルーティさを生み出します。

そして熟成には、バーボンやシェリーを熟成させた後の樽などを利用。どのような特性をもつ樽で何年熟成させるかで、さまざまな味わいのザ・グレンリベットが生まれるのです。現在は全9種類をラインアップ。多彩な味わいが楽しめるのも、シングルモルトの原点ならではの強みといえるでしょう。

左の3本が比較的ポピュラーな「ファウンダーズリザーブ」「12年」「15年 フレンチオーク・リザーブ」。中央の3本がプレミアムな「18年」「アーカイブ21年」「25年」。右の3本が個性的な「ナデューラ オロロソ」「ナデューラ ファーストフィル セレクション」「ナデューラ ピーティッド」。

問い合わせ先/ペルノ・リカール・ジャパン
TEL:03-5802-2671
www.theglenlivet.jp