ベラビスタ スパ&マリーナ 尾道 瀬戸内の風土に浸る、上質な宿の過ごし方。

  • 写真:TISCH(UM)
  • 文:高野智宏

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瀬戸内海の美観を一望するラグジュアリーホテル、「ベラビスタ スパ&マリーナ 尾道」。プライベートスパを備えた最上級スイートルームと、瀬戸内の食材を活かした食の魅力を動画とともに紹介します。

エントランスを抜けた先に広がる「ザ・デッキ」。最も美しいのが夕日に照らされ幻想的な光景が広がる夕景です。シャンパンを片手に、その見事なパノラマの眺望を堪能してください。

旅の目的はさまざまです。旅先でアクティブに動き、多くの体験をすることも醍醐味のひとつでしょう。しかし大人には、時に心身を浄化する静かな旅も必要なのです。上質な宿で静謐なひと時を過ごす。そこに充実したなにかを見出すことができるのが、本当の大人なのではないでしょうか。

広島県の東南部に位置する尾道は、「尾道水道が紡いだ中世からの箱庭的都市」として日本遺産にも認定される、歴史と文化の街でもあります。穏やかな海に点在する小さな島々。その海を抱くように起伏のある山々が連なる様子は、まさに日本らしさを凝縮したような風景といえるでしょう。その地理的条件から、冬でも比較的温暖に過ごすことができる土地としても知られています。

そんな尾道が誇る多彩な“美”を居ながらにして満喫できるのが、沿岸の高台に立つラグジュアリーホテル「ベラビスタ スパ&マリーナ 尾道」なのです。

その前身は、当地で造船業を営む企業が1973年に建設した迎賓館。世界各地の要人を迎えてきたもてなしの精神はそのままに、スパなどの施設を増設した大規模なリニューアルを実施しました。そして2007年、マリーナを併設した国内屈指の設備を誇る、ハイグレードなホテルとして生まれ変わったのです。

最上級のスイートルームで、 スパサービスを受ける贅沢。

5階に設置された展望風呂。吹き抜けの天井と檜の香りが心地よいシンメトリックな空間が、眼前に広がる瀬戸内海をより美しく描き出します。
パウダールームに備えられた、南フランス製高級コスメティック製品の数々。そのすべてが宿泊者にプレゼントされます。

ベラビスタとは、イタリア語で「美しい眺め」を意味しています。その名のとおり、このホテルにしかない唯一無二の魅力は景観です。穏やかな瀬戸内海に浮かぶ島々が織りなす大パノラマの“多島美”は、時間帯によって表情を変え、見る者を飽きさせません。

なにもしない贅沢な時を過ごすためには、上質なくつろぎの空間が必須条件です。ベラビスタには、仕様が異なる全8タイプの部屋が用意されています。そのすべてがオーシャンフロントで、バルコニーやバスルーム、あるいはベッドルームから瀬戸内海を望むことができます。

8タイプの中でもより特別なのが、昨年末にオープンした最上級の客室「ザ・ベラビスタ メゾネットスパスイート」。5、6階に位置するメゾネットタイプのスペシャル・スイートです。その空間が特別であることは、入室してすぐに理解できるでしょう。目の前に広がるのは、天井高5mもの開放的なベッドルーム。ベッドを包み込むような天蓋が特徴的です。

ベッドルームの隣に設えられているのはパウダールームです。ここで目を引くのが、クラシカルなキャビネットに並ぶ高級コスメティクスの数々。滞在中、ゲストはこのすべてを使用することはもちろん、さらにチェックアウト後には全製品を自宅へ届けてくれるのです。旅を終えても、まだその余韻は続くというわけですね。

インスパルームの先にはテラス席を用意。暖炉に火が灯る夕食後、食後酒でも楽しみながらパートナーとゆっくり過ごしてください。
吹き抜けの空間が開放感をもたらす一方、天井からの天蓋が親密なプライベート感を演出するベッドルーム。ロマンティックな夜はもちろん、特注された格子状のガラス窓から差し込む朝日の優しさもいい心地です。

