17年の歳月を経て誕生した、ドン ペリニヨンの新ヴィンテージとは。

  • 写真:宇田川淳
  • 文:西田嘉孝

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17世紀からの歴史を誇るキング・オブ・シャンパーニュ、ドン ペリニヨンが待望の新作をリリース。新たに就任した醸造最高責任者のヴァンサン・シャプロンが、いまの思いを語ってくれました。

熟成のさらなる高みを体感する珠玉の一本。長い年月を経て凝縮された香りや味わい、輝きを増すヴィンテージの魅力を堪能できます。「ドン ペリニヨン ヴィンテージ 2002 プレニチュード 2」。ギフトボックスが付属。¥58,968

シャンパーニュの起原であり代名詞として、そして最高峰のプレスティージュ・シャンパーニュとして、その誕生から現在に至るまで、常に世界中の飲み手に感動を与え続けてきたドン ペリニヨン。

2018年には、1990年から28年間にわたって醸造最高責任者を務めたリシャール・ジェフロワが退任。その後任には、ジェフロワにその才能を見出され、05年から右腕となってドン ペリニヨンの醸造に携わってきたヴァンサン・シャプロンが指名されました。シャプロンが7代目の醸造最高責任者に正式に就任したのは19年1月1日。このシャンパーニュの偉大なるメゾンにとっての新時代の幕開けとともにリリースされたのが、「ドン ペリニヨン ヴィンテージ2002 プレニチュード2」です。

ドン ペリニヨンは約8年にわたる熟成によって第一の熟成のピークを迎えます。今回リリースされるプレニチュード2は、そこからさらに長い年月の熟成を重ね、第二の熟成のピークへと達した芸術品のようなシャンパーニュです。緻密な調和と完璧なバランス、そして凝縮された自然のエネルギーが感じられる、まさに特別なドン ペリニヨンと言えます。

技術的伝承よりも大切な、真に受け継がれるべきもの。

ヴァンサン・シャプロン ドン ペリニヨン醸造最高責任者 1976年生まれ。モンプリエ国立高等農業学院でブドウ栽培・ワイン醸造学の学位を取得した後、チリやフランス・ポムロールで修業を積み、99年にモエ・エ・シャンドンに入社。

「今回が15度目の来日ですが、醸造最高責任者になってからは初めての日本です。気分が少し違いますね」

今年1月に着任した醸造最高責任者、ヴァンサン・シャプロンはそう微笑んだ後、大きな責任を噛みしめるようにゆっくりと、現在の日々や新たな大任への思いを語ってくれました。

「自分自身や世界と常に対話し、ドンペリニヨンのプロジェクトをいかに進めていくかを、呼吸をするように絶え間なく考え、イメージすること。シャンパーニュの畑や旅先で得たインスピレーションから未来のビジョンを描き、それをチームのメンバーと完全に分かち合って具現化していくこと。それが現在の私の最も大切な役割だと考えています」

リシャール・ジェフロワ(左)とシャプロン(右)。©︎Pascal Montary

現在醸造チームには、シャプロンを含めて4名のメンバーが在籍しています。

「次のヴィンテージから醸造やブレンドといった細かな工程、さらにはドン ペリニヨンを通じてどのような体験を生み出していくかといった大きな方向性まで、すべてはこの4名が中心になって決定します。気の早い話ですが、私がジェフロワからいまの役割を継承したように、彼らの誰かが私の跡を継がなくてはなりません」

そう話すシャプロンは、先代との関係性を「まさに師と弟子のようなものでした」と説明します。

「収穫したブドウがワインになり、また新たな1年が始まる。そうしたサイクルを何度も繰り返す中で、ジェフロワはまず、私が自分自身と対話をするためのサポートをしてくれました。そしてドン ペリニヨンに関わるあらゆることをともに体験することで、自然に多くのことを教えてくれたのです」

彼は14年前、29歳の若さでジェフロワに誘われ、ドン ペリニヨンのチームに加わりました。

「ドン ペリニヨンを担う人材は、好奇心旺盛で忍耐強さをもち、なによりもオープンマインドであることが大切だと思います。最新の科学から芸術などの感性に訴える分野まで、幅広い世界を自由に行き来して、そのすべてから得たインスピレーションをシャンパーニュに還元する。まさにジェフロワはそういう人でしたし、私もそうありたいと考えています。技術的な伝承はもちろん大切ですが、実はそれは最も重要な部分ではありません。より人間的な部分にこそ、真に受け継がれるべきこのメゾンの魅力の源泉があるのです」

