小金井の「江戸東京たてもの園」で堪能する、昭和の建築と暮らし。

小金井の「江戸東京たてもの園」で堪能する、昭和の建築と暮らし。

小金井の「江戸東京たてもの園」で堪能する、昭和の建築と暮らし。

江戸東京たてもの園は1993年、東京都江戸東京博物館の分館としてオープン。総理大臣を努めた高橋是清の邸宅から庶民の商店まで、文化的価値の高い建物を移築し、復元・保存・展示している。

本日12月15日(火)発売のPen最新号は「昭和レトロに癒やされて」。リアルタイムで体験した方には懐かしく、後追いだった方にはレトロでユニークな、昭和のあれこれを詰め込んでいる。ある時代を知るのに建築は最も重要な要素のひとつ。特集では、建築史家・倉方俊輔さんと建築家・髙岡伸一さんによる名建築をテーマにしたディープな対談、「ニュー新橋ビル」にスポットを当てる記事、銭湯や喫茶店の魅力に迫る記事などを揃えている。


昭和時代の建築に触れられるスポットのひとつが小金井にある「江戸東京たてもの園」。広大な小金井公園に隣接し、江戸時代から昭和初期〜中期にかけての建物が移築され、保存・展示されている。昭和のものはどれも私が生まれるずいぶん前に竣工したもので、懐かしいを飛び越え博物館的な要素が大きい。でも、多くが商店にまつわるもので、現役当時の庶民の暮らしが想像できて心が躍る。


こんな移築や復元を織り交ぜた建築のテーマパークがあったら、さぞ楽しいだろうと夢想してしまう(博物館明治村の資料的要素と、日光江戸村のエンタメ要素をかけ合わせたような?)。神保町の雰囲気たっぷりのビルが取り壊されると聞くと、なんとかならないものかと思ってしまうし、当時はなんてことはなかったけれどいまとなると希少価値の高い昔の建物は、日々なくなっているに違いない。見付マウス、ミニー間口、ドナルド大工などなど、キャラクターもつくって……文部科学省なのか国土交通省なのかわからないが、国の予算でどうでしょうか。(編集NS)

小金井の「江戸東京たてもの園」で堪能する、昭和の建築と暮らし。

1928年(昭和3年)竣工の村上精華堂。台東区池之端にあった小間物屋(化粧品店)だ。イオニア式の柱をあしらったモダンなデザインだが、なかに入ると帳簿が置かれた帳場机が出迎える。

小金井の「江戸東京たてもの園」で堪能する、昭和の建築と暮らし。

同じく1928年(昭和3年)の大和屋本店。港区白金台にあった乾物屋だそう。手前には昆布やスルメや生卵がディスプレイされており、奥に立てかけてあるのはフランスパンではなくカツオ節。

小金井の「江戸東京たてもの園」で堪能する、昭和の建築と暮らし。

施設のハイライトのひとつである子宝湯は、足立区千住元町に1929年(昭和4年)に竣工。神社仏閣のような唐破風のある、贅沢な造り。

小金井の「江戸東京たてもの園」で堪能する、昭和の建築と暮らし。

子宝湯のペンキは富士山! 湯舟がびっくりするほど深い。

小金井の「江戸東京たてもの園」で堪能する、昭和の建築と暮らし。

建築家、前川國男の自邸もある。品川区上大崎に、1942年(昭和17年)に竣工。美しい!と唸ってしまうディテールがあちこちに。

小金井の「江戸東京たてもの園」で堪能する、昭和の建築と暮らし。

こちらは板橋区常盤台にあった、1937年(昭和12年)竣工の常盤台写真場。玄関は洗い出し。こういう小石や砂利を使った玄関の仕上げ、昔よく見た気がする。

小金井の「江戸東京たてもの園」で堪能する、昭和の建築と暮らし。

レトロな商店の佇まいにグッとくる方はぜひ、『東京店構え』(エムディエヌコーポレーション刊)を見ていただきたい。ポーランド人アーティスト、マテウシュ・ウルバノヴィチさんが東京の古い商店を訪ね歩きイラストに描き起こしたもの。建築的な要素はもちろんのこと、雰囲気などのディテールまでも描き込んでいて、時間を忘れて見入ってしまう。ウルバノヴィチさんは『君の名は。』の背景美術も手がけたアーティスト。今年9月に発売された作品集第2作『東京夜行』(同じくエムディエヌコーポレーション刊)も素晴らしい。