注目のクリエイターがビールを片手に語り合う、それぞれの仕事における“イノベーション”とは?【前編】

  • 写真:杉田裕一
  • 文:西田嘉孝 テーブルコーディネート:松尾絢子
  • ヘア&メイク:AZUUMI

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私たちの日常をより楽しく、刺激的なものにしてくれるクリエイターたち。今回は料理や酒、盆栽、ファッションなど、さまざまなジャンルで活躍する4人が集結。それぞれの仕事における“イノベーション”について、ビールを片手に語り合ってもらいました。

グリーンを配した食卓に映える、オレンジやコリアンダーなどが描かれた「ヒューガルデン」のラベルデザイン。淡いイエローの色合いが華やかなホワイトビールは、仲間とのホームパーティに特別感を与えてくれる。

とある休日の昼下がり、緑あふれる食卓に集ったのは、料理家のYOSHIROさんにフリーアナウンサーの近藤淳子さん、景色盆栽家の小林健二さん、ファッションスタイリストの小林伸崇さんという面々です。

たとえば趣向を凝らした料理やおいしい酒、また植栽などのグリーンや最新のファッションスタイルなど……。いつもの景色にひとつ特別ななにかをプラスすることで、より楽しく豊かな気分になる。きっと誰もが、そんな体験をしたことがあるはずです。

彼らはさまざまなメディアを通じ、私たちの日常をより楽しく刺激的なものにしてくれる、いわば“暮らしの中のイノベーション”を提案する個性的なクリエイターたちです。ビールを片手に賑やかにスタートした座談会、さっそく4人の言葉に耳を傾けてみましょう。

クリエイターたちが考える、暮らしの中のイノベーションとは?

左から料理家のYOSHIROさん、フリーアナウンサーの近藤淳子さん、景色盆栽家の小林健二さん、ファッションスタイリストの小林伸崇さん。

グリーンに囲まれたテーブルの上には、彩りのよいビールと料理。「やっぱり緑があると心地いい」と声を揃える参加者の皆さんに、「こうして眺めているだけでも、触っていても心が豊かになりますよね」と話す、景色盆栽家の小林健二さん。

「休日の昼からビールを飲んでいたら妻に怒られるけれど、庭に出て植木の手入れをしながらだと褒められます(笑)。休日は朝からビールを片手に緑を触るのが、私にとって大切で幸せな時間。グリーンとビールは特に相性がいいですね」

この日は司会・進行を務めてくれた、フリーアナウンサーの近藤淳子さんの音頭で、まずは乾杯。それぞれこの日が初対面ということもあり、簡単な自己紹介から座談会が始まりました。

近藤淳子(フリーアナウンサー)●北陸放送(TBS系列)のアナウンサーとして勤務したのち、フリーランスに転向。現在はホリプロに所属し、報道キャスターやラジオパーソナリティとして活躍。日本酒への造詣が深く、各メディアで日本酒の魅力を伝える活動も行っている。
「トマトとほぐしたホタテのブラックオリーブ和え」。ヒューガルデン特有の穏やかな酸味が食材と響き合うように、酸味が控えめなミニトマトをチョイス。コリアンダーと相性が抜群のピンクペッパーも加えることで、彩りもよく見た目にも楽しい一品に。

「私は小学生の頃からアナウンサーになりたくて、大学を卒業して石川県にある北陸放送に入社しました。そこで出会ったのが地元の日本酒。そのおいしさに魅了されて、いまは日本酒の素晴らしさを広める活動もしています」

そう話す近藤さんは、唎酒師やJSA(ジャパン・サケ・アソシエーション)が主催するサケ・エキスパート講師としても活動。いまではアナウンサーや司会など幅広く活躍するかたわら、日本酒コンテストの審査員を務めています。

さらには、多くの日本酒愛好家の女子が参加する「ぽん女会」を2009年から主催。つくり手である蔵元の情熱や創意工夫を、飲み手に伝える活動に熱心に取り組んでいます。

「私は伝えることが仕事なので、いつもモノをつくる人はすごいなと尊敬しています」と話す彼女から、3人のクリエイターに「皆さんの仕事にとって、イノベーションとはなんでしょうか?」という質問があがりました。

小林健二(景色盆栽家)●東京・自由が丘の盆栽店「品品(しなじな)」のオーナー。現代の生活と植物を結び付け、人の心を植物によって豊かにすることをコンセプトに掲げて活動。モダンでシンプルな鉢に四季や空間を彩る“景色”として、さまざまなライフスタイルに合う盆栽を創作している。
「鶏むね肉のレモンペッパータツタ」。カリッとした食感やマヨネーズと和えたレモンの酸味、ワサビの鮮烈な風味が一体となり、ヒューガルデンと驚くほどの好相性を実現。ホワイトビールの優しい酸味や繊細な味わいを、より際立たせてくれる一品だ。

近藤さんからの問いかけに対して、「盆栽に限らないかもしれませんが、イノベーションとは自由であることかもしれませんね」と答えるのは、モダンでスタイリッシュな「景色盆栽」を提案する景色盆栽家の小林健二さん。

「盆栽にしても生花にしても、もともとは中国で特産物がなく自然しかない土地の人が、木や花を切り取って皇帝に献上したことが始まりだと言われています。それがかたちを変えて海を渡り、日本の傾奇者(かぶきもの)と呼ばれる人たちが面白がったことで、現在の盆栽という伝統や文化がつくりあげられたわけです」

大学を卒業後、公共のランドスケープデザインを請け負う東京の設計事務所に勤めた小林さんが、本格的に盆栽を学んだのはアメリカのポートランドでした。

「日本だと盆栽はおじいさんの趣味ですが、世界に出るとまた違って見えるのです。日本の文化はどれもエキサイティングですが、盆栽もそのひとつ。明治時代まで粋な若者の趣味だった盆栽を、手軽なかたちで現代の生活に取り入れてもらいたい。そう考えのが、景色盆栽家になった原点なのです」と話します。

