Feature Design コンスタンティン・グルチッチ、失敗を恐れず、新しい日常をつくる。【前編】

コンスタンティン・グルチッチ、失敗を恐れず、新しい日常をつくる。【前編】

文:土田貴宏

現代デザインの精鋭たち File.02:コンスタンティン・グルチッチが探る、次のかたち、次の機能。

コンスタンティン・グルチッチ、失敗を恐れず、新しい日常をつくる。【前編】

フィンランドのイッタラは、1999年から気鋭のデザイナーたちによる「RELATIONS」シリーズを発売しています。この時にマーク・ニューソンらとともに起用されたのがグルチッチでした。イッタラの工房を訪れた彼は、グラスを工業的に製造するプレス機の魅力に圧倒されました。それから円錐形のグラスの新しいフォルムを試みて、内側の一部を厚くすることで快適にスタッキングできるフォルムを発想します。このグラスを実際に使うと、厚みのぶん通常のグラスに比べて少々重いのがわかります。その重さを不快に感じる人もいるかもしれませんが、道具を使いこなすような手応えが魅力になりました。残念ながら現在は廃番になっていますが、同時期に発表されたフロスの照明器具「MAYDAY」と並ぶ彼の出世作です。

コンスタンティン・グルチッチ、失敗を恐れず、新しい日常をつくる。【前編】

イッタラから発表された「RELATIONS」は、ウィスキーグラスやタンブラーなど多くの種類があった。 photographs by Florian Böhm

コンスタンティン・グルチッチ、失敗を恐れず、新しい日常をつくる。【前編】

マジスの「CHAIR_ONE」はきりりとした4本脚がスタンダードだが、さまざまなシーンで使用できるように複数の脚部が用意された。これはチャールズ・イームズのシェルチェアと同様の手法。
photographs by Tom Vack

グルチッチによる家具の代表作が、2004年にイタリアのマジスから発表された「CHAIR_ONE」です。この椅子の特徴は、通常は椅子のフレームにしか用いられないアルミニウム鋳造によって、洗練されたポリゴン(多面体)の座面をつくり上げたこと。この造形感覚は、21世紀に入って急速にバリエーションを増やした現代建築と相性がよく、世界中の公共空間で使われるようになりました。と同時に、工事現場やガレージに似つかわしい精悍でマスキュリンな姿も「CHAIR_ONE」の大きな味わいになっています。人の身体をもとに生まれた座面のフォルムは、座る人の体重をがっちりと支えます。自然素材の椅子のように身体に馴染む感覚はありませんが、座るための道具としては十分な座り心地です。さらに座り心地を高めるために、後に専用のクッションパッドがオプションで用意されています。

1 / 2p
Feature Design コンスタンティン・グルチッチ、失敗を恐れず、新しい日常をつくる。【前編】
Feature Product 人の気持ちから、車の進化を切り開く。新型フィットが体現するHondaの企業哲学とは。
Feature Product 人の気持ちから、車の進化を切り開く。新型フィットが体現するHondaの企業哲学とは。