最上級スイートのサービスはそれだけにとどまりません。上階のインスパルームでは、オールハンドによるリンパ・トリートメント120分コースをペアで受けることができます。もちろん、これもメゾネットスパスイートを利用するゲストだけの特権です。

さらに、インスパルームの隣には岩盤浴、下の階には島々を望む展望風呂が配置されています。誰に気兼ねすることなく、いつでも好きな時に自由に使用することができる贅沢な空間。つまり、ほとんどの癒しの要素が、この部屋には詰まっているのです。

最後にひとつ。チェックイン時に女性に喜ばれている、ささやかなサプライズもあります。ベッドの上でゲストを迎え、プレゼントとして持ち帰ることができるデニム製テディベアの存在です。実は、このテディベアが纏うのは「カイハラデニム」。尾道の隣町、福山で生まれた世界的なデニムブランドです。そんなプレミアムデニムを客室のクッションやルームウエア、スタッフのユニフォームなどに採用。ベラビスタでは、地産地消を意味する「瀬戸内キロメートル・ゼロ」をコンセプトにしていますが、それは部屋のアメニティや食など、ホテルのさまざまな部分で表現されているのです。

生産者も喜ぶ関係性、 それが料理には大切。


ホテルのメインダイニング 「エレテギア」で供される料理にもまた、尾道の魅力が詰まっています。エレテギアとは、美食の地として知られるスペイン北東部の都市、バスクの言語で“網焼き屋”を意味します。料理長の藤井智哉さんも、そのバスクで修業を積みました。

「確かに、バスク料理の特徴である窯焼き料理をメインとしていますが、それはあくまで調理法のひとつです。私たちがなによりこだわっているのは、瀬戸内の豊富な食材の魅力を最大限に引き出すことです」と、藤井シェフは語ります。

エレテギアで用いられる食材は、肉や魚、野菜はもちろん調味料にいたるまで、ほぼすべてが瀬戸内産です。

「食材ありきの料理だからこそ、生産者たちとは密な関係性を築いています。料理人とお客様の関係だけを考えていては、本当によい料理は完成しません。生産者の方に喜んでもらうことも、とても大切だと思っています」

コースのメイン料理で供された「峠下牛の炭火焼き」。直火の窯でレアに焼き上げられた赤身肉は、とてもいい香り。口に肉の旨味が広がっていくのがわかります。
エレテギアのダイニング。どの席からも瀬戸内の絶景が望めるのが魅力です。

メニューは、コースのほかアラカルトでも注文可能。リストには、瀬戸内の真鯛や世羅町の椎茸、渡り蟹に牛と、土地の旬が並んでいます。

“調理しすぎないこと”を心がけている藤井シェフは、素材に手を加えることを最小限にとどめています。火に掛ける時間を短くするために炭火の具合を調整し、味つけも素材の風味が失われない量を見極めているのです。その意味は、料理を口に運べば理解できるはずです。

またエレテギアは、料理人たちの仕事を間近に見られるシェフズテーブルも備えています。ぜひ、藤井シェフたちが腕をふるう様子を特等席で眺め、楽しんでください。

この秋にオープンした「Bar“THE DARK”」。照明を落とした空間を、カクテルを主役にしたライティングで演出。自家栽培のミントをふんだんに使用したモヒートが自慢です。

これから本格的に寒くなり、外に出ることが億劫な季節に突入しますが、それは心身を癒すような旅のシーズンとも言えるでしょう。眺めているだけでいいと思える景色と、本当に幸せな気分になれる美味しい料理。とてもシンプルな旅の要素ですが、そう簡単に見つかるものではないはずです。

ベラビスタ スパ&マリーナ 尾道
住所:広島県尾道市浦崎町大平木1344-1122
TEL:0120-87-3333
全45部屋(スイートルーム12部屋)
チェックイン15時、チェックアウト12時
コンフォートルーム¥37,800〜、テラスラグジュアリールーム¥39,960〜、テラススイートルーム¥63,720〜
※すべて1部屋の価格。価格はシーズンにより変動します。

www.bella-vista.jp