ミラノデザインウィークにVitraが開催した、秘密のパーティの中身とは?

ミラノデザインウィークにVitraが開催した、秘密のパーティの中身とは?

ミラノデザインウィークにVitraが開催した、秘密のパーティの中身とは?

ミラノサローネでの一コマ、Karimoku New Standardにて。

現在発売中の「Pen」7/1号の第2特集は「ミラノ・サローネTOPICS 10」。ミラノ・サローネ〜ミラノデザインウィークは毎年4月に開催される家具やデザインの一大イベントで、誌面では今年も多彩な新作やインスタレーションが紹介されています。

この時期のミラノは、世界中からデザイン関係者が大挙して押しかけることから、展示に比べてメディアであまり紹介されないものの、大小様々なパーティが連日繰り広げられてもいる。自分が今年いくつか訪れた中で最も印象深いのが、スイスの家具ブランド「Vitra」が「Apartamento」誌のメンバーとともに開催した招待制のパーティだった。

Vitraといえばヨーロッパを代表する家具ブランドのひとつだけれど、その規模からするとこのパーティはかなりこじんまり。しかしまず驚かされたのは会場がNicolas Bellavance-Lecompteの家だったこと。ミラノ拠点の建築家であり、デザインユニットOEUFFICEの一員であり、中東初のデザインギャラリー Carwan Galleryのキュレーターであり、デザインディレクターやコレクターとしても有名な彼の自宅は、ウェブの記事などで見たことがあった。下記は一例。
https://www.nytimes.com/2016/03/15/t-magazine/design/nicolas-bellevance-lecompte-design-beirut.html

ミラノデザインウィークにVitraが開催した、秘密のパーティの中身とは?

その家は、市内5Vieエリアの中心部、1Fに某有名家具店が入る集合住宅の一室。こんなコレクターズアイテムの殿堂のような場所に足を踏み入れる日が来るとは……と軽い緊張感が。Nicolas Bellavance-Lecompteは、去年のミラノデザインウィークでは「Unsighted」というグループ展の、今年はAnton Alvarezの個展「L’Uitima Cera」のキュレーションを務めていて(どちらもすばらしい内容だった)、それらに関連する作品も部屋の中にいくつもあった。上の壁際のブルーの作品はAnton Alvarezによるもの。

ミラノデザインウィークにVitraが開催した、秘密のパーティの中身とは?
ミラノデザインウィークにVitraが開催した、秘密のパーティの中身とは?

こちらはRoberto Sironiの「Ruins」コレクションのミラーやテーブル。昨年、「Unsighted」展で発表されたもの。

ミラノデザインウィークにVitraが開催した、秘密のパーティの中身とは?
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大理石のダイニングテーブルテーブルは、2015年にDimore Galleryで発表されたOEUFFICEの作品(ちなみに右奥で談笑する女性は大活躍中のデザイナー Sabine Marcelis)。そしてダイニングテーブルの上にはアメリカの照明デザイナー、Bec Brittainのシャンデリア「Shy」。

ミラノデザインウィークにVitraが開催した、秘密のパーティの中身とは?
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フランスのGarnier & Linkerによる北山杉を用いたシェルフ。彼らは昨年、今年と5Vieエリアで個展を開催していた。白いフラワーベースはHella Jongerius。下の写真のソファはVitraの新作で、ヘラ・ヨンゲリウスがデザインした「Vlinder」。今回のパーティのひとつの主役だったもの。

ミラノデザインウィークにVitraが開催した、秘密のパーティの中身とは?

Nicolas Bellavance-Lecompteの名前を最初に目にしたのは、Carwan GalleryがミラノデザインウィークでVentura Lambrateに初出展した2011年だったと思う。その展示ではOEUFFICEの他にLindsey AdelmanPhilippe Malouin、My Bauhaus Is Better Than Yours(現New Tendency)など、この時に初めて知ったデザイナーが参加していてかなり衝撃を受けた。その後の彼らの活躍を考えると、先見の明があらためてすごい。

ちなみに今回のパーティにはSabine Marcelisの他にMartino GamperMike MeiréAna Kraš、日本からは長坂常さんといったデザイナーの姿も。近年のVitraを牽引するグルチッチやブルレック以上の世代とは違う、このブランドの先進性が垣間見える気もした。