単一年に収穫されたブドウのみを使用したり、シャルドネとピノ・ノワールのみを組み合わせたり、最低でも8年以上熟成させたりと、メゾンで一貫して守られてきた伝統の製法は、彼らのシャンパーニュを世界最高峰たらしめている大切な要素です。しかしそれらに加え、メゾンがもつ革新性とそれに伴う特別な体験があってこそ、「世界中の飲み手に感動を与え続けることができる」とシャプロンは言います。

「たとえばジェフロワの時代には、日本から多くのインスピレーションを得ることでシャンパーニュの可能性を広げました。ドン ぺリニヨンはいわば完璧な調和を表現するシャンパーニュですが、それは日本の懐石料理などにも共通します。我々は2000年頃から和食とのマリアージュなども試みてきましたし、“旨味”という表現にも出合いました。もともとドン ペリニヨンにも旨味と呼べる要素はありましたが、それを表現する言葉をもっていませんでした。具体的に旨味という表現を手に入れたことで、我々はシャンパーニュの世界をより押し広げることができたのです」


「最新の科学から芸術まで、あらゆる世界から得た発想をシャンパーニュに還元したい」と語るシャプロン。

そう話すシャプロン自身も、食や建築、宗教観といった文化を積極的に学ぶなど、日本には大きなリスペクトを抱いています。

そんな彼が、「日本のみなさんに向けて、私が醸造最高責任者になってから初めてご紹介できる素晴らしいヴィンテージです」と話す、「ドン ペリニヨン ヴィンテージ2002 プレニチュード2」

「02年はその後10年も続いた猛暑の幕開けとなる年で、ブドウの熟成に関して近年で最もインパクトがある年でした。アロマもテクスチャーも非常に濃厚で、我々にとっては黄金のイメージ。大きく包み込まれた芳醇なアロマやフレーバーが次々と流れ出るような、とても豊かな味わいのヴィンテージです。そうしたワインを澱とともにより長く熟成させることで、ワインに“第二の生命”を与えたのが、今回のプレニチュード2。黄金を思わせる豊かさはより際立ち、味わいはより深みと幅を持ち、後口もより長く心地よいものとなっています」

歴史ある名門メゾンの新たな時代の幕開けに相応しい、収穫から17年の歳月を経たシャンパーニュ。この1本に詰まった特別なストーリーを、ぜひ体感してみてください。

尾道の大自然を舞台に開催された、日本初のお披露目イベント

尾道にほど近い無人島の波打ち際にゲストの人数分のグラスが並べられ、ソロテイスティングが行われました。©hdp-photography

去る6月、「ドン ペリニヨン ヴィンテージ2002 プレニチュード2」の世界同時発売を記念した日本初のお披露目イベントが開催。醸造最高責任者、ヴァンサン・シャプロンが、広島県尾道の無人島にゲストを迎える形で行われました。

「ここ尾道には、木があり、海が広がり、踏みしめる大地があり、大自然のすべてがあります。自然の中の生命がシャンパーニュに変容し、自然から生まれるすべてのエネルギーを、いま私たちは受けているのです。『ドン ペリニヨン ヴィンテージ2002 プレニチュード2』とこの豊かな自然の恵みに、どうぞ心ゆくまで向き合ってください」。ゲストを案内しながらシャプロンはそう語り、波打ち際でのソロテイスティングや、瀬戸内料理とのマリアージュを楽しむディナーが振舞われました。

ディナーでは、「ドン ペリニヨン ヴィンテージ2002 プレニチュード2」に合わせ、ベラビスタ スパ&マリーナ尾道の藤井智哉シェフが地元の新鮮な食材を使用した瀬戸内料理の数々を振舞いました。©hdp-photography
イベントの会場となったベラビスタ スパ&マリーナ尾道。デッキからは、瀬戸内海を一望することができます。©hdp-photography
グラスを持ち、挨拶するシャプロン。©hdp-photography
特別な体験を分かち合うゲストたち。©hdp-photography
ドン ペリニヨンの各ヴィンテージについて、シャプロンが解説を行った。それを聞きながらゲストは、「ドン ペリニヨン ヴィンテージ 2002 プレニチュード2」をはじめ、 ヴィンテージ 1996、1998、2000のすべてのプレニチュード2を堪能しました。©hdp-photography

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