男の着こなしをアップデートする、春夏の傑作ワードローブ10選。

  • 写真:杉田裕一
  • スタイリング:杉浦 優
  • 文:高橋一史

Share:

都会的でモダンな感性をもつ30〜40代の男性に向けて、新定番の服や小物を10品厳選しました。今の気分にフィットし、長く使えて毎日の着こなしをアップデートする、この春夏の傑作をご紹介します。

いつも新鮮な印象を与えられる大人になるには、ファッションを工夫するのが近道です。そのセオリーとは、時流に左右されないオーセンティックな服に、旬の小物を付け足して着ること。逆に服がモダンな時は、小物をベーシックなものにすれば上品なバランスがつくれます。オンライン独自企画のこの記事では、ファッショナブルでいて都会的な感性をもった男性の日常に馴染む、ハイセンスでストーリーのある名品を厳選しました。ちょっとした変化のある、技ありアイテムの数々をお届けします。


1. バラしても着られるセットアップスーツ
2. 技巧に凝った贅沢なショルダーバッグ
3. ハイテク技法のスポーティレインコート
4. 新しい感性のあるヴィンテージ系デニム
5. 特別感満載のスリッポンスニーカー
6. 今こそ着たいイギリス老舗のクルーネックニット
7. 繊細な極細フレームの日本眼鏡 
8. 折り畳んで持ち歩く軽いジャケット
9. リニューアルした定番ボタンダウンシャツ
10.  スタイルを仕上げるヴィンテージ時計

上下で組んでも、バラしても、着こなしは自由自在。

「スタジオ ニコルソン」のカジュアルセットアップ

大人のワードローブに取り入れやすい、品のいいワークテイスト。
パンツは腰まわりが太く裾幅が狭い、流行を踏まえたシルエット。

なにげない日常着に、上下を揃えたセットアップを選べば、都会的な装いに様変わりします。カジュアルな雰囲気をもった上下のスーツは、普段はバラして着ることができ、いつもよりお洒落をしたい時には組み合わせて着られるという、アレンジ力の高い服です。イギリスの「スタジオ ニコルソン」の傑作は、旬のルーズなフォルムが新鮮。洗いをかけてこなれた風合いを出したコットン素材も魅力です。ノーカラージャケットは、フラップポケットがついたワークウエアテイスト。パンツは深いタック入りで、テーパードしたアンクル丈。一本もっていると簡単にイマドキなスタイルをつくれる便利なパンツです。

ジャケット¥52,920、パンツ¥39,960/スタジオ ニコルソン(キーロ TEL:03-3710-9696)

技巧を凝らした小物で、服装を格上げ。

「クロムハーツ」のレザーショルダーバッグ

仕様は同じだが、フロントのデザインとカラーが異なる新作のバッグ。
職人技を駆使した、繊細にして大胆なアートワーク。
ポケットを兼ねたフラップは、内側のファスナーからアクセス。2タイプとも同じ仕様。

高級なバッグには、持ち歩くだけで服装までもクラスアップするパワーがあります。ラフな服を着ている時こそ、バッグで装いを整えるのが大人のセンスです。マットなレザーとシルバーパーツのコントラストで存在感のある「クロムハーツ」なら、シンプルな服装を格上げする決め手になるでしょう。ソフトで上質なレザーの質感を活かし、内張りせずに一枚で仕立てられています。フラップのフロントには、ブランドアイコンがレザーパッチとシルバーパーツでデザインされ、まるでアートピースのように鎮座しています。各所のパーツはすべてシルバーで施されています。レザーとシルバーで、クロムハーツの世界が巧みに表現されています。

ブラックのショルダーバッグ ¥582,120、キャメルのショルダーバッグ ¥535,680/ともにクロムハーツ(クロムハーツ トーキョー TEL:03-5766-1081)

ハイテクスポーツのクールさが、都会に映える。

「ヘルノ」の高機能レインコート

スーツの上に着ても違和感のない、ベーシックでスポーティな佇まい。
袖先は手の甲が濡れない形状で、リブで内部への水の浸入もカット。
ポケット口はレーザーカットされ、水を外に逃がす穴も設けられています。

