【ザネラート クリエイターに寄り添うバッグ】Vol.2 繊細で揺るぎない美意識が貫かれる、池田尚輝の視点。

  • 写真:森山将人(mili)
  • 文:飴李花
  • ムービー:HIROBA

Share:

モノやコトの本質に向き合い表現をするクリエイターと、デザイン性と機能性を追求するザネラートのバッグは、さまざまな部分でシンクロします。そこで、各分野のトップランナーに密着し、“ザネラートがある日常”を観察。そのリアルな魅力に迫る連載企画の第2回をお届けします。


スタイリストとは、さまざまな仕事道具を持ち運ぶツールとして、あるいは自身のコーディネートを完成させるアクセサリーとして、バッグというアイテムを重用する職業です。実際に仕事柄、数えきれないほどのバッグを目にし、手にして吟味するのが日常の一部となっています。雑誌・広告・TVなどの分野で幅広く活躍し、そのエッジィなセンスと確かな仕事ぶりで人気を集める池田尚輝さんは、ザネラートを代表する才色兼備の名作バッグ「ポスティーナ」に宿る“用の美”に魅かれたようです。一流クリエイターと傑作バッグ──両者のこだわりや美意識が調和して生まれる洗練の佇まいに、注目してみましょう。

花も団子も追い求める、トップスタイリストの選択。

池田尚輝。1977年、北信濃生まれ。坂井達志氏に師事し、2000年よりフリーランススタイリストとして独立。 雑誌、ショーなどさまざまな活動の後、'05年に渡米。 ニューヨークにて作品制作などを精力的にこなし、翌年に帰国。現在は雑誌、広告、カタログ、俳優やミュージシャンのスタイリングからブランドコンサルティングまで、ファッションに関わるさまざまな分野で広く活動している。

中学時代にファッションに目覚め、高校卒業と同時に上京しメンズファッション専門学校へ。在学中からスタイリストの坂井達志さんに師事し、厳しい指導を受けながら独立を果たすとメキメキと頭角を現し、たちまち人気スタイリストに。丸1年のニューヨーク生活を経てインターナショナルな視野とカルチャーの引き出しを手に入れた池田さんは、もはや押しも押されもせぬトップスタイリストのひとりです。この日は馴染みのプレスルームで雑誌撮影用の衣装をリース。

衣装などの荷物を運ぶ機会の多い池田さんにとって、ハンズフリーになるショルダーストラップ付きというのは、バッグに欠かすことのできない大切な要素。

あいにくの雨模様のなか、どんよりした雲と重くなりがちな気分を振り払うかのような、鮮やかなブルーのナイロンコートを着こなす池田さん。好対照をなすトープ色のバッグ、「ポスティーナ」がよく映えます。
「レザーのショルダーストラップは滑りがよく、腰回りの収まりもいい具合。手提げと肩掛けを自在に使い分けられるので、取り回しも実にいいんです」
衣装はもちろん、水濡れ厳禁。プレスルームから車両に運ぶ際、大切な衣装はカバーや傘でケアできても、つい自分のバッグはおろそかになりがちです。でも池田さんが使うザネラートのバッグは、しなやかなタッチと繊細な色みにも関わらず、汚れや水濡れに強い「マルカプント」レザーだから、少々の雨なら気になりません。

ブルーのコートにネイビーのパンツというコーディネートのなか、優しいトープ色の「ポスティーナ」がしっかりと存在感を発揮。それでいて、しっくりと馴染んで見える。

手提げ時の「ポスティーナ」が描き出す、美しいクタッとしたシルエットも、池田さんの琴線に触れたポイントです。
「ハンドルを握った感じと、荷物を入れた時の重量のバランスが、とても気持ちいいですね。オールレザーなのにとても軽やかで、リラックスした感じで持てるのも気に入りました。1950年代のイタリアの郵便局員が使っていたバッグからインスパイアされたデザインで、郵政省から正式な認可を得ているというストーリーもすごく魅力的。だからこその実用性と、納得できます。この自然なやわらかいフォルムや、クラシックな見た目に対して、まったく無駄のないデザインというのも素晴らしいですね」

エレガントなルックスと、デイリーな実用性。

「最近はメタリックという要素にも注目しています。白やベージュなどでまとめたスタイリングのなかで、『ポスティーナ』のシルバーの金具はとても効いてきそう。同じくシルバーのバングルを合わせて、メタリック感を強調してもよさそうですね」

各所でのリースで忙しく飛び回る合間を縫うように、雑誌のインタビュー取材に対応する池田さん。こんな場面でも、固すぎずやわらかすぎずの軽妙な印象を与え、大人っぽく洗練されたルックスの「ポスティーナ」が威力を発揮してくれます。
「このトープというグレージュカラーは、もともと大好きな色味で、自分のワードローブとも相性がいいので、とても気に入っています。淡いレザーとシルバーの金具というコントラストが、とても美しいですね。ブラックやブラウンのバッグだと、靴との色合わせに注意しなければいけませんが、グレージュならどちらの色でもOKですし、スニーカーにも合うので便利なんです」

