バッグを洋服のように “着る” 、旬のスタイルを生む5ブランドによる新提案を楽しむ。

  • 写真:宇田川 淳
  • 構成・文:高橋一史

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服装のカジュアル化が進み、楽しく装う気分が広がる中で、高級バッグにも同様の波が押し寄せています。 “持つ” というより“身に着ける”、服装の一部になる旬のバッグをお届けします。

バッグの概念が、ここ数年で大きく変わりつつあります。服を重ね着するような感覚で、コーディネートの一部として身に着ける発想が生まれてきたのです。モノを持ち運ぶための実用性よりも、スタイルを変化させるアクセサリー的な役割でのバッグの存在感が増しています。世界のトップメゾンがこぞって、斜めがけや首から下げて使うモデルを登場させている中で、ここでは5ブランドから、スポーツ感覚でデイリーに使えるモデルをセレクトしました。「このバッグに似合う服を着たい」と思わせる、主役級のプロダクトです。


1. プラダ――ブラックボディのクールな都会派。
2. ルイ・ヴィトン――歴史が透けて見える素材の妙。
3. ドルチェ&ガッバーナ――レトロモダンのエッセンス
4. ボッテガ・ヴェネタ――着こなしを変える色の魔力。
5. メゾン マルジェラ――ジャンルを超えたアノニマスな味わい。

プラダ――ブラックボディのクールな都会派。

右:スポーティなショルダーバッグ(W15.5×H20×D7.5cm)¥146,880(税込・予価)、左:マットなレザーのショルダーバッグ(W15.5×H20×D7.5cm) ¥117,720(税込・予価)/プラダ(プラダ クライアントサービスTEL:0120-45-1913)

小ぶりな大きさのショルダーバッグの人気が急浮上しています。流行中のゆったりとした服装と相性がよく、着こなしのアクセントになるアイテムとして便利に活用できるのです。プラダは、ブラックボディをベースとして、IDカード風のプレートやロゴマークでグラフィカルに仕上げたデザインを展開。写真左は、プラダの歴史を物語るアイコニックなナイロンとレザーを組み合わせた、光沢感のあるスポーティなモデル。片や右は、マットなレザーを用いた、カーフのソフトな風合いが贅沢なモデルです。

どちらにも小分けポケットが多く付けられており、マチ幅もしっかりと確保。旬のファッションの気分が表現されたサイズ感ながら、男性がバッグに求める機能性にも配慮されています。スクエアなフォルムの印象は、未来的かつシャープ&クール。旬の斜めがけをしても、甘くならずにシックな着こなしを愉しめるでしょう。

本体の素材はブラックナイロン、カード入れが付いたパーツの素材は「サフィアーノ」カーフ。いずれもプラダではお馴染みのもの。ブランドの伝統がこの新作にも息づいています。
2点ともに、マグネット留めによるフラップ開閉式。本体の前面はオープンポケットになっており、メイン収納部の中にファスナーポケットもあります。

ルイ・ヴィトン――歴史が透けて見える素材の妙。

ファスナー開閉式の「ジップドトート」(H44×W46×D15cm) ¥357,000(税込・予価)/ルイ・ヴィトン(ルイ・ヴィトン クライアントサービス TEL:0120-00-1854)

豊かな歴史に甘んじず、モードシーンを揺り動かす斬新なデザインにも挑戦し続けるルイ・ヴィトンから新登場したのが、このトートです。目を引くのは、鏡面加工されて光沢を放つ“モノグラム”の新素材。未来的な透明感と伝統のもたらす風格とが一体になり、新時代を突き進む男性の持ち物にふさわしい、スポーティでアクティブな逸品です。

ハンドルおよびショルダーストラップの裏側はナイロンで、底面は黒いレザー。ハイブリッドな異素材ミックスのコントラストを愉しめるのも、このバッグのさらなる特長のひとつです。手持ちとバックパックの2WAYで使え、さらに大容量のこのバッグは実用の道具として機能しますが、なによりもファッション性の高さが秀逸。コーディネートの軸に据えて、バッグの存在感を活かす着こなしを考えてみてはいかがでしょうか。

内袋は黒いキャンバス。ファスナーポケットやオープンポケットも付き、収納性も高く仕上げられています。
裏面に設けた大ポケットの中に、バックパック用ストラップを収納できます。ポケット下部の両サイドからパーツを引き出して、ストラップを固定します。