ビールと料理の新しい発想が、未知なる味わいの扉を開く。

小林伸崇(ファッションスタイリスト)●大学時代はランドスケープデザインを専攻。ファッション誌をはじめ広告、ブランドカタログのスタイリングや、クリエイティブディレクションなどを手がける。Pen本誌のファッションページでも活躍中。
「ポークソテー 胡椒と粒マスタードのマーマレードソース」。揚げ焼きにした豚肉に、すりおろした玉ネギと生姜、粒マスタード、マーマレードジャムなどを使ったソースを添えて。アクセントのマーマレードとパクチーが、ビールとのペアリングを高めてくれる。

「たとえば雑誌のファッションページやブランドのカタログをつくるなら、フィーチャーしたいアイテムをどう見せるかを考えて、フォトグラファーやロケ場所など、全体をコーディネートするのがファッションスタイリストの仕事です」

そう話すファッションスタイリストの小林伸崇さんは、大学で都市緑化などのランドスケープデザインを専攻。さり気なくグリーンを取り入れたスタイリングを得意とし、Pen本誌のファッションページでも活躍しています。

「ファッションの世界でイノベーションというと、やはり自分たちが楽しむところから生まれるものだと思います。たとえば、いまならデニムパンツにジャケットを合わせるようなビジネスカジュアルが当たり前になっていますが、いわゆるワークウエアと格調高いテーラードジャケットを合わせる発想なんて、ひと昔前にはありませんでした。いま流行のスポーツミックスにしても、誰かが『これって面白いのでは?』と遊び心で始めたもの。いい文化には、そうした遊び心が生むイノベーションから派生したものが多いですよね」

YOSHIRO(料理家)●食や酒に関する9つの資格を保有し、日本食文化の伝道師としてテレビをはじめ各メディアで活躍中。またトライアスロン競技のエイジグループ(年齢別)の日本代表であり、「食×スポーツ」を考える活動の普及にも力を入れている。
テーブルに並んだのは、前菜の「トマトとほぐしホタテのブラックオリーブ和え」と「鶏むね肉のレモンペッパータツタ」、そして「ポークソテー 胡椒と粒マスタードのマーマレードソース」の3品。

和食店を営む父を見て育ち、「より多くの人に料理の楽しさを伝えたい」と料理家を志したYOSHIROさん。彼は「今回の挑戦自体が私にとってイノベーティブな体験でした」と話します。メディアでも数々の独創的な料理を披露していますが、ビールとの本格的なペアリングは今回が初めてとのこと。この日のために、素材も調理法もさまざまな6品の料理を用意してくれました。彩りも豊かな料理には、ビールとの相性から逆算したポイントが、それぞれに隠されているのだとか。

「たとえば、『トマトとほぐしたホタテのブラックオリーブ和え』なら、小麦を使ったホワイトビールの優しい飲み口に合わせるため、トマトは湯むきをして繊細な口当たりに。ミニトマトの穏やかな酸味やホタテの旨味は、どちらもこのビールにも感じられるもの。『鶏むね肉のレモンペッパータツタ』には、和の食材であるわさびを効かせて。『ポークソテー』のソースにはアクセントにマーマレードを使い、添えたパクチーをお好みで合わせてください」

「ビールに合わせて料理をつくるのがこんなに楽しいなんて、いままで知らなくて損をしていましたね」と語るYOSHIROさんと、“口福”なペアリングに驚きの声を上げるメンバーたち。「ビール自体の香りや味わいに複雑さや懐の深さがあるから、いろいろな食材やスパイス、繊細な和の食材と合わせても面白い」とYOSHIROさんが話すように、ビールをとことん食中酒として楽しむこうした革新的なペアリングは、ホワイトビールだからこそなせるワザなのです。

おいしい料理とビールを食べて飲んで、大いに語って。前半の3品を試食し終えたところで、また乾杯となった。後半に向けて、試食会はさらに盛り上がりを見せていく。

1445年、ベルギーのヒューガルデン村にある修道院で誕生したヒューガルデン。修道士たちが最初につくったホワイトビールは酸味が強く、決しておいしいものではありませんでした。そこで彼らが目をつけたのが、当時、東インドからベルギーへと入ってきたばかりのラハナやコリアンダーシードです。「ラハナ」と呼ばれたカリブ海に位置するキュラソー島のオレンジは苦味が強く食用には向かなかったものの、その皮を乾燥させると華やかでよい香りに。さらにコリアンダーシードを組み合わせることで、現在の「ヒューガルデン ホワイト」につながる“完璧なレシピ”が生み出されたのです。

15世紀当時、既にベルギーでは数多くのビールがつくられていましたが、オレンジピールやスパイスを副原料として使用する製法は、まさに其れまでのビールの常識を覆す発想でした。いわば、約500年前に生まれた“イノベーティブ”なビールなのです。この【前編】に続く【後編】では、そんなベルジャンホワイトビールと料理とのペアリングが、さらなる驚きと発見を巻き起こします。10月25日(予定)の公開をお楽しみに。

ヒューガルデン ホワイト

容量/容器:330mℓ瓶、330mℓ缶
アルコール分:4.9%
原材料:麦芽、ホップ、小麦、糖類、コリアンダーシード、オレンジピール
酒税法上の区分:発泡酒
価格:330mℓ瓶¥323(税込)、330mℓ缶¥300(税込)

問い合わせ先/アンハイザー・ブッシュ・インベブ ジャパン
TEL:0570-093-920
https://hoegaarden.jp