Feature Food 織物の限界を超えた匠と、特別なウイスキー“ミズナラ”の共振。

織物の限界を超えた匠と、特別なウイスキー“ミズナラ”の共振。

写真(ボトル):宇田川淳 写真:内藤貞保 文:吉田桂

日本文化を守り続ける匠たちへのリスペクトが込められた、シーバスリーガルの日本限定品「シーバスリーガル ミズナラ」。その伝統の担い手のひとり、老舗帯匠「誉田屋源兵衛」の山口源兵衛さんを取材しました。

織物の限界を超えた匠と、特別なウイスキー“ミズナラ”の共振。

実際には存在しない幻の花が、織りの技術によって立体的に浮かび上がる。

創業1738年、京都の室町三条にある老舗帯匠「誉田屋源兵衛」の10代目当主である山口源兵衛さん。斬新かつ闊達な感性をもとに、腕利きの職人たちを束ね、織物による究極の美を追求しています。シーバスリーガル ミズナラが生まれるきっかけとなった、「日本の匠」の象徴ともいうべき人物です。
「1300年もの染織文化の歴史を背負っている」と自らを追い込み、常にあらたな表現に挑み続ける源兵衛さんの作品は、見る者を圧倒するほどの存在感を放ちます。これは本当に織物なのだろうか、と目を疑うほどの精緻な造り。それは、途方もない努力と高度な技術により、ようやく世に産み落とされた奇跡の一反なのです。
「この大輪の花の帯は、徳川家康の孫にあたる千姫の嫁入り衣装をもとにつくったんです。花は紫陽花、葉は菊、茎は牡丹。きっと3歳くらいの小さな千姫の希望で描かれた、幻の花なんでしょうね」
織物の限界を超えた匠と、特別なウイスキー“ミズナラ”の共振。

誉田屋の中庭に面した座敷で作品を披露する源兵衛さん。

「これは怒涛のなかを泳ぐ2匹の鯉を描いた、中国の古い水墨画をもとにしたものです。よう見てください。命がけの跳躍の時、大きな鯉は小さな鯉を見守ってるんですよ。その瞬間を描きたかったんです」
うねる波、はぜる飛沫。2匹を襲う怒涛を表現するには、通常の3分の1の細さの糸で織る必要があったといいます。長い西陣織の歴史においても例を見ないこだわり抜いた表現。職人の技術力の高さが窺い知れます。
源兵衛さんの作品の素晴らしさは織りの技術だけではありません。太古に使われていた染色を再現した、草木染めによる深く鮮やかな色の表現もまた、引き込まれるような美しさを放ちます。
織物の限界を超えた匠と、特別なウイスキー“ミズナラ”の共振。

源兵衛さんが信頼を寄せる職人の繊細な技を興味深げに見つめる、取材に同行したコリン・スコットさん。

織りも染めも、表現において、かつて誰も踏み入れたことのない高みを果敢に目指す姿勢は、まさに“不退転”。源兵衛さんを突き動かすのは、背に負う1300年の染織文化の歴史の重みと、つくり手としての意地です。
「源兵衛さんのような日本のつくり手の、自らの仕事に自信をもち、積極的に力強く伝統を守ろうとする姿勢に尊敬の念を抱かずにはいられません。150年の間にスコッチウイスキーづくりの技術も進化し、いまでは機械による工程もありますが、それでも味を決めるのは人間です。私も、その使命を担う者として誇りをもって、あたらしいフレーバーに挑戦していきたいと思っています。今回の『ミズナラ』は、その挑戦のひとつでもあるのです」と、コリンさんも伝統を守るつくり手として、源兵衛さんの想いに強く共鳴したといいます。
織物の限界を超えた匠と、特別なウイスキー“ミズナラ”の共振。

水墨画の墨の滲みや掠れ具合すらも鮮やかに再現。その繊細な手業に感動する。

「負けとうないんですわ。稀代の画家に、世界の名画に。絵は意図したものが描けるかもしれへんけど、織物は自分の意図だけではどうにもならんもの。神の助けが、天の助けがいる。そんな織物の表現がいかに素晴らしいかを証明するために、僕は生きています。驕りは禁物。ものづくりには、計算できる部分とできない部分がある。例えば、偶然できたムラこそが美しかったり、100年前の箔だけがもつ深い輝きだったり。人間の技術だけではなく、時間に助けてもらって、自然と一緒にひとつの帯をつくりあげたってことを、僕らはちゃんと理解しとかんとあかんのやと思います。ウイスキーづくりも、きっと同じことやないでしょうか。人間の力と、人間がコントロールできない力、このふたつを合わせてやっと素晴らしいウイスキーや織物ができるんですよ」
時間と自然とともに、ひとつの織物をつくる。そのことを強く意識してものづくりに挑んでいるのです。
織物の限界を超えた匠と、特別なウイスキー“ミズナラ”の共振。

源兵衛さんとコリンさん。伝統を守るふたりの男が熱い想いを語り合った。

「大昔から日本人の身体を守ってきた着物。素材にも形にも、風土に合った“意味”が必ずある。着物を着れば体が喜ぶ。それは日本人の血の記憶なんです。眠ってしまっている記憶を呼び覚まし、日本の伝統文化の奥深さを言葉として世界に伝えていくことこそ、いま僕たちがすべきことやと思ってます」
日本の歴史と風土が生んだ伝統文化。それは言い換えれば、時間と自然とともに培った日本人の宝です。
スコッチウイスキーは自然から生まれたオーク樽のなかで、長い時間をかけて熟成され、やっと完成します。「時間と自然とともに」。日本が誇る伝統文化のひとつである帯づくりにも通じる、一種スピリチュアルな響きが、「シーバスリーガル ミズナラ」のフレーバーにも潜んでいるのです。
上段写真:シーバスリーガルのマスターブレンダーであるコリン・スコットさんが、日本の匠に感銘を受け、日本のためだけにつくったという限定ボトル「シーバスリーガル ミズナラ」。

シーバスリーガル ミズナラ
CHIVAS REGAL MIZUNARA

オレンジや西洋ナシのようなフルーティな香りのなかに、甘いタフィーやナッツのような深みを感じさせ、味わいは驚くほど繊細でなめらか。熟した西洋ナシとハチミツ、柑橘の風味にかすかな甘草のスパイシーさが重なる。日本だけで発売されている限定ボトルだ。

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