近頃、アウトドアウエアを都会で着る人が増え、高機能な服が男のマストアイテムになりました。洒落者を目指す大人なら、スタイリッシュな見え方にもこだわりたいものです。イタリアのファッションブランド「ヘルノ」が展開しているスポーティな「ラミナー」は、そんな大人にふさわしい機能美にあふれたシリーズです。今春夏のラインアップの中から、フード付きの実用的な一着をピックアップしました。3層のゴアテックス®素材を使い、縫い目もシール加工されていて雨風をシャットアウト。ポケットやファスナーなどのディテールもハイテク感満載な、まさしく “着るギア” なのです。

コート ¥124,200/ヘルノ(ヘルノ・ジャパン TEL:03-6427-3424)

旬のスタイルをつくる、ヴィンテージ系の一本。

「カンタータ」のテーパードデニム

縫製や生地、ディテールはオーセンティックだが、フォルムはモダン。
1960年代のデッドストック「タロン」ファスナーを採用。

トータルブランドとして、国内ですべてのアイテムを製造し、一流の工場と手を組んだ最上級のモノづくりが評判を呼ぶ「カンタータ」。いまデニムを新調するなら、こんなこだわり派のブランドから選んではいかがでしょうか。2016年のブランドスタートから続く定番モデルのシルエットは、センタークリースがつけられた大胆なテーパード。イマドキなビッグサイズの服とも相性のいい一本です。サンフォーキンコットンを使った生地は、ヴィンテージのような毛羽立ちがあります。前開きを実用的なファスナーにするなど、単なるヴィンテージの再現ではない挑戦的なデニムです。

デニム ¥36,720/カンタータ(カルネ TEL:03-6407-1847)

特別な気分になれる、真にラグジュアリーな一足。

「クロムハーツ」のスリッポンスニーカー

黒白モノトーンのストイックな表情。シャープなフォルムも美しい。
ソールの底部分はCHプラスモチーフ、つま先部分にはCHプラス×ピラミッドスタッズモチーフが施されている。
かかと部分にはCHプラスモチーフがレザーでデザインされている。

男性にとってスニーカーとは、子どものおもちゃのような存在です。何足もっていても、新しいものが欲しくなります。日常で使うモデルをひと通り揃えた人なら、次はとっておきの一足を狙うのも一興でしょう。クロムハーツが今回リリースした新作のスリッポンは、すべてが特別仕様で贅沢を極めたもの。アッパーはシンプルな黒レザーですが、そこにさりげなくシルバーのダガーモチーフをプラス。そして最も注目すべきは、オリジナルの白いソール。ソールの底やつま先にはブランドアイコンがぎっしり! どんな服装にも合うスタイリッシュさと、豪華さの競演をぜひお愉しみください。

スニーカー ¥169,560/クロムハーツ(クロムハーツ トーキョー TEL:03-5766-1081)

いまこそ永遠の定番を着たいその理由とは?

「ジョン スメドレー」のクルーネックニット

常にアップデートされている、定番のクルーネック。
糸のやわらかさと細やかな編み目が最上級品の証し。

昨年の春夏はメンズのニットが流行し、暖かな季節でもニットを着る大人が急増しました。その流れは今年も続き、男性のワードローブに定着しそうな勢いです。どんなパンツを穿いていても、トップスをTシャツでなくニットにするだけで印象が上品になり、シックな印象にまとまります。選ぶ基準で最も大切なのは、上質であること。ニットの老舗「ジョン スメドレー」の定番クルーネックは、いまだからこそ活用したい傑作品。コットンの王様といわれる細くてしなやかな超長綿のシーアイランドコットンを使い、編み立ては30ゲージの繊細なもの。全10色のカラーバリエーションも自慢です。

サマーニット各¥30,240/ジョン スメドレー(リーミルズ エージェンシー TEL:03-3473-7007)

