多様性が広まり、個としての活躍が評価され始めて久しい昨今。注目のクリエイターから映画の中のヒーローまで、時代を映す4人の女性たちを紹介します。
多様性が尊ばれる現代。SNS上で個人が自由に発信するなど、肩書や組織を離れた活動が盛んになり、かつてないほど個の在り方が問われる時代でもあります。この変革期に、自らの個性や才能を武器に活躍する4人の女性たちがいます。既存の枠にはまらず、個の魅力を放ち続ける彼女たちを追いました。
人の心を癒したい、その信念で筆を握り続ける。
神獣をモチーフにした作品が大英博物館に所蔵されるなど、世界的に注目されるアーティストの小松美羽。精力的な活動の陰には、アートが社会で果たす役割にひたむきに向き合う、一貫した信念が息づいていました。
「昔は、作品を見た人から『怖い』『不気味だ』という意見をもらうことも少なくありませんでした。でも、作品と鑑賞する人には相性があります。“嫌い”という声が増えれば、その分“好き”という人も増えるはずです。いままでも、そしてこれからも、『私の絵が一部の人に癒しを与えている』という思いを変えずに描き続けます」
独自の撮影方法の根底にある、「アフリカ人はかっこいい」という思い。
2009年以来、アフリカの少数民族を撮り続けてきたフォトグラファーのヨシダナギ。そのファッショナブルな写真の数々は、「アフリカ=貧困」というイメージを拭い去り、「かっこいいアフリカ」という新鮮な側面を伝えます。その特徴的な写真に当初は批判の声もありましたが、自身のスタンスを信じ、撮り続けたことで世間の評価を得てきました。
「独学だからこそ、他のフォトグラファーがタブーとした撮影方法にも挑戦してきました。周囲から『ここまで画像補正するのはありえない』『これは写真ではない』とネガティブな声を投げかけられたこともありますが、それは私の強みのひとつだと思っています」
「こうすればできるかも」が積み重なれば、無理も可能に。
映像から本、絵画、ラジオなど、多岐にわたり活躍する大宮エリーも、話題のクリエイターのひとりです。
「どんな仕事でも依頼されるたびに、それは“自分が果たすべき小さな使命”だと感じます。だから、一見無茶な課題でも、無理だとは決めつけません。以前、30秒のCMが70分のショートフィルムに変更になり、周囲から『無茶だ』と猛反対されました。でも、『やるしかないので』と私の決意を見せた結果、現場の雰囲気がポジティブに変わり、作品は無事に完成しました。何事も無理と思わなければ、解決策は見つかるはずです」
〝本当の自分〟を求め、不屈の心で立ち上がる。
そして、マーベル・スタジオ作品初の女性単独ヒーローがキャプテン・マーベルです。ヒーローといえば男性が描かれがちでしたが、そんな常識を覆す存在。すべての記憶を失うというハンデを背負いながらも、不屈の精神を武器に何度も立ち上がる彼女の姿勢に、多くの人が共感と希望を抱くでしょう。
ストーリーの鍵となるのは、〝失われた記憶〟。
3月15日公開の『キャプテン・マーベル』は、主人公であるヴァースの失われた記憶をめぐる、サスペンスフル・アクションです。6年前に記憶を失くし、フラッシュバックや悪夢に悩まされていたクリー人の戦士・ヴァース。そんな彼女に、他人に化ける能力をもつ謎の敵からの襲撃が迫ります。彼らの目的は、彼女の記憶に隠された“ある秘密”を捜し出すこと。自らの記憶を守る壮絶な戦いに身を投じながらも、ヴァースは自身の過去に隠された真実を追い求めることになります。記憶の断片が紡ぐ、主人公の過去。その先に待っている、衝撃の結末とは……?
キャプテン・マーベルは、アイアンマンのように今後のマーベル・ヒーローの中心となるキャラクターです。本作が、4月26日公開の『アベンジャーズ/エンドゲーム』にどのようにつながっていくかも気になるところ。
その一方で、アベンジャーズ誕生のきっかけについても明かされるため、アベンジャーズを知らない人にとっても、その世界へと誘う最初の映画となるはずです。
さらに、舞台はアベンジャーズ誕生前の1990年代半ば。宇宙からの脅威も、超人的なパワーをもつヒーローの存在も知られていない世界でそれらがどう描かれるのかも、見どころのひとつ。
マーベル初の黒人ヒーローを描いた、昨年公開の話題作『ブラック・パンサー』に続き、今回は初の女性ヒーローと、性別や人種にとらわれない作品を輩出するマーベル・スタジオ。
個の多様性を重んじる現代社会において、自身の能力を活かした強大なパワーと不屈の精神で敵に立ち向かうキャプテン・マーベルの姿は、まさに時代の求める新たなヒーロー像といえます。本作を通じて、目の前に迫る世界の変革を、ぜひその肌身で感じ取ってほしいものです。
常識にとらわれず、己を信じ、社会に影響を与え続ける彼女たち。その姿から、いまの時代が見えるはず。
『キャプテン・マーベル』
監督/アンナ・ボーデン&ライアン・フレック
出演/ブリー・ラーソン、サミュエル・L.ジャクソン、ベン・メンデルソーンほか
2019年 アメリカ映画 2時間5分 3月15日より全国の映画館にて公開。
ウォルト・ディズニー・ジャパン
http://disney-studio.jp