Feature Design フォルマファンタズマ、時空を超えて生まれるオブジェ【後編】

フォルマファンタズマ、時空を超えて生まれるオブジェ【後編】

文:土田貴宏

現代デザインの精鋭たち File.01:歴史のレファレンスから現代性を創造する「フォルマファンタズマ」

フォルマファンタズマのデザインで、歴史的な物事のリサーチとともに大きな特徴といえるのは、クラフトのクオリティを重視する点です。フェンディとの共同作業から生まれた「Craftica」(上写真)は、このブランドのハイレベルな手仕事をフォルマファンタズマが独自に解釈することにより、家具や日用品の斬新な形態を提示しました。素材として使われたのは、通常は廃棄物となる魚の皮、貝殻、骨、そしてフェンディ製品の製造工程で出るレザーなど。素材本来のプリミティブなテクスチャーを残しつつ、上質な職人技で仕上げられた一連のアイテムには、工芸品というよりも宝飾品のような趣が備わっています。こうしたコントラストから生まれるものの魅力は、プロダクトから住空間へと広がりうる価値観の革新を予感させます。

フォルマファンタズマ、時空を超えて生まれるオブジェ【後編】

刺繍で鳥の柄を施したカーペット「Migration」

「Migration」(上写真)はNodusというイタリアのラグ・メーカーのためにデザインされたもので、ポルトガルの職人が約1カ月かけて鳥の柄を刺繍しています。こうした高級なカーペットは、バラなどの装飾的な柄をジオメトリックに配置するのが通例です。フォルマファンタズマは、その昔ながらの技術を活かし、19世紀にある鳥類学者が描いた精密な鳥の姿を刺繍で施すことにしました。カーペットの形も丸くして、四角いものというカーペットの常識を否定するとともに、鳥を捕まえたかのような動きのある構図を生み出しています。デザインの仕上げには木のパーツを取り入れました。

フォルマファンタズマ、時空を超えて生まれるオブジェ【後編】

2012年にドイツのヴィトラデザインミュージアムで展示された「Charcoal」

2012年、ドイツのヴィトラデザインミュージアムでリートフェルト展が開催された際には、オランダに拠点を置く新世代のデザイナーが参加したグループ展が同時開催されました。ここでフォルマファンタズマが展示したのは、木炭を使った作品群(上写真)でした。木炭はヨーロッパではすでに過去の燃料であり、製法も環境負荷が大きいとされていますが、一方で古代エジプトにさかのぼる長い歴史をもち、現在も日本のように広く使われている地域もあります。フォルマファンタズマは木炭の専門家とコラボレーションして、実際にスイスのチューリヒ郊外でオリジナルの木炭をつくり、作品を制作しました。メインになったのは、吸着効果の高い木炭をフィルターとして使う手吹きガラスの容器です。

上段写真:素材に魚の皮や海綿などを使った「Craftica」のスツール(左)と、牛の膀胱を使った容器やレザーを使ったテーブル(右)。「Craftica」より。
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Feature Design フォルマファンタズマ、時空を超えて生まれるオブジェ【後編】
Feature Product いまを生きる男たちに似合う、「ハミルトン」というスタイル ③カーキ編
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