Feature Art メディアアートの最先端を走りつづける「ダムタイプ」、35年の軌跡に迫る大規模展は頭ではなく身体で受け止めろ。

メディアアートの最先端を走りつづける「ダムタイプ」、35年の軌跡に迫る大規模展は頭ではなく身体で受け止めろ。

写真・文:中島良平

アートからデザイン、建築、映像、音楽やダンスまで垣根を超えたパフォーマンスとインスタレーションで最先端の表現手法を切り開いてきたダムタイプ。1984年の結成から35年を迎えた「マルチメディア・パフォーマンス・アーティスト集団」の大規模な個展が、東京都現代美術館でスタートした。

メディアアートの最先端を走りつづける「ダムタイプ」、35年の軌跡に迫る大規模展は頭ではなく身体で受け止めろ。

『Playback』(2018) 16台のターンテーブルが音を響かせるサウンドスケープ・インスタレーション。レコード盤に収録されているのは、80年代に制作された古橋悌二・山中透による音源や、NASAの惑星探査機ボイジャーに搭載したゴールデンレコードに記録された55種類の言語の挨拶などに加え、新たにフィールド・レコーディングされた音素材。

1984年、京都市立芸術大学の学生を中心に結成されたダムタイプは、分野を横断することで新たな表現言語を獲得し、現代社会への問題意識をより強く発信する試みから結成された。中心メンバーの一人であり、活動の原動力を担った古橋悌二が同性愛者であることをカミングアウトし、HIVに感染してエイズを発症したことで1995年に亡くなったときには、ラディカルな表現を切り開く表現者の喪失を多くの関係者やフォロワーが嘆いた。しかし、それ以降もダムタイプは表現をより先鋭的で高度なかたちへと進化させ、若い表現者たちを迎え入れながらメディアアートの最先端を走り続けてきた。この展覧会を担当した東京都現代美術館参事でキュレーターの長谷川祐子は、開催意図について次のように語る。

「ダムタイプはパフォーマンスのグループというイメージが強いので、展覧会の形式でコンセプチュアルな表現の軌跡を紹介する機会がこれまでにありませんでした。批評的な視点を持って社会と真摯に向き合い、新しい世代を組み入れながら新しい表現を追求する彼らを紹介したいという思いから、2018年にフランスのポンピドゥー・センター・メッス分館に提案してダムタイプの個展を開催したところ、78,000人の来場者を集めて大成功を収めました。今回の展示は、その展覧会をベースに新作を加えて行います」

そして、こう付け加える。「キュレーターとしてこんなことを言うのは恥ずかしいんですけど、ダムタイプの展示はかっこいいんですよ」。難解さばかりが先行するようなコンセプチュアル・アートとは一線を画す展示を見ていこう。

メディアアートの最先端を走りつづける「ダムタイプ」、35年の軌跡に迫る大規模展は頭ではなく身体で受け止めろ。

キュレーターの長谷川祐子の隣で、初期メンバーのひとりで個展の中心を担った高谷史郎はこう語る。「先輩たちと一緒にダムタイプを始めて、同年代の池田亮司くんとかと中心にやっていた時代があって、次世代メンバーに加わってもらった今がある。昔を振り返りつつ未来を見ていく姿勢を伝えるために、ちょうどいい時期に展覧会を実現できたと感じています」

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