間仕切りやポケット、キーストラップなどの装備が充実した「ポスティーナ」の内部構造。シンプルですっきりした外見とは裏腹に、実に機能的なつくりとなっている。

バッグはファッションに合わせて持ち替えるので、普段はバッグ・イン・バッグというスタイルが気に入っていっているという池田さん。この日は「ポスティーナ」のつくりに合わせ、身の回り品をスマートに整理整頓して収納していました。
「手帳やペンなどのビジネスツール、メジャーや針などのスタイリスト道具、文庫本やモバイルWi-Fi、ガムなどのちょっとした小物という、3つのポーチをいくつかのバッグに詰め替えるというのが定番です。『ポスティーナ』は仕切りもポケットも多いので、ポーチに頼らずとも日用品の整理がしやすいですね。キーストラップもうれしいディテールです」

底鋲付きで、床置きも可能な「ポスティーナ」。しなやかに自立するその佇まいは、実に優雅でエレガント。傷や摩耗に強い特殊加工が施された「マルカプント」レザーは、気兼ねなく普段使いできそう。「ポスティーナ(Lサイズ)」(W40×H26×D20㎝)¥91,800/ザネラート(アマン)

上品なルックスと高い機能性、合わせるスタイルを選ばない汎用性を兼ね備え、圧倒的な支持を集める名品、「ポスティーナ」。池田さんはその完成度の高さをデイリーに実感しながら、旅先でも頼りにしたいと考えています。
「ずっと触っていたくなるくらい、やわらかくて気持ちいいレザーなのに、荷物をたくさん入れたからといって型崩れしそうな不安感が一切ない。これなら普段使いにぴったりです。特に出張の際の機内バッグなどで真価を発揮してくれると思います。研究し尽くされた仕様が実用的なのはもちろん、さりげなくラグジュアリーな雰囲気が、アウェイな土地に赴く自分を応援してくれるような気がします。一緒ならきっと、とても心強いですね」

才色兼備の裏付けは、こだわり抜かれた素材とつくり。

45度のレザーハンドルは、美しいカーブが「ポスティーナ」ならではのシルエットを生むだけでなく、同時に持ちやすさや疲れにくさを追求してたどり着いたもの。

ポスティーナの持ち手は、すっきりとしたワンハンドル仕様。一見華奢に感じるほどですが、その耐久性の高さは折り紙付き。金具は背面上部に45度で取り付けられており、手提げにしたり肩に掛けたりした際に、自然に身体にフィットするよう緻密に計算されています。滑り落ちにくく重量を感じにくいので、肩への負担が大幅に軽減。だから長時間持っていても、疲れにくいのです。そして、よりアクティブなスタイルを可能にする付属のショルダーストラップは取り外しが可能。ワンハンドルのみのミニマルなデザインを、心ゆくまで堪能できます。

世界にたった3台しかないという、特別な機械を使って刻印が施されたスタッズが輝く。さりげない特別感を味わえるディテール。

2011年6月21日に誕生した、ザネラートの傑作「ポスティーナ」。これを記念し、イタリア郵政省は「ポスティーナ」の原型となった1950年代のポストマンバッグをモチーフとした、当日1日限りの限定消印を発行しました。まさにこの時の消印を刻印したスタッズが、正面に向かって右側上部にある、ショルダーストラップ用Dカンの取り付け部分にあしらわれています。控えめながらもスペシャルなこのディテールは、歴史と物語に彩られた名品ならではのもの。「ヘリテージのあるものを、少しツイストを加えたモダンなミックススタイリングで表現したい」という池田さんの志向とも親和性が高いといえます。

すべての工程をイタリア国内で行う、ザネラートのバッグ。その卓越したクラフツマンシップによる品質の高さを保証してくれるのが、このシリアルナンバー。

すべてのザネラートのバッグの内部に配されたレザーパッチには、シリアルナンバーが刻印されています。イタリア本国のサイト(https://www.zanellato.com/en/code-verification)にアクセスすれば、正規品かそうでないかが判別可能。またシルバーのプレートには、郵便切手に押される消印の波型からインスパイアされ、ザネラートを象徴するモチーフとなっているブランディーンの模様があしらわれています。
今年3月には、今回ご紹介した「ポスティーナ」をはじめ、ザネラートのバッグが一堂に会する、日本初のフラッグシップショップが東京ミッドタウン ガレリア2Fにオープンしました。オンラインで購入できるECサイトも近日オープンを予定しており、ますます選びやすく、購入しやすくなるザネラートのコレクション。その動向から、しばらく目が離せそうにありません。

問い合わせ先/アマン TEL:03-6805-0527
http://www.zanellato.com
http://zanellatojapan.tumblr.com