せんべい×レモンチェッロ!? 新しき和菓子のペアリングが楽しめる「えん...

せんべい×レモンチェッロ!? 新しき和菓子のペアリングが楽しめる「えんなり和菓市」が開催。

せんべい×レモンチェッロ!? 新しき和菓子のペアリングが楽しめる「えんなり和菓市」が開催。

「男もすなる日記といふものを、女もしてみむとてするなり」。そう始まるのは紀貫之の「土佐日記」だが、「女も食ぶ和菓子といふものを、男も食べんとてするなり」的なスイーツ男子ならぬ、和菓子好きの男性が巷に続々と増殖している。
 
かくいう僕も、洋ではあるが、ウィスキーを嗜む時にはチョコレートに手を伸ばすし、荒木町の隠れ家「HIBANA」では選び抜かれた自然派ワインと、スパイシーなチョコレートの相性にいつも驚かされる。
誕生日のデザートに、さすらいのパティシエール・オザキリエさんが作ってくれた「かるかん」と、オーストリアの自然派「グート・オッガウ」のペアリングも驚くべき出会いだった。
 
もともと九州の田舎では、丸ごと1本の「ようかん」をアメリカンドッグ食いしながら、茶碗で冷や酒を煽っている親父をよく見かけた。カステラの端っこの切り出しをつまみながら、芋焼酎を飲む猛者もいた。
バリバリの業界人時代、ブレインストーミングの会議に出て来るのはケーキやシュークリームではなく、決ってせんべいや饅頭などの和菓子だった。外ではこわもての硬派なダンディも、おめざは和菓子という輩も多い。
 
そんな甘党男子たちにとって、ちょっと厄介なのはショップ問題だ。例えば、いつも行列ができている学芸大学の「タケノとおはぎ」でナッツのおはぎを買おうと思っても、女子ばかりの列に並ぶのは、どうにも照れ臭い。デパートの支店を回るのも悪くないが、できれば洋服や雑貨、インテリアみたいにセレクトショップがあると嬉しい。
そんな男性たちのニーズにぴったり寄り添ってくれるのが、NEWoMan新宿エキナカにある和菓子のセレクトショップ、「えんなり」だ。

せんべい×レモンチェッロ!? 新しき和菓子のペアリングが楽しめる「えんなり和菓市」が開催。

通常えんなりでは、期間限定で3ブランドずつを展開しているが、昨年より始まった日本全国の和菓子の市「えんなり和菓市」では、一挙26ブランドが大集合。

今年はペアリングを提案しているため、酒とコーヒー、日本茶のブランドも参加している。
コーヒーはサンタクルーズ発の「Verve Coffee Roasters」、エキゾチックな豆のブレンドで、あえて素材と競わせたり、柿の渋みにコーヒーのほろ苦さを共鳴させたり、個性的なペアリングを提案する。
 
和菓子と言えば、ペアリングはすんなりと日本茶と決まりそうだが、選ばれたブランドは岐阜の「春日薬草店」。日本の在来種や薬草が専門のブランドだけに、素材にこだわった和菓子を引き立てるペアリングと、水出し緑茶のおいしさに驚かされる。
 
そして、酒のペアリングを担当するのは日本酒屋界の先端を走るプランドの1つ、千葉の「いまでや」。今回はワークショップで、酒ペアリングの講師も務めるシラトンこと白土暁子さんが、せんべいにレモンチェッロ、ようかんにクラフトジンなど、注目のペアリングを展開。和菓子メンズたちには、目が離せない世界が繰り広げられる。

せんべい×レモンチェッロ!? 新しき和菓子のペアリングが楽しめる「えんなり和菓市」が開催。
せんべい×レモンチェッロ!? 新しき和菓子のペアリングが楽しめる「えんなり和菓市」が開催。

もちろん、主役の和菓子を作る人たちも魅力的なキャラクターと銘菓が勢揃いする。古都金沢の「茶菓工房たろう」の村上さんは、とにかく直角と立方体が好き。最中(もなか)の造形上あり得ない、完全な立方体の最中を作り上げた。
しかも、ナッツとバターの風味だ。新店舗では、対面販売のショーケースを廃止。まるでギャラリーのような空間の中に整然と並ぶ、完全な立方体の最中の列はスタンリー・キュービックの映画みたいだ。
 
長崎島原で町のお菓子屋さん「西善製菓舗」の娘として育ち、フランス・マレで美術を学んだ河合さんは、自らのイラストとデザインで実家のカステラをブランディング。それがきっかけで、CLASKAや猿田彦珈琲にも並ぶブランドになる。お菓子を焼かない娘さんが、家族が作りあげたブランドの歴史を繋いだ。
 
おばあちゃんが作った素朴なおはぎが大好きで、それを再現したくて作った店と言いながら、「こしあん」と「つぶあん」の定番以外は、「ココナッツとレモンピール」や人気の「ナッツ」など、常人の想像を超える一期一会のオリジナルを次々と生み出す「タケノとおはぎ」の小川さんも、おはぎという世界を借りて、全く新しい和菓子の世界を創り出すクリエイターだ。


その他にも、「えんなり和菓市」に並ぶ和菓子の造形を見れば、誰もがきっとびっくりするはずだ。
実は今、和菓子の世界は物凄くエキサイティングになっている。

せんべい×レモンチェッロ!? 新しき和菓子のペアリングが楽しめる「えんなり和菓市」が開催。

和菓子は春夏秋冬、四季折々の自然に育まれた日本で、咲き誇る花と共に、いつも四季の移ろいを教えてくれた羅針盤。目に麗しく、身体にも優しい和菓子の祭典はいよいよ、来週の土日、12月の7日と8日だ。
師走の新宿で途中下車して、和菓子が生み出す新しいペアリングの世界に、そっと身を委ねよう。なんだかじんわりと、新しい明日が見えてくるはずだ。


「えんなり和菓市」
開催期間:2019年12月7日~12月8日
開催場所:ルミネゼロ <LUMINE 0>
開催時間:12:00〜18:00
入場料:500円(税込)
*和菓子2つとミネラルウォーター1本、ドリンク試飲チケット3枚付き
http://www.lumine.ne.jp/ennari/wagashi/

せんべい×レモンチェッロ!? 新しき和菓子のペアリングが楽しめる「えんなり和菓市」が開催。