(1週間くらい遅れて)北の国からやって来たスニーカー

(1週間くらい遅れて)北の国からやって来たスニーカー

(1週間くらい遅れて)北の国からやって来たスニーカー

「W21」とプリントされた黒い布袋に入っていました。靴箱は残念ながら廃棄してきたので、品番、モデル名は不明です。シューレースは3本も入っていました。

服好きの私ですが、最近では海外に行っても服や靴を買って帰ることは少なくなりました。多くの服が日本でも手軽に手に入るようになりましたし、海外でもネットで注文すれば、すぐに送られてくるからです。それに日本のほうが圧倒的にモノが揃っているように思います。

数週間前、家人がアムステルダムに出かけました。もちろん仕事です。そんなときには「お土産はいらないからね」と声をかけるのが常です。私もよく仕事で海外に行きましたが、時間に余裕がないですし、荷物が増えると移動が大変なことはよくわかりますので。

ところが、今回は家人から写真が送られてきました。アムステルダムで見つけた素敵な「スニーカー」の写真です。北欧のデンマークに本拠地を持つ「エコー」という靴メーカーのスニーカーで、アムステルダムにある「W21」というコンセプチュアルなショップで扱っているスニーカーです。どうも日本では展開していないコレクションらしく、見たことがない靴が並んでいるのです。こうなるとブツ欲がフツフツとわきあがります。サイズを伝え、なんでもいいから買ってきて、と。いつもは靴紐が面倒なので、ハイカットはほとんど履かないのですが、このデザインならばハイカットもありとメールを。まるで外国の方が日本に来て、本国にいる方とメールのやり取りをしながら買い物しているのと同じようなやり取りをしました。

数日後、家人はアムステルダムから帰国しましたが、成田空港から「ロストバゲージした」とメールがありました。どうもアムステルダム空港はチェックインが完全自動化されていて、パスポートや予約番号を入力し、自分でチェックインし、荷物も自分でバゲージタグを出力して、自分で付けて飛行機に乗せるのです。今回は空港のシステムが完全におかしくなり、家人だけでなく、現地で一緒に仕事をして、別の会社(日本の飛行機会社だそうです)の飛行機に乗った人の荷物もロストしたらしいのです。成田空港で調べてもらうと、どうもアムステルダムの空港にあるらしいとまではわかったのですが、それからはなしのつぶてで、待てども待てどもトランクは届きません。私のために買ってくれたスニーカーはもちろんのこと、仕事の資料もトランクに入っています。日曜日に帰国して、何度か飛行機会社に電話して、ようやく土曜日にトランクが戻ってきました。人減らしのためなのでしょうが、完全にコンピュータに任せるのはやはり怖いものですね。なんでもIT化してしまうと、こういう事態が起こるのではないでしょうか。

(1週間くらい遅れて)北の国からやって来たスニーカー

ヒールカップの部分に「ecco」の刻印が入っています。ネオンカラーのラインが今の感じですね。

そんなわけで、(たぶん)オランダで1週間、熟成されて届いたスニーカーがこれです。日本ではあまり喧伝されていませんが、「エコー」は素材から靴底まで自社で生産している稀有なブランドです。アムステルダムにも革をなめす工場を構えていて、大手の靴メーカーはもちろんのこと、欧州の有名ファッションブランドへも供給しているほど、良質な革をつくります。パンチングされた革やエキゾチックな革をふんだんに使い、ネオンカラーのラインもモダンです。ソールも自社製で、たぶんインジェクション製法でつくられていると思われます。久留米のメーカーを取材したときに知りましたが、インジェクションは型を製作するのにそうとうの精密さが要求され、お金もかかるので、大変です。

履いてみると、革もしなやかで、ソールのクッション性もよく、ハイカットを履き慣れていない私ですが、これなら履けるかと。ハイカットなので、ワイドなパンツにも合うかもしれません。いろいろとチャレンジするのが楽しみです。

それにこのスニーカーは、このスピードの時代に、1週間もかかって遠いオランダから届いた靴です。大事に、そして楽しんで履いてあげようと思っています。まだ見たことがなかった靴ですし。そういえば、25年くらい前に、イタリアのナポリで「お前のためにつくってやる」と言われたドレスシャツがありました。体の各所を細かくメジャーで測り、「ここに送って」と名刺も渡しましたが、未だ到着していません。たぶんまだ地中海辺りをさまよっているのでしょう。

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