【ザネラート クリエイターに寄り添うバッグ】Vol.1 ノマドワーカーのように働く、豊田啓介の審美眼。

  • 写真:宇田川 淳
  • 文:飴李花

Share:

モノやコトの本質に向き合い表現をするクリエイターと、デザイン性と機能性を追求するザネラートのバッグは、さまざまな部分でシンクロします。そこで、各分野のトップランナーに密着し、“ザネラートがある日常”を観察。そのリアルな魅力に迫る連載企画をスタートします。

ハイクオリティな仕事の現場に、上質なバッグは欠かせません。独自性と確実性を高い次元で両立しているトップクリエイターであれば、妥協なきこだわりは当然バッグにも及んでいるはず。コンピューターを”手足”としてではなく、創造のための”頭脳”そのものとして活用し、建築の新たな可能性を模索し続けている豊田啓介さん。そして、均整のとれた正方形フォルムが魅力の、ザネラートの新作バッグ「スクエロ」。一流クリエイターと傑作バッグ──両者の姿勢や哲学が重なって見えるのは、当然のことといえるかもしれません。

型にはまらない、“多分野横断型”の働き方とは?

豊田啓介。1972年、千葉県生まれ。東京大学工学部建築学科卒業。安藤忠雄建築研究所を経て、コロンビア大学建築学部修士課程修了。SHoP Architects(New York)を経て、2007年より東京と台北をベースに建築デザイン事務所noizを蔡佳萱と酒井康介と共同主宰。コンピューテーショナルデザインを応用し、建築を中心にプロダクトから都市まで分野を横断した研究・制作活動を行う。

東京大学から安藤忠雄建築研究所、そしてニューヨークのSHoP Architectsへ──。建築業界のエリート街道を邁進しながら、独自の解釈で社会や環境のアップデートを目指すべく、デザイン事務所「noiz」を創設。既存の建築という概念に囚われない自由な発想と、デジタルデータを4次元的に具現化する斬新な手法でシーンをリードする気鋭の建築家、豊田啓介さん。そのフィールドは分野の垣根を軽々と飛び越え、プロダクト、ファッション、音楽、都市にいたるまで多岐にわたります。この日着用していたのは、2017-18年秋冬コレクション「ROLL」で技術開発として携わった注目のブランド、ANREALAGEのジャケットです。

noizは、旧印刷工場をリノベーションした建物の2階にオフィスを構える。建物内の内装デザインには東京R不動とともに企画から携わった。共有スペースは、来客時やミーティングによく利用される。

事務所に駆けつけ、バッグを置く間もなくミーティングを開始。そんな多忙を極める豊田さんの傍らには、ザネラートの新作「スクエロ」が。構築的なフォルムと落ち着いた色合い、リッチな質感、高い剛性。バッグとしての基本性能の高さは言わずもがなですが、とりわけ特徴的なのが、そのプロポーション。縦型でも横型でもない、正方形のビジネストートは、建築家である豊田さんのパーソナリティとの相性も抜群です。

肩掛け可能なビジネストートは、自転車やタクシーを駆使した移動が多い、豊田さんのライフスタイルにもフィット。もちろん手提げスタイルでも、スマートな装いを演出してくれる。

「普段はカジュアルなトートバッグばかりですが、友人がやっているヒグマドーナッツというお店のオリジナルトートなど、自分の好きなものやサポートしているものをアピールできるものが好きです。ただ、バッグとしてのストラクチャーが根本から異なるザネラートのバッグを見ると、『よく考えられてるな』と感心しますし、『やはりいいものはいいな』と思いますね」
コンパクトでどこに持ち歩くのも便利な「スクエロ」は、シーンを選ばない汎用性、毎日ハードに使いまわせる堅牢性にも優れています。

ありそうでない、正方形フォルムの真価。

オフィスから徒歩5分ほどの距離にある「SWITCH COFFEE TOKYO」は、筋金入りのコーヒーマニアを自認する豊田さんにとって、なくてはならない大切な場所だ。

普段、ゆっくり休憩する暇はないけれど、気分転換や脳内のリセットに欠かせないのが、オフィス近くにある「SWITCH COFFEE TOKYO」だといいます。
「自宅にも事務所にも近いこのコーヒーショップは、数ある東京のお店のなかでもベストといって過言ではないくらい、美味しいコーヒーを提供してくれます。世界最高峰のレストラン『noma』の総料理長を務めるレネ・ゼネピも絶賛し、東京に滞在する際には必ず立ち寄るというほど。以前は摂る水分すべてがコーヒーというくらいでしたが、健康のため最近は控えめにしているんです(笑)。でもここのコーヒーは欠かせませんね」

