鮨にはテキーラが新常識⁉ 清涼感で味覚をリセットする上、糖質は限りなくゼロ。

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鮨にはテキーラが新常識⁉ 清涼感で味覚をリセットする上、糖質は限りなくゼロ。

「ドン・アグスティン クリスタル・アネホ」は、1年以上熟成して琥珀色になったアネホを特殊製法のフィルターで透明にするという、新しい手法で熟成したテキーラ。

テキーラの汚名を晴らすために。

1986年に封切られた「ベティ・ブルー」は、ベティ役の新人ベアトリス・ダルに世界的な名声を与え、テキーラに一気飲み専用のお祭りドリンクという汚名を与えた。映画には、2人の激情や歓喜、狂気に伴って、様々な場面で多種多様な酒が登場する。しかし、最も印象に残るのは2人の幸せな時間を象徴するテキーラ・ラピド、日本ではショットガンと呼ばれるカクテルだ。


一気飲み、罰ゲーム、二日酔い、テキーラに与えられたすべてのバッドイメージを拭い去るために立ち上がった、アガベ(竜舌蘭)界のジャンヌ・ダルクが大井町「Gatito(ガティート)」店主の伊藤裕香さんだ。


出会った頃、彼女は由緒正しき大手出版社の編集者だった。所属は歴史ある小説誌、担当した作家は大藪春彦賞を受賞した。その後、女性誌へ転属。野獣派の作家のお守りから、コスメやビューティ、ペット、占いや旅行へと、環境も生活も大きく変わり、少しずつ疲労とストレスばかりが溜まっていった。


そして、ハイボールだけではやり切れないある夜、大井町線旗の台のバーに飛び込む。


「こんな夜は絶対テキーラ!」。しかし、出されたテキーラ「ドン・フリオ」は彼女を甘美に、華麗に裏切り、彼女はテキーラに落ちた。「え?おいし過ぎる」編集者としての勘が、その時動いた。


テキーラの汚名を晴らしたい。その時から、それが彼女の新しい編集コンセプトになる。出版社をやめ、テキーラのソムリエであるマエストロの試験を突破。アガベ(竜舌蘭) 100%のプレミアムテキーラをコツコツと集めて、大井町の線路沿いにGatitoを開店する。


「鮨×テキーラの会」は、Gatito開店以来、食とテキーラの最良の出会いを究めて来た彼女が辿り着いた究極のペアリング。自らの店を飛び出して凱旋する、和とメキシコの他流試合だ。

鮨にはテキーラが新常識⁉ 清涼感で味覚をリセットする上、糖質は限りなくゼロ。

現在は大井町の店「ガティート」に加えて、沖縄に支店「エローテ」もある。

鮨にはテキーラが新常識⁉ 清涼感で味覚をリセットする上、糖質は限りなくゼロ。

壁一面に並ぶテキーラは、すべてアガベ100%。

食中酒としてのテキーラを追求。

今回の舞台は「鮨 すがひさ」、東急田園都市線・大井町線・溝の口にある新進気鋭の江戸前鮨屋だ。店主の菅さんは、鮨屋を志す前には人気のタイカレー店、宮前平「イムイェム」で働いていた経歴を持ち、近年は独創的な「変態(タイ)鮨コース」でも人気が高い。


「鮨×テキーラの会」、通称「鮨テキ」の開催地としてこれほど好適な場所はないだろう。


会は、老舗の蒸溜所「カスカウィン」のテキーラで梅を漬け込んだ世界初のテキーラ梅酒で始まった。加水調整に用いたのは赤城山の伏流水、食前酒としてソーダ割で供される。


カウンターには管さんが今回のために考えたつまみが並び始める。イワシの酢洗いと酔っ払いシジミ。しかし、どちらにもエスニックにも造詣が深い菅さんのカウンターパンチが仕掛けられている。


テキーラはグラスではなはく、ユカさんが用意した鮨テキオリジナル猪口でいただく。約半々に前割されたテキーラは、一瞬キレキレの日本酒かと思うほど、和に寄り添っている。もちろん、和の方がメキシコに寄り添っているのも事実だ。


この鮨にこのテキーラという窮屈なペアリングではなく、頃合いを見計って次の前割が片口に注がれて回ってくる。緩く、危険な大人たちのための時間だ。

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酢洗いした鰯には、メキシコの代表的サルサであるワカモレがのせられ、酔っ払いシジミはテキーラに漬けられている。

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メキシコの伝統的な食品タマルは、トウモロコシをすりつぶしラードと合わせてこねた生地を蒸したもの。今回はそこにマグロの血合い漬けが潜んでいる。

鮨とテキーラの新たなる世界へ。

握りのスタートを見計らって、まずは透明なアネホ。石垣鯛、アオダイ、ヒラメ昆布〆、新子の江戸前な白身と響き合う。


しかし、マグロのづけにはハラペーニョを、カツオには洋芥子と菅さんの変タイぶりが発揮されると、「ボルカン」や「エル・マヨール」が登場。ハンマーヘッド(鮫)のシャーシューにはメスカルがバトルする。


終盤、シナモンを効かせた煮穴子やカステラのような卵焼きには、豊潤な「オルニートス」のブラックバレルが充てられる。終始、和とメキシコの他流試合は食中酒としてのテキーラの素晴らしさと、蒸留酒ならではの清冽な酔いに癒される至福の時間になった。


今後も、不定期に決行される「鮨×テキーラの会」、情報はGatitoのHPでマメにチェックしたい。だが、その前に大井町に足を伸ばしてテキーラの計り知れない魅力を予習しよう。そのまま、大井町線に乗れば「鮨すがひさ」にもストレートで到着する。

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ハイランドとローランド、特徴が違う2ヶ所のアガベをブレンドした「ボルカン ・ブランコ」。

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4世代に渡ってテキーラを作り続けるゴンザレス家のブランド「エル・マヨール」。バニラ、キャラメル、スパイスの優しいフレーバー。

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ハンマーヘッド・シャーク(鮫)のカマで作られたチャーシューならぬシャーシュー、菅さんの遊び心が爆発する。

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メキシコの伝統的なアガベスピリッツであるメスカル。メスカル界の重鎮が手がける「ラ・メディダ」は有名レストラン御用達の高級ブランド。

Gatito(ガティート)

東京都品川区大井4-10-7
TEL:03-3774-7757
http://gatito.jp/


鮨 すがひさ

神奈川県川崎市高津区久本1-16-15
TEL:044-750-7369
https://sugahisa.com/

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レバーペーストとハラペーニョの細巻きは、今までなかったのが嘘のようなベストマッチ。

鮨にはテキーラが新常識⁉ 清涼感で味覚をリセットする上、糖質は限りなくゼロ。

テキーラ御三家、サウザ蒸溜所が手がける「オルニートス・ブラックバレル」。ウイスキーのような熟成感と香り、フルーティーな味わいが卵焼きと溶け合う。