ドルチェ&ガッバーナ――レトロモダンのエッセンス

ミニショルダーバッグ(H15×W21×D6) ¥104,760(税込)/ドルチェ&ガッバーナ(ドルチェ&ガッバーナ ジャパン TEL: 03-6419-2220)

70年代のエアラインバッグに通じるレトロモダンな表情がユニークな、縦長のボックス型のミニバッグです。ヴィンテージ系の懐かしいスタイルを好む人が増えた、現在のファッション感覚にジャストフィットするデザインです。モノクロのバイカラーは都会的であり、スポーツウエアなどにも合わせやすいもの。斜めがけや、首から下げて身に着ければ、「実用性もあるアクセサリー」として、デイリーな服装にひと味加えるスパイスになるでしょう。

ミニサイズながら、細部のつくりは本格的。取り外し可能なショルダーストラップは幅広のボディフレンドリーなつくりで、重いものを収納しても身体に負担がかかりません。普段はバッグ・イン・バッグとしてスマホや周辺機器、財布などを収納し、大きなバッグの中に入れておくこともできます。ちょっとした外出時にストラップを取り付けて、服のポケット代わりに使うのも便利です。

レザータブ付きで開閉しやすいフロントのポケット。
本体は軽量なナイロンで、各部位にレザーを使った高品位な仕上がり。

ボッテガ・ヴェネタ――着こなしを変える色の魔力。

レザーバッグ 右(H16×W26×D7cm)¥226,800(税込)、左(H16×W26×D6cm)¥178,200(税込)/ボッテガ・ヴェネタ(ボッテガ・ヴェネタ ジャパン TEL:0120-60-1966)

革を編み込むイントレチャートの技巧で名高いイタリアのボッテガ・ヴェネタ。新登場したベルトバッグ(ボディバッグ)は、スポーツバッグの特性を引き出す、アクティブな強い色が主役です。色鮮やかな服などと組んで、全身をカラフルに揃えれば、今年風のスタイルが完成します。逆に、シックなダークカラーの服装のアクセントに活用するのもいいでしょう。身に着ける時はウエストに巻くのもいいですが、肩に斜めがけすればより旬なスタイリングになります。

素材は左右ともに、ナチュラルでやわらかい上質なカーフレザー。左のモデルは前面にイントレチャートを配し、黒ナイロンのベルトでドレスダウン。右のブルーのモデルは、黒レザーも一緒に編み込んだバイカラーのイントレチャートをバッグ下部とベルトに用いています。ブランドが誇るアイデンティティが表現されながら、大人のワードローブに自然に馴染む優れたデザインです。

内部の構造は2点ともに同じ。メイン収納部はファスナー開閉式。
ベルトとメイン収納部の接合部は、スナップ留めのオープンポケット。

メゾン マルジェラ――ジャンルを超えたアノニマスな味わい。

レザーバッグ(H14×W38×D13cm) ¥160,920(税込)/メゾン マルジェラ(メゾン マルジェラ トウキョウ TEL:03-5725-2414)

味わいのあるレザーの本体と、コットンストラップを組み合わせたクロスボディバッグです。取り外せる白レザーのネームタグが、クリーンなアクセント。馴染みのよいレザーのテクスチャーは、メゾン マルジェラらしいセンスです。同ブランドには、ラグジュアリーもストリートも、高級品も汎用品も同様の目線で見つめ、衣服文化をフラットに捉える姿勢があります。そんなメゾン マルジェラが、こうした小ぶりなバッグが流行しているいま提案してきたのは、アノニマスな印象のあるミニマルなデザインでした。

"STEREOTYPE"のレザータグとラインを示す”11”のベルトの金具など、細部にマルジェラらしいディテールが光ります。荷物を運ぶバッグと考えるよりもまさしく “着る” 感覚で、肩から胸周りを覆ったり、ウエストに巻くなど、自然に服装の一部にして使うのがいいでしょう。容量はたっぷりとありますから、実用の道具としても十分に機能します。 

ジャカード織りの裏地付きで、ファスナーポケットも装備。
ファスナーの白ラインもデザインアクセント。ネームにある「11」とは、メゾン マルジェラの中でファッションアクセサリーを扱うラインのこと。