11月、撮影を終えた佐藤に感想を聞くと、「独特の高揚感がありましたね」と笑みを漏らした。
「今年はコロナの影響で、撮影はほとんどスタジオ。しかも密を避けてリモートでテイクを見るという感じだったんです。今回は久々のロケで、しかも美しい自然に囲まれた長野の伊那谷。水槽から解き放たれたような開放感がすごくて、アドレナリンが出ました(笑)」
コロナ禍によって仕事や生活様式も以前と変わったことも多いが、クリエイションに対する姿勢や考えに変化はあったのだろうか。
「企画段階で、コロナだからリモートで、とか、そういう発想はやめようと思ったんです。僕の仕事は1人でするものではなく、チームで形にしていくもの。もちろん密にならないよう、飛沫が飛ばないようにするなど、当然の事柄には注意するけれども、いままでのように僕らはこの仕事を鮮やかにこなしていかないといけないなと。そういう気持ちで臨んだという意味でも、今回はエポックな仕事でした」
オリジナル楽曲を付けて完成した作品は、予想外の展開で楽しませ、最後のメッセージがしっかり心に届く60秒になった。
「コロナを吹き飛ばすようにカラッと笑ってもらって、最後にざざ虫漁に興味をもってもらえたらうれしいです。いまは副業の時代。平日は会社で働いて、週末は漁師という生き方もカッコイイと思うんですよ。また、昆虫食もこれからもっと流行るでしょうし、新しい食としての価値を探求するのも面白いと思います。漁師のおじいちゃんに弟子入りする人が10人でもいれば、この伝統漁は失われない。ざざ虫漁を守っていきたいですね」
より深く興味をもってもらおうと、漁師に取材したドキュメンタリーも制作中。今後は他の地域の問題にも目を向けたいと言う。
「アイデアを考えて、映像で課題を解決することが、僕らの提供できる価値。他の地域の課題にもタックルして、少しでも世界がよい方向に向いていく手助けができればいいなと思っています」
【動画制作スタッフ】
CD・企画:佐藤カズー (TBWA HAKUHODO)
プロデューサー:水迫恵介 ・梅山智弘(AOI Pro.)・平久江勤(TBWA HAKUHODO)
プロダクションマネージャー:岡本幸奈(AOI Pro.)
演出:松山茂雄(CluB_A)
撮影:穐山茂樹(copaine)
照明:大坪彰
ヘアメイク:須藤綾子
キャスティング :森万由美(AOI Pro.)
エディター OFFLINE:餌取志保(CONNECTION)
エディター ONLINE:八十島崇行(CONNECTION)