繊細な極細フレームで、顔を知的に見せる。

「アイヴァン 7285」のメタル眼鏡

バイカラーのチタンフレームで、繊細な仕上がり。
美しいテンプルは、日本製の工具にヒントを得たデザイン。

ラフな服装の時でも、メタルフレームの眼鏡を掛けると印象が上品になります。デニムを穿く時に足元を革靴にするのと同様のカジュアルアップ効果があるのです。そのような用途に最適なこの逸品は、1972年にスタートし、世界に発信された日本の眼鏡ブランド「アイヴァン」の現代版ブランド、「アイヴァン 7285」のもの。ブランド名の「7285」とは、72〜85年の眼鏡にインスパイアされていることを意味します。写真のモデルは、黒を効かせたメタルのバイカラー配色が、極細のフレームに動きを与えている繊細な仕上がり。ノーズパッドまでメタルとなっているのも、現代の潮流に即したデザインです。華奢だからこそ顔まわりを知的に見せてくれるこの小道具を、ぜひ手にしておきたいものです。

眼鏡¥51,840/アイヴァン 7285(アイヴァン 7285 トウキョウ TEL:03-3409-7285)

持ち運んでサッと羽織れる、ジェットセッターの必需品。

「デサント ポーズ」のパッカブル・ジャケット

レーザーでカットされた、スポーティなポケットフラップがデザインポイント。
内側のファスナーポケットをひっくり返して畳めば、このように収納ポーチに収まります。

パッカブルとは、「包装できる」という意味。ファッションでは、小さく畳んで持ち歩ける服のことを指します。「デサント ポーズ」のこのジャケットも、化繊の生地を使いシワになりにくくしたパッカブル仕様です。スポーツブランドのデサントが手がけるアパレルラインならではの、よく考えられた機能的な一着です。このジャケットのカタチは定番のゆったりとしたボックスタイプで、毎シーズン素材や色を変えて展開されています。今季のパッカブル・ジャケットは、出張の多い仕事人のワードローブに最適です。レストランで肌寒いときにも大活躍すること間違いなし!

ジャケット¥34,560/デサント ポーズ(デサント ブラン 代官山 TEL:03-6416-5989)

歴史的定番シャツのリニューアルは見逃せない。

「ブルックス ブラザーズ」の新ボタンダウンシャツ

フィットは、旧「スリム」に相当する「リージェント」。
ヨークの幅は狭く、ダーツは背中の運動量を確保できるセンターボックス。

洗いざらしでも見栄えのいいボタンダウンシャツは、誰もが一枚はもつべき基本的なワードローブ。アイビースタイルの枠組みを超え、広く一般化した稀有なアイテムです。この発明者でもある本家の「ブルックス ブラザーズ」のボタンダウンシャツが、2016年にリニューアルされて以来、好評を博しています。ボタンが貝ボタンになり胸ポケットも省略され、よりドレスシャツのムードに。襟やカフからは芯が取り除かれ、やわらかく仕様変更されました。スーピマコットンのオックスフォード生地、ボタン数、フィット感といったベースはそのままです。新時代の一枚をどうぞお見逃しなく。

シャツ各¥20,520/ブルックス ブラザーズ(ブルックス ブラザーズ ジャパン TEL:0120-185-718)

着こなしの仕上げにしたい、品格あるスタンダード

「カルティエ」のヴィンテージ時計

エキゾティックレザーのベルトとゴールドケースの王道の組み合わせ。
リューズはカルティエのアイコニックなブルースピネル。

現代を生きる男性が選ぶのにベストチョイスといえるヴィンテージ時計のひとつが、「カルティエ」の「マストタンク」。カジュアルでスポーティな装いの仕上げに手首に巻く腕時計は、さりげない品格のあるこのモデルがぴったりです。70~80年代の品で、ムーブメントは手巻きの機械式。ケースはスターリングシルバーの上にゴールドメッキされた、マストタンク特有のもの。文字盤のシンプルさは、マストタンクシリーズの中でも随一でしょう。これみよがしでなくブランド時計を身につけたい人によく似合う、ハイセンスな大人の嗜好品です。

時計各¥170,640/カルティエ(江口時計店 TEL:0422-27-2900)