ラグビーワールドカップが見せてくれた“多様性”は、東京2020オリンピ...

ラグビーワールドカップが見せてくれた“多様性”は、東京2020オリンピックにも引き継がれるか。

ラグビーワールドカップが見せてくれた“多様性”は、東京2020オリンピックにも引き継がれるか。

多くの人に感動を与えてくれた、ラグビー日本代表。photo by Getty Images

感動のうちに幕を閉じた、アジア初開催の「ラグビー ワールドカップ 2019 日本大会」。台風の被害も乗り越え、ワールドラグビー会長のサー・ビル・ボウモントが「おそらく過去最高のラグビーW杯として記憶されるだろう」と絶賛するなど、大成功を収めた。

今回のW杯は、多様性という観点からも大きな見どころがあったように思う。さまざまなルーツをもつ選手たちが、規定をクリアすればどの国の代表としてもプレーする資格を得ることができるのがラグビーの特徴。グローバリゼーションの高まりは、フィールドを通じても感じられた。競技場外でも、外国人観光客の宿泊準備や、観光地、飲食施設でのさまざまな取り組みなど、異なる文化を理解し、また日本文化を理解してもらおうとする各業界の努力が紹介された。来るべき東京2020オリンピックの準備になったことは間違いないだろう。

そのような中で、喫煙者である自分が思うに、喫煙所を整備するということも多様性を認めることにならないだろうか。屋内での喫煙は日本以上に厳格に禁止されながら、屋外喫煙は罰則なしという国も多い。当然、外国人観光客にも一定数の喫煙者が存在するはずだ。となれば、非喫煙者に配慮したうえで喫煙所をしっかりと整備することも、立派な「おもてなし」だろう。ラグビーの聖地、東大阪市花園ラグビー場(大阪府)では、W杯の開催に合わせた競技場の整備に伴い、約220平方メートルの大規模な屋外喫煙所が設けられた。両サイドにはゴールポストが設置され、円柱形の灰皿が選手のポジションのように並ぶというユニークな試みだ。

とはいえ、スポーツ施設における喫煙所は難しい問題だ。東京2020オリンピックでは、IOC(国際オリンピック委員会)がWHO(世界保健機構)と合意した「たばこのないオリンピック」を実現すべく、大会期間中は競技会場敷地内の全面禁煙化を決定。加熱式たばこや電子たばこも同様に規制対象で、競技会場にもともと喫煙所があっても閉鎖されるという。受動喫煙の防止につながることは理解できるが、完全禁止はかなりの困難を伴うことだろう。競技場内での完全禁煙を実施した2018年の平昌冬季オリンピックでは、会場周辺での路上喫煙が散見され、吸い殻のポイ捨てが横行。東京でもそうした事態が起こるのは想像に難くない。オリンピックを楽しみにしているいち喫煙者として、非喫煙者に配慮した、多様性を認める設備の準備が必要なのではなかろうかと思いを巡らせている。

ラグビーワールドカップが見せてくれた“多様性”は、東京2020オリンピックにも引き継がれるか。

東大阪市花園ラグビー場のバックスタンド側にある喫煙所。喫煙所にいながらにして競技の気分を味わえるユニークな試みだ。