豊田さんは12.9インチのiPad Proを常に携帯。ジップ開閉式で開口部が大きく広がる「スクエロ」は、ノートパソコンやタブレットがスマートに収納、出し入れ可能で非常に便利だ。

「事務所で終日過ごすという日は決して多くなくて、ほとんどがクライアント先からクライアント先へのタクシー移動、その隙間にカフェでパソコンを開いてメールのやりとりや作業を行うという、ノマドワーカーのような毎日です。だから必要なものはすべてバッグに詰め込んで移動しています」
雑多な荷物をざっくり収納し、スマートに持ち運ぶ。ビジネスシーンでも上品かつ軽快に立ち回るのが豊田さんの流儀です。

適度なマチがあり、自立可能で端正なフォルム。縦長に見えて、実は正方形というオリジナリティも「スクエロ」の優れたデザイン性を物語る。しっとりとした質感も上品。

今回フィーチャーしたザネラートの新作「スクエロ」は、その名の通り均整のとれたスクエアフォルムのビジネスバッグ。しかし、その名はただの”正方形”(スクエア)ではなく、ベネチアのゴンドラ造船所で使われている、船大工にとって最も重要な道具である”Squara(スクアラ)”、そして造船場を意味する”Squero(スクエロ)”に由来します。スマートでエレガントな佇まい、無駄を削ぎ落とし精度を高めた緻密なつくりが、気鋭の建築家のインテリジェンスと絶妙にシンクロします。

使い心地のよさと、使いやすさを両立。

独特の波模様が引き立つ「ブランディーン」素材に注目。美しいシルキーなテクスチャーは耐久性も高い。ビジネストート「スクエロ」(W35×H35×D8.5㎝)¥96,120/ザネラート(アマン)

この「スクエロ」のボディには、ブランドの象徴ともいえるブランディーン柄を配した「ブランディーン」素材を使用しています。切手の消印にある波線をモチーフとしたプリントが印象的で、PVCコーティングを施したキャンバス地は軽快そのもの。ヴルカーノという深みのある新色が、シックで洗練された雰囲気を生み出します。
「ヴィチェンツァにあるアンドレア・パッラーディオが手がけた建築には、学生時代にとても大きな衝撃を受けました。思い出深いヴィチェンツァのブランドというのは、ザネラートの魅力ですね。そしてこれ見よがしなブランドロゴではなく、パターンで静かに主張するアイデンティティにも好感がもてます」

ライニングには、滑りがよく、デリケートな荷物にも優しいマイクロファイバー素材を使用。美しくていねいなステッチワークに、ザネラートならではの卓抜したクラフツマンシップを垣間見ることができる。

シンプルにして機能的な構造は、多忙なクリエイターがバッグに求める必須条件です。特に、移動中に図面やデータの確認をしなければならない場面の多い豊田さんにとって、デジタルガジェットをスマートに持ち運べることは外せない要素といえます。
「ノートパソコンやタブレット、モバイルWi-Fiやその充電器などの周辺機器でいっぱいになってしまうので、バッグのつくりはシンプルかつ整然としているのがいいですね」

ハンドルは長さ調節が可能なベルト仕様なので、長めに設定すれば肩掛けすることも。ショルダーストラップをハンドル内側のDカンに装着すれば、たすき掛けにも対応する。この隠されたDカンが、ミニマルかつスマートなルックスに一役買っている。

普段から都内の打ち合わせであれば自転車で移動することもあり、トートバッグを肩掛けで持つことが多いという。「ショルダーストラップ付きなのもありがたいですね」と話す、豊田さん。すっきりエレガントに見せたい時は、手提げか肩掛けで。アクティブに動き回りたい時には、ストラップを付けてハンズフリーに。さまざまなシチュエーションに合わせた使い方ができるのも、「スクエロ」の大きな魅力です。
正確性と実用性を極める「スクエロ」は、最先端のデザインを実践する豊田啓介さんのクリエーションと、どこかイメージが重なって見えます。 バッグというツールには、なにより本質的な機能美が求められているのです。

問い合わせ先/アマン TEL:03-6805-0527
http://www.zanellato.com
http://zanellatojapan